小栗旬、映画『フロントライン』は「勇気をもらえる映画」上映後に拍手を浴び感無量！窪塚洋介も「誇りに思う」

映画『フロントライン』の初日舞台挨拶が6月13日に丸の内ピカデリーで行われ、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、関根光才監督、増本淳プロデューサーが出席。ステージには、役者陣が演じたキャラクターのモデルとなった方から手紙が到着した。

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2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を舞台とした本作。未知のウイルスに最前線で挑んだ人々の奮闘を描く。座長である小栗は「やっと公開できた」と感無量の面持ち。上映後の会場から大きな拍手を浴びると、「本当にうれしいですし、いろいろなことをみんなと話したいです」と万感の想いを語った。

当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、急きょ対応することになったのは災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMAT(ディーマット)だった。小栗が演じたDMAT指揮官であり救急医の結城のモデルとなった阿南英明医師から届いた手紙には、「5年前、苦しくて、苦しくて、早く終わりたい、早く忘れたい…そんな思いでした。急に悲劇に見舞われた人たちを放置できない、できることはしたいと思いましたが、世界中から注目されて、現場、組織、政治、マスコミ、世間との間で信念がグラつくこともあったのは事実です」と苦しい胸の内がつづられつつ、「でも撮影現場で小栗さんの後姿を見たとき、完成した映像をみたとき、何度も涙しました」と映画に感動したことや、「本当にすばらしい小栗DMATが、改めて本当の勇気を呼び戻してくれました。再び危機に直面した時に、大切な仲間と逃げずに最善を模索しようと思います」という感謝の言葉が込められていた。

「すばらしい、ステキなメッセージをいただきまして、本当にうれしいです」と喜びを噛み締めた小栗は、「皆さんは5年前に、本当にこの映画のなかの戦いをされていた。映画にはない部分の大変さもきっといっぱいあったと思います。いまもDMATの皆さんは活動されているので、今後もご自分たちも無事でいていただき、いろいろな災害に向き合っていただきたいなと思います」と敬意を表していた。

医政局医事課の役人である立松を演じた松坂にも、堀岡伸彦さんと永田翔さんから「次の健康危機の時もきっと私たちはまたフロントラインに立つはずです。『お願いしたのは厚労省ですから』と立松のようにさらっと言えるように、次のフロントラインの責任も果たそうとこの映画から力をもらいました。立松、本当にありがとう！」というお礼の言葉が到着。「本当にうれしいですね」と目を細めた松坂は、「なにかひとつのことを決めるのはすごく大変なこと。いろいろな根回しが必要なんですが、お二人の粘り強さがあったから、きっといろいろな物事がスムーズに進んで、ちゃんと目の前にある命を救うことができたんだなと思うと、この役をやれてよかったなと改めて感じます」としみじみと語っていた。

そして高橋善明医師から「あの時、あの場所で、私たちが感じていたこと、抱えていた思い、そして医療従事者としての誇りが、そのまま池松さんの演技のなかに息づいていました」、「コロナ禍をフロントラインで戦った全ての医療従事者たちに光を当ててくださったことに、深く感謝しています」という熱いメッセージを受けとったDMAT隊員である真田役の池松は、「ちょっと感動しますね」と感慨深け。「先生方の魂や心、そういうものに感動します。こうした人たちの取り組みのおかげで、今の命がある。震えるほど感動します」と胸を打たれていた。

DMATの立ち上げに尽力した一人で、実働部隊のトップである仙道を演じた窪塚には、近藤久禎医師から「撮影を見に伺った際は、能登地震の対応のさなかで体も頭も疲れていたのですが、真剣なお芝居の姿に勇気づけられ、戦い続ける勇気をいただけたことを今でも覚えています」と力をもらったというお礼の言葉が書かれていた。

さらに「窪塚さんには、福島の悔恨を経て抱いた我々の想い、災害支援活動で最も大切なのは、放射線や感染など目の前の一つのリスクを避けることではなく、命を救うことだけでなく、悲劇を減らし、各々の方が思い描いておられた人生、幸せを守ること、これを伝えていただけました」と映画を通して、自分たちの想いを代弁してもらえたという。窪塚は「力をいただいたのはこちら」だと切り出し、「この作品をやらなかったら、こうやって見えないところで、名もなき人たちが世界を支えて、世界を回しているんだということをうっかり忘れたまま、前に進んでいたかなと思う。旬に呼んでもらって、参加できて、公開初日を迎えて、本当に心から幸せですし、誇りに思っています」と自身にとっても貴重な経験ができた作品だと語った。

最後に小栗は改めて、ここにたどり着くまで携わったあらゆる人々に感謝を伝え、「医療ものかと敬遠されている方もいるかもなと思ったりするんですが、本当に勇気をもらえる映画になっていると思いますし、明日からの生活がまた少し違う色になって過ごしていけるような映画体験ができる作品になっていると思います。この作品が皆さんの勇気となって、明日につながっていったらうれしい」と願い、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝