大人になったいまこそ観てほしい!声優陣、衣装、絆――25年経っても色あせない、『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』の魅力
平成児童を虜にしながら、令和にも通じる斬新なおもしろさ
本作の大きな魅力といえば、杖(普段は鍵の形をしている)や、ケロちゃんというかわいいマスコット的なキャラクターが登場することに加えて、“カードキャプター”になったさくらが、バトルシーンで毎話のようにコスチュームが変わること。
さくらが着るかわいいコスチュームの数々は、親友の知世が大好きなさくらのために手作りしており、毎回異なるかわいい服に着替えて戦う斬新な設定がバトルのマンネリ化を阻止。さらには変身=着替えのリアリティある設定が、女の子たちの変身願望も満たし人気を集めた。変身後のコスチュームは固定であることが多い魔法少女アニメとは違った点であり、現在もこの衝撃を超える作品はないと断言できる。
また、物語のなかでさくらと周囲の人々の成長、友情、バトル、そして魅力的なキャラクターたちによるそれぞれの想いが丁寧に描かれているのも見どころだ。さくらを尊重し一途に応援する知世の想いや、普段は憎まれ口を叩きつつも実はさくらを心配している桃矢、そんな桃矢たちを優しく見守り、時に背中を押す雪兎など、登場人物たちの多様な物語が展開される。キャラクターに対する丁寧な心理描写は、視聴者の記憶にも深く刻まれているのではないだろうか。
20年以上が経ったいま観ても価値観をアップデートしながら楽しめる、ほかにはない異彩を放つCLAMP作品。いまも記憶のなかで色褪せず、世代を、国を超えて愛されているのも頷ける。
『封印されたカード』で描かれる“さくらからの告白”
今回リバイバル上映される『封印されたカード』は、実は2017年にも「クリアカード編」の放送に先駆けて上映されている。その理由は本作が「さくらカード編」最終回のその後を描く映画だったことだろう。2000年に放送された「さくらカード編」と2018年に放送された「クリアカード編」の空白の時間をつなぐ重要なエピソードとなる必見作となっている。
では、本作を見逃せない最大の理由とは?それが、“さくらからの告白”だ。6年生に進級したさくらが、香港に帰ったはずの小狼と偶然再会。「さくらカード編」最終話で小狼の告白にきちんと返事をできていなかったことに気づいたさくらが、今度こそ自分の気持ちを言葉で伝えるために奮闘する…。そんな2人の恋模様の“続き”が主軸の物語となっている。
さくらと知世の絆、そして最強のクロウカードとの壮絶なバトルも描かれながら、大きな一歩を踏みだし成長していくさくらたち。子どもたちの未来への希望や可能性を感じさせる、濃密なメッセージ性にあふれた作品だ。本作を観る前と観たあとでは「クリアカード編」のさくらと小狼の関係性の見え方が変わるので、ぜひ今回の再上映は逃さないことをオススメしたい。
しかも今回は、2017年のリバイバル上映からさらにパワーアップした点も!2000年の公開当時に同時上映された、懐かしの短編ギャグアニメ『ケロちゃんにおまかせ!』の劇場版も上映される、ファンにうれしい仕様なのだ。
大人になってから観ることで見つかる発見
現在は「クリアカード編」でシリーズがひと段落している「カードキャプターさくら」。だが今回の25周年と、さらにこの先もファンが愛し続けることで、また新たな展開にもつながるかもしれない。大人になったいま本作を観れば、さくらたちの日常に新たな発見も生まれるだろう。この機会を逃さず、懐かしさだけではない様々な想いが込み上げる名作を、ぜひ劇場で観てほしい。
文/リワークス(加藤雄斗)