『劇場版「鬼滅の刃」』花江夏樹&櫻井孝宏、猗窩座役・石田彰の「お芝居がすばらしすぎた。美しい」と感嘆!石田は「必死にやった」と秘話を告白
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の公開記念舞台挨拶が7月19日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、竈門炭治郎役の花江夏樹、冨岡義勇役の櫻井孝宏、猗窩座役の石田彰、W主題歌となる「残酷な夜に輝け」を担当したLiSAが出席。公開を迎えた喜びを語った。
「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴の人気漫画のアニメ化した本作。家族を鬼に殺された少年の竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すために鬼狩りの組織“鬼殺隊”へ入り、仲間と出会いながら鬼と激闘を繰り広げていく姿を描く。無限城編では、十二鬼月を束ねる鬼舞辻無惨の本拠地「無限城」を舞台に、炭治郎たちの最終決戦が映し出される。
公開後、初めての舞台挨拶となったこの日。上映後の会場は、映画を観終わった熱気でムンムン。登壇者がステージに上がると、観賞後の感動を伝えるように万雷の拍手が上がった。「本当にうれしいです」と公開を迎えた喜びを吐露した花江は、「昨日の夜、IMAXで観てきました。最高でした。あと10回は行きたいと思っています」とリピート鑑賞を宣言。「早く劇場で観たいな、まだかな、まだかなと思っていたんですが、直前になると『もう公開されるの、心の準備が…』と思って。前日はすごくソワソワして、感情が落ち着かなかった」と照れ笑い。映画を楽しんだ観客と「一緒の空間にいられることがすごくうれしい」と感慨を噛み締めていた。
完成作には心を揺さぶられたそうで、花江は「まず映像のクオリティがすばらしい。本当に人の手で作られたものなのかと疑ってしまうくらい。瞬きできないとは、このことだなと。冒頭のシーンから涙が止まらなかった」と興奮しきり。「最初にこれはもう、ハンカチを出さなければと思ったのは、悲鳴嶼(ひめじま)さんが壁をぶち破るところ。うわ!カッコいい!となって。泣いちゃいました」と明かすと、周囲から「早い」とツッコミが入っていた。また「私も公開初日に拝見した」というLiSAは、「私としては『無限列車編』以来(の参加)。石田さんと同じで、猗窩座と共に再来させていただいた」とほほ笑みながら、「『行け』と前に進んでいく気持ちを込めて、背中を押していけるような、送り出していけるような楽曲を歌わせていただいた」と主題歌に込めた想いを話していた。
櫻井は、シリーズ冒頭の炭治郎との出会いや、「柱稽古編」での炭治郎との会話を振り返りながら、「冨岡義勇が名実共に、柱として戦うことができた」としみじみ。「義勇が戦いのなかで強くなっていく瞬間を見られたのは、胸に熱いものが込み上げた」と語る。すると花江も「『立志編』1話ではなにもできなかった炭治郎が、義勇さんと一緒に、肩を並べて戦えるようになった。感動した」と炭治郎と義勇の共闘に感無量の面持ち。「いままでになかった冨岡義勇の一面が出ていた。本当にカッコよかった」と惚れ惚れとすると、櫻井は「炭治郎がいてくれたから。花江くんがいてくれたから」と目尻を下げ、「背中を預けられるようになった。あの関係性が見られるのも、すごくよかった」と力を込めていた。
タイトルにおいて『猗窩座再来』とうたわれている本作だが、猗窩座役の石田は「猗窩座が、義勇が開眼すること、炭治郎が成長することのきっかけになれているのがうれしい。猗窩座に関わる前にも成長があって、その段階があるんですが、それが一気に爆発する話。その相手役になっているというのは、とてもありがたいことだなと思います」と光栄だったと話す。「あまり大っぴらに言わないほうがいいのかもしれないなと思いつつ、でも避けて通れないので言います」と前置きしつつ、「猗窩座が再生されることが前提となっているので、腕や足が切り飛ばされてもそのまま突っ込んでいく。そういった残酷描写でもありますが、それをあまり見せないようにしたり、柔らかくしたほうがいいところなんでしょうが…。それを真正面から(描く)。ここまでやっても猗窩座は倒れないんだというところまでやるからこそ、鬼の強さが説得力を持って伝わるし、(観客は)鬼殺隊の頑張りにも思い入れがより込められるんじゃないかなと。ぼやかさないほうがよいというのが、僕の考えです」と容赦せずに描こうとする制作陣の覚悟を称えていた。
炭治郎を作り上げてくれた人たちの想いを胸にしながら演じようと思っていたという花江は、「石田さんの猗窩座のお芝居がすばらしすぎて。自然と気持ちがあふれてきた。そんなアフレコだった。すばらしい空間でした」と収録を回顧。「猗窩座が、煉獄さんについてひどいことを言う。そこでは自分でも思ってもなかったような、声が出た」と打ち明ける。「シビれた」と続いた櫻井は、「(義勇としても)猗窩座の強さに引き出されるようなところがあった。戦いに没頭させられるような存在だった。石田さん(の芝居)に、美しさを感じる」と熱弁。「大丈夫ですか?気持ち悪いですか?」と心配すると、石田は「ありがとうございます。どういう顔をしてここに立っていればいいのか」と戸惑い、会場の笑いを誘っていた。
石田は、本作における猗窩座について「『無限列車編』では、人間に対して圧倒的に強い存在であるというところだけを押していた。強さだけを求めているキャラクター。『無限列車編』と今回で違うのは、相手の強さの度合いが変わっていくということ。猗窩座は強さに対するこだわりが飛び抜けている分、強さに対する評価もすごく公平。捻じ曲がった性格の人だったら『認めないぞ』となってもおかしくないところを、それを認める。それは炭治郎だけではなく、義勇に対してもあること。戦っている時の相手の変化に対応していくのが、今回の猗窩座の新しいところ」と分析。「さっきから花江くん、櫻井くんが持ち上げてくれるけれど、見た感じ、僕が一番小さいじゃないですか」とステージに並んだ様子を見渡して会場を笑わせながら、「そんなに強いタイプじゃない。強さを演じるのに、すごく頑張っている。すごく無理して強がっているところを、悟られないように必死にやっていた」と告白していた。
※煉獄の「煉」の漢字は「火+東」が正式表記
取材・文/成田おり枝