ジェームズ・ガン監督が描く、“最強なのに共感できる”新スーパーマン像「彼の違う一面を見ることができます」
全世界興行収入1兆円を超えるジェームズ・ガン監督が手掛けた、DCユニバースの新たな幕開けとなる映画『スーパーマン』が、7月11日(金)に日米同時公開される。本作はアメコミヒーローの原点にして、アメコミ史上最も歴史のあるスーパーマンの完全新作映画だ。“最強なのに共感できる”新スーパーマンを描くことを目指したガン監督だが、果たしてその理由とは?
新しいDCユニバースの始まりにして、全世界が固唾を呑んでその動向に注目する『スーパーマン』の主人公は、ヒーローの原点であり、その“強さ”も世界中で知られている。多くの観客が抱くスーパーマンの「強すぎて共感しにくい」というイメージについて脚本・制作のガン監督は「たくさんの人が彼(スーパーマン)に共感しないということは、最初から考慮していました」と語る。
そのうえで、DCユニバースを新たにスタートする最も大切な本作だからこそ“共感できるキャラクター”として描くことにチャレンジしたと述懐。単なる無敵のヒーローではなく「パワーについてだけではなく、いままでスクリーンではあまり見ることができなかった彼のちょっと違う一面を見ることができます。そういった作品をつくりだせていることを願っています」と、観客が持つスーパーマンの印象に真っ向から向き合ったことを明かした。
普段はクラーク・ケントとして大手メディアであるデイリー・プラネット社の新聞記者として平凡に働き、その正体を隠すスーパーマン(デイビッド・コレンスウェット)。そんな彼を人類の脅威と考え、陥れようとするのが、最大の宿敵にして最高の頭脳を持った大富豪レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)だ。
本作の制作にあたり、ガン監督はスーパーマンが持つパブリックイメージについて次のように聞いていたという。「ほとんどの人が僕のところに来て『スーパーマンはあまりにも強すぎるから共感できない』とか『スーパーマンはパワフル過ぎるから共感したことは一度もない』と言いました」。しかし、そこを考慮したうえで「世界中の誰もが知っているスーパーマンだからこそ、彼のあるべき姿について、様々な人が様々な考えを持っています。そういったことにも対応しながら、僕は“究極の善人”であるという原点に忠実なスーパーマンにしたいという気持ちを最初から持っていました。本作は“人間が持つ優しさや良識について”の映画でなければなりません」と語る。
主演のデイビッド・コレンスウェットは、自身の演じるスーパーマンについて「いまはあまり話せることはありません…」としながらも「人としての小さな不完全さや葛藤があり、ひどくナイーブなわけではないですが、ナイーブさも持っています。全知全能ではない彼だからこそ、人々と一緒に希望に満ちた未来を見つめ続けられるんです。そして、彼の根底にあるのが楽しさと遊び心です!」と、抽象的でありながらも、新しいスーパーマン像が楽しみになる魅力的なコメントを放った。さらにガン監督は「僕たちの新しい『スーパーマン』は、キャラクターとストーリーをとにかく大事にしています。皆さんに楽しんでもらえると思います」と自信を覗かせる。
最強でありながらも、身近に感じられる人間的な魅力を持った新しいスーパーマンが、これまでアメコミ映画に馴染みがなかった観客へもアピールするであろう『スーパーマン』。いまこの時代だからこそ描かれるスーパーマンの物語と新たなDC ユニバースの始まりを、ぜひ映画館で体感していただきたい。
文/山崎伸子