伝説のフィルムノワール『殺しの分け前/ポイント・ブランク』超巨大顔面ポスター・ビジュアルと本予告到着

伝説のフィルムノワール『殺しの分け前/ポイント・ブランク』超巨大顔面ポスター・ビジュアルと本予告到着

60年代ハリウッドを代表するアクション・スターにしてアカデミー賞受賞俳優、リー・マーヴィン主演、巨匠ジョン・ブアマン監督によるハードボイルド・アクションの最高傑作『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(67)が、6月13日(金)より公開される。このたびマーヴィンの超巨大顔面ポスター・ビジュアルと本予告篇が解禁された。

フィルム・ノワールの定番ともいうべき裏切りと復讐のドラマを、ヌーヴェルヴァーグの型破りな手法とアメリカ西海岸発祥のサイケデリック・カルチャーを交えて描き、それまでの旧態依然とした犯罪映画を刷新した作品となる本作。

マーティン・スコセッシ監督は、「ヌーヴェルヴァーグのストーリーテリングの革新、衝撃的な編集やフラッシュフォワード、表現の抽象化を初めてクライム・アクションに応用し、ジャンルを再定義した作品」と讃え、スティーヴン・ソダーバーグ監督は、さまざまな自作のなかで「(演出技術を)盗ませてもらった」と告白している。また、寸断された時間と記憶を題材にした『メメント』(00)との関連性を指摘されたクリストファー・ノーラン監督は、「主人公のアイデンティティの問題に切り込んだこの作品は、とにかく素晴らしい」と賛辞を惜しまない。

翌年公開のスティーヴ・マックィーン主演『ブリット』(68)、クリント・イーストウッドの『ダーティハリー』(71)、アカデミー賞作品賞受賞作『フレンチ・コネクション』(71)に先駆け、ハリウッドの犯罪映画、アクション映画の歴史にかつてない衝撃を与えたこの作品は、後の『レザボア・ドッグス』(92)、『ヒート』(95)、『ドライヴ』(11)といった傑作のみならず、いまなお世界中で製作されているアクション映画に可視/不可視の影響を与え続けている。

解禁されたのは、超巨大顔面ポスター・ビジュアルだ。マックィーン、イーストウッド、スタローン、シュワルツェネッガーら、時代を代表するアクション・スターのポスターを思い返せば、多くの場合、彼らの顔と名前は常に大きく、目立つように強調されていた。いま話題の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(公開中)のポスターも、トム・クルーズの顔を前面に押し出した大スター主演作の見本であり、手本であるといえよう。

マーヴィンは、『キャット・バルー』(65)でアカデミー賞主演男優賞を受賞。続く主演作『プロフェッショナル』(66)、『特攻大作戦』(67)が連続大ヒットし、60年代当時、現在のクルーズ級の人気と実力を誇る大スターだった。この超巨大顔面ポスターは、そのようなスター・ポスターの伝統に則してデザインされている。モノクロによる陰翳を強調した彫像のごとき面構えと鋭い眼光は、誰もの目をくぎ付けにせずにおかない迫力が。作品名の上に、さらに大きく記された「リー・マーヴィン」の名前も、そのネームバリューを強く打ち出した表現となっている。文字はすべて鮮烈な赤で記され、キャッチコピーには、主人公の激情と妄執を象徴する「それはオレの金だ。」という本篇からのセリフが使われている。

また、本予告篇も解禁された。主人公ウォーカーが靴音を響かせ、ロサンゼルス国際空港の通路を歩き続ける30秒特報は「暴力が、スーツを着て歩いてくる」というキャッチコピーとともに、SNS上で大評判となった。今回初公開となった97秒の本予告篇は、その特報をベースにした拡張版だ。

アルカトラズ島刑務所の廃墟に轟く銃声に始まり、復讐と金に憑かれたウォーカーの容赦なき暴力シーンが続く。クエンティン・タランティーノ監督が「最高の名場面」と称した、靴音が響き続ける空港通路と、合わせ鏡効果によって無限空間と化した美容院のカットバックをはじめ、つじつまも合わず脈絡もない主人公の夢と記憶の連なりが見る者を幻惑する。最後は、作品イメージを象徴し、先に公開された本ポスターのキャッチコピーにもなった「夢だ、これは夢だ」というウォーカーのセリフと銃声によって締めくくられるが、一時の静寂の後、再び凄まじい激射音と爆裂音が観客の鼓膜を震わせる。


クライム・アクションとアバンギャルド映画の前人未到の融合を果たした『殺しの分け前/ポイント・ブランク』をぜひ劇場で見届けて欲しい!

文/山崎伸子