キム・ゴウンへの愛が爆発!トレンディエンジェル斎藤司が語る、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』が尊い理由
「ジェヒとフンスの関係性に近いのは、僕にとっては奥さんなのかもしれません」
本作の大きなテーマとなっているのは、世代や社会に根強く残る旧態依然とした価値観のなかで、“自分らしい生き方”を模索することの大切さと、それを貫くことの大変さ。斎藤は映画のなかで描かれるジェヒとフンスの関係性について、「男女間であっても“恋愛”ではなく、お互いを必要とし合う強い“友情”。これまでの自分にはなかった感覚だからこそより強く心に残った」と言い、自分が大切に思う人たちから相容れない価値観を押し付けられた時の描写についても、「すごくリアルだった」と語る。
「いまって、いろんな意味で過渡期じゃないですか。終身雇用の時代が終わって、YouTuberのような職業がだんだん市民権を得ている一方で、トラディショナルな考え方をする人たちが、世の中にはまだまだたくさんいたりもする。そういった、複雑で繊細なテーマを、“エンターテインメント”という器を借りてリアルに描いているから、観ているほうにもスッと入ってくるんですよね。僕も、頭では、いざ自分の身に起きたときに、ちゃんと冷静に受けとめられるのかなって。思わずフンスのお母さん目線で観てしまうところもありました」と打ち明ける。
20代から30代までの長い時間軸で、“変化していくもの”と“ずっと変わらないもの”を、美しい映像と音楽にのせて描き出す本作。「大人になると、友情はあまり表に出てこない。忙しさにかまけて、表面上の付き合いになりがちですよね」と話す斎藤も、若かりし頃のジェヒとヒョンスが、酒を飲んでクラブで一晩中踊り明かすシーンや、酔った勢いに任せてタトゥーを入れたりする描写を目にし、「僕はクラブで踊り明かしはしなかったですけど、梨泰院ならぬ、“環七沿い”で、友人と夜な夜なバカなことをして遊んでましたね。いまの俺に、親友っているのかな…」と、少し感傷にひたる。斎藤にとっての“親友”や“友情”とは、どういう意味を持つのだろう。
「思い返せば、学生時代は全然仲良くなかったのに、卒業してから数年後にひょんなことがきっかけで意気投合して、しょっちゅう一緒につるむようになった友人が、僕にも1人だけいました。でも、“お互いの弱みも強みも、すべて理解している相手”という意味で、ジェヒとフンスの関係性に近いのは、僕にとっては奥さんなのかもしれません。相方のたかしに関しては、僕は結構俯瞰で見ているので、“親友”とか“友情”という括りで話すのは、ちょっと照れるんですよね(笑)。生きていれば大なり小なりみんな、なにかしらの悩みを抱えているとは思いますが、ジェヒとフンスのように、お互いの足りないところをカバーし合えるような相手が、皆さんの周りにもいると思います。たとえ、まだその存在に気がついていなかったとしてもね」。
「フンスのように、自分の内に籠ってしまうところがあるので、強く主張できるジェヒに憧れます」
さらに、“自分らしさ”を励まし合い、次第に掛け替えのない存在になっていくジェヒとフンスにちなみ、「斎藤さんにとっての自分らしさとは?」と問い掛けると、こんな答えが返ってきた。
「僕にとってはやっぱり、この“テモリ(禿げ頭という意味の韓国語)”でしょうね。自分でも、まさかこんな人生(芸人)を歩むことになるとは思ってもみなかったのですが、もともと僕は人前に立つのは割と好きで。というか、僕、本当はアイドルになりたかったんですよ。残念ながらアイドルに求められるビジュアルではなかったけど。だからこそ、その想いをいかに前向きに昇華させられるかというのが、僕の20代から30代にかけてのテーマだった気がします。結果的に『人が笑ってくれればいいか』って思えるようになったというのが、僕が辿り着いた“自分らしさ”なのかもしれません。物事をポジティブ変換できるようになった反面、フンスのように、割と自分の内に籠ってしまうところもあるので、強く主張できるジェヒに憧れるというのもありますね」。