レストランの定義を覆す革新的な厨房に潜入!スペインの有名店に迫った『ムガリッツ』が9月に公開

レストランの定義を覆す革新的な厨房に潜入!スペインの有名店に迫った『ムガリッツ』が9月に公開

ミシュランガイドでも紹介されるスペインの有名店に迫ったドキュメンタリー『ムガリッツ』が2025年9月に公開決定。本予告映像と場面写真が解禁となった。

第72回サン・セバスティアン国際映画祭カリナリーシネマ部門にてベストフィルム受賞を果たした本作。スペインの有名店「ムガリッツ」に迫り、世界屈指の“異端の名門”との呼び声も高い同店の革新的な料理の誕生プロセスを解き明かしていく。

スペインのバスク地方、ガストロノミーの中心地。ミシュランガイドに「レストランを超えた存在」と評され、2つ星を獲得した名門「ムガリッツ」の名前は、21世紀に入る頃から、業界で大きな注目を浴び始めた。グラスなどを並べずアーティスティックなオブジェだけを載せたテーブル、カトラリーを排して手や舌を直接使って味わう料理など。革新的な厨房に潜入したカメラが、研究開発チームやシェフたちが実験的な料理を作り上げるメニュー開発の様子に密着する。

従来のレストランコードをこともなげに崩し、ゲストの好奇心を誘い、五感を研ぎ澄まさせ、独自の世界観でいままでになかった食空間を生み出したムガリッツ。毎年11~4月の6か月間にわたる休業期間には、スタッフ総出でメニュー開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、革新的なメニューは常に更新され続ける。

そんな異端の名門ムガリッツの研究開発チームに密着し、メニュー開発の舞台裏を追ったドキュメンタリーが本作。監督務めたのは、「REC」シリーズなどのホラー作品で知られるパコ・プラサ。もともと、ムガリッツの熱心なファンだったプラサ監督によってついにその全貌が明かされる。

このたび解禁された本予告は、ムガリッツの研究開発チームが、半年かけて新メニューを開発する様子を捉えたもの。この年、オーナーシェフのアンドニ・L・アドゥリスから出されたテーマは、“目に見えぬ物“。「発酵は目に見えない」、「養蜂は?」とチームから次々にアイデアが飛び出す。そのキーワードを手がかりにアドゥリスは、骨、白子、ひまわり、ミチェロンゴ、ディオス(神)などのシンボリックなイラストを描き起こし、壁一面をアイデアで埋め尽くすが、それでもまだ「足りない」という。

そして、絶え間なく映しだされるのは、まるで実験のような料理プロセスと、そこから生み出されるアートの結晶のような数々のメニュー。アドゥリスはアルゴリズムに頼らず、人を驚かせ、感動させ、怒りまで与えるメニューを生みだすため、全てを試して最高を選ぶ。「ムガリッツにはできる」というアンドニの哲学はどのようにして“皿”に並ぶのか。まるで新しい芸術が生まれる瞬間に居合わせるような、圧倒的高揚感が映しだされた映像となっている。

解禁されたシーン写真は、ムガリッツの研究開発チームに所属するラモン・ペリセが試食を重ねる様子を、スタッフたちが真剣な眼差しで見守る一瞬を切り取ったもの。“まだ見ぬ体験”を追い求めるチームの果てなき探究心、そしてそのビジョンを具現化すべく集結したプロフェッショナルたちの緊張感あふれる貴重な瞬間が写しだされている。


レストランとは従来、美味しいものを食べる場所であったかもしれない。だがそこは、定義に捉われないガストロノミーのフロンティアであり、口にするのは世界を開く鍵。『ムガリッツ』のあふれる創造性に触れてみてほしい。

文/平尾嘉浩

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