堺雅人、8年ぶりの主演映画となるラブストーリー『平場の月』で井川遥の新たな魅力を目撃「お調子者な部分もあって、じっとしていられない人」

堺雅人、8年ぶりの主演映画となるラブストーリー『平場の月』で井川遥の新たな魅力を目撃「お調子者な部分もあって、じっとしていられない人」

第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみの同名小説を映画化した『平場の月』(11月14日公開)の製作報告会見が5月22日にザ・プリンスパークタワー東京で行われ、堺雅人、井川遥、中村ゆり、でんでん、吉瀬美智子、坂元愛登、一色香澄、土井裕泰監督が出席した。

『平場の月』(11月14日公開)の製作報告会見が行われた
『平場の月』(11月14日公開)の製作報告会見が行われた

『花束みたいな恋をした』(21)の土井裕泰監督がメガホンをとった本作。中学時代の同級生である男女が再会し、離れていた35年のときを埋め心を通わせていく姿を描くリアルでせつないラブストーリーだ。

「とてもステキな体験をした撮影になりました」と充実感を語った堺雅人
「とてもステキな体験をした撮影になりました」と充実感を語った堺雅人

撮影は2024年11月上旬から12月末まで行われ、土井監督は「仕上げを残して、もう一息で完成。とてもいい手応えを感じています」とコメント。主人公となる青砥健将役を演じる堺は、撮影期間について「キャスト、スタッフはもちろん、朝霞の皆さん、志木の皆さん、新座の皆さんなどいろいろな方と出会って、とてもステキな体験をした撮影になりました」と回顧。「じわじわ来る作品。長く愛していただければと思います」と呼びかけると、青砥が中学時代に想いを寄せていた須藤葉子を演じる井川も「非常に密な時間を過ごしました。2人の再会や、仲間との友情など、ありふれた平場の話ではありますが、皆さんに共感していただけるお話だと思います」と魅力を口にしていた。

堺は、『DESTINY 鎌倉ものがたり』(17)以来、8年ぶりの映画主演を務めた。「原作を夢中になって読んだ。何度読んでもおもしろい。読めば読むほど、新たな発見がある」と原作に魅了されたとのこと。演じた青砥は、妻と別れて地元に戻り、印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に暮らしている男性。撮影は実際の印刷所を借りて行われたといい、「印刷業に携わる皆さんの誇りや気さくさ(を目にした)。そして皆さん、奥さん想いなんです。いろいろなところに青砥がいた」、「印刷所の人たちがカッコよかったです」と働く人々からいろいろなものを吸収した様子。「すばらしい人物を演じることができたと思っています」と目尻を下げていた。

井川遥、「堺さんがいることで穏やかに、やさしい気持ちで進んでいける」と信頼感を吐露
井川遥、「堺さんがいることで穏やかに、やさしい気持ちで進んでいける」と信頼感を吐露

堺が現代劇でラブストーリーの主演を務めるのは、本作が初めてのこと。司会からそう伝えられると、「そうなんですか!あら!」と自分でも驚いた堺は、「井川さんがお相手。なんの苦労もなく。全部任せて、全部相談して」と息を合わせて撮影したとコメント。ドラマ「半沢直樹」での共演も印象深いが、井川は「あの時はいつも作戦を練っていて」、堺も「今回は作戦を練らない系」と続くなど楽しそうなやり取りを披露していた。

 息ぴったりのやり取りを披露!
息ぴったりのやり取りを披露!

堺は「こんな人だったんだって」と、井川の新たな魅力を目撃することもあったという。「井川さんはやさしくて、すごくクレバーで、ステキな女優さんだと思っていた」と切りだしつつ、「今回、それにプラスして、ちょっと浮かれる部分もあって。お調子者な部分。じっとしていられない人」と意外な素顔を暴露。「寒かったので、井川さんに“井川体操”を教えていただいていた。その体操が、本当に的確で。似たような先生を探しても、井川遥を超える先生が見つからない」と笑いながら、「少女の部分というか、いままで大人の井川さんに触れることがわりと多くて。抑えている演技の井川さんが多かったけれど、今回は弾けるお芝居があって。井川さんってこんなに跳ねる人なんだと。それがとても意外で、とてもステキだなと思いました」と惚れ惚れとしていた。

一方の井川は、「20代から、何度かご一緒していた」と堺との縁を回想。「今回は2人きりのシーンが多かった。堺さんがいることで穏やかに、やさしい気持ちで進んでいける。どこまでもやさしくて、そういう愛にあふれている方。毎朝、お互いに子どもを送りだしてから(現場に)来るので、汗だくで(笑)。朝の報告として、『今朝はどんなハプニングがあったか』というところから始まり、生活のなかにこの映画があったような感じもしています。堺さんはど真ん中に立つ方なんですが、平場の、日常にある機微をすごく感じる方。そういうことが、いろいろな役を演じる時に反映されるんだろうなと思いました」と役者力の秘密を実感したと話していた。

青砥の中学生時代を坂元愛登が演じた
青砥の中学生時代を坂元愛登が演じた

そしてオーディションで抜てきされた坂元と一色が、青砥と須藤の中学生時代を演じる。坂元は「堺さんの中学時代をやらせていただくとなって、どうしようと。とにかく堺さんの作品をたくさん観て、少しでも堺さんの中学時代としてふさわしくなればいいなと思っていました」と意気込んだことを告白。一色は「中学時代は、大人になった須藤葉子につながるとても大事な時代だと感じていました。井川さんにうまくつなげられるような中学時代を演じたいと考えながら、キャラクターを作っていきました」と振り返った。

須藤の中学生時代を一色香澄が演じた
須藤の中学生時代を一色香澄が演じた

2人の演じる中学時代が先に撮影をされ、その後に堺と井川が大人時代の撮影に臨んだ。堺は「いやあ、よかったです」、井川も「みんなで『エモい』って言いながら見ていた」とまぶしさを感じたと目を細め、さらに堺は「プレッシャーがありました。坂元さんは、揺らぐ感じもすごくよくて。一色さんの目もいい」と絶賛。井川も「一色さんの須藤が、もうそこにいた。この強さや微動だにしないけれど、なかに燃えているようなものを感じた。これをつないでいなかければと思いました」と称えると、坂元は「うれしすぎて、ウキウキしちゃっています」、一色は「すごくうれしいです」と輝くような笑顔を見せていた。


取材・文/成田おり枝

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