高橋一生&飯豊まりえ『岸辺露伴は動かない 懺悔室』ジャパンプレミアで笑顔!荒木飛呂彦からのサプライズに「みんなで分かち合いたいです」
映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(5月23日公開)のジャパンプレミアが5月12日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催され、高橋一生、飯豊まりえ、戸次重幸、井浦新、渡辺一貴監督が登壇した。
シリーズ累計発行部数1億2千万部超を誇る荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれたスピンオフ「岸辺露伴は動かない」。主人公は相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むことができる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴。高橋一生が主演を務め2020年にドラマ化され、原作ファンもそのクオリティを絶賛し「実写化の理想系」として人気のシリーズに。2023年には実写ドラマのチームが再集結し制作した映画版第1作目の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開された。
実写シリーズ最新作では、漫画「岸辺露伴」の記念すべき最初の作品で、ファンの間で屈指の人気を誇る伝説的なエピソード「懺悔室」を邦画初となる“全編ヴェネツィアロケ”にて撮影、「岸辺露伴」史上最大スケールでの完全映画化を実現させた。
イベント冒頭、「高橋一生役を演じさせていただいた岸辺露伴です」と挨拶し観客を笑わせた高橋は、ジャパンプレミアで完成した作品を届けられること、そして舞台に登壇できたことを「幸せに思っています!」と笑顔で感謝。「みなさんとこの幸福を分かち合いたいと思います」と“幸せの絶頂を迎えると絶望の淵に落とされる呪い”が登場する物語につながる”幸福”や”幸せ”というワードを交えてコメントした。
戸次、井浦ら新キャストとの共演について「5年やっているシリーズですが、5年前からずっといたかのような2人。見事に世界観に馴染んでいます」と大絶賛。戸次と井浦が大の荒木飛呂彦ファンであるため、2人の“好き”が世界観に馴染んでいる理由のひとつとしつつ、「俳優としての技量がそうさせていると思うと、感動しながらの撮影でした」と充実した撮影をしみじみと振り返っていた。
戸次と井浦の作品愛に関しては飯豊も強く感じていたようで、「井浦さんとは食事休憩などでお話をしたのですが、『この方、ジョジョ愛がある!』って感じて。いい意味で(現場に)『オタクがいる!』って心のなかでガッツポーズしてました」と報告。戸次とは何度か共演経験があるが「毎回、印象が違っていて。(本作では)一瞬、戸次さんかどうかわからない(笑)。漫画の世界から飛び出したような説得力がありました。ご一緒できてうれしかったです!」と大絶賛。新キャスト2人との共演には「命をかけて作品に向き合ってくれたのがうれしかったです。大きな力を与えてくださったことに心から感謝しています」とお礼を伝える場面もあった。
「荒木先生の作品で大きくなった自覚がある」と認めた戸次は「自覚があるからこそ、本当にうれしくて。同時にプレッシャーも感じました」とオファーを振り返り、しっかりと十二分に表現しなくちゃ!という想いと…」と話したところで、「やっぱりうれしさのほうがまさっていたかな」と本音もポロリ。この世界観にいることについて「身に余る光栄。撮影は1秒、1秒現在進行形でうれしかったです」と作品への愛と参加へのよろこびを爆発させてた。
愛が強すぎるがゆえに「浮かれてはいけない」と気を引き締めたという井浦。「うれしさ、幸せを感じているけれど、まだ『やったー!』って言えないというか」と心境を明かし、「本作をすごいクオリティに育ててきた一座に入って、最初は模索しました。でも、本読みの時からみんなウェルカムな空気で受け入れてくださったので肩がほぐれました」とチームに感謝。さらに「ヴェネツィアは合宿のような感じ。助け合ったり、励ましあったり、出番がない時にもそれぞれが(撮影を)見にきてくれるし、僕もついつい見にいっちゃう。そういうことが自然に起きる現場ってありそうでない」とし、そういったいい座組みで作品を作ることができ、最終的に幸せを感じることにつながったと笑顔を見せていた。
新作ごとに話題になる、自身が演じる泉京香の衣装について飯豊は「本作では人間の二面性、光と影を衣装にも含めていたのが印象的でした」と説明。続けて「ショッキングピンクの衣装は泉くんが持つ生命力の象徴。黒と白のフリルのトップスは泉くんなりのフォーマルへの敬意。リボンは彼女のファッションに対する敬意を、攻めながらも込めています(笑)」とし、「衣装に袖を通すたびに、泉くんと重なるようなおまじないのような想いが(今回も)あって、すてきでした!」とうっとりしていた。
イベントでは荒木飛呂彦からのメッセージと共に、イラストも到着。「すぐに持って帰りたい!」とウキウキの高橋。イラストと共に写真撮影をした後に、戸次は「僕が持ちたいです!」とおねだりする姿に会場もほっこり。井浦は「(抱き抱えるのは)恐れ多い…」としながらも、イラストから目が離せない様子。高橋は「みんなで分かち合いたいです!」と満面の笑みを浮かべた。メッセージは「短編だった作品が、岸辺露伴がそうやって広がっていくことがとても感慨深いです。旅情豊かで、人生があって、香り高い宝石のような第一級のサスペンス作品。私たちの目指すところはそこだからです」と書かれており、高橋は「私たち」という表現に触れ、「飛呂彦さんのこの『私たち』のなかに僕らが入っているのかもしれないと思うと、非常に身の引き締まる思いです」と語り、「原作者である飛呂彦さんがこの映画にこの文章を寄せてくださることがひとつの結実点じゃないかなと思っています。非常に感動しますし、それにしっかりと応えている強度のある作品になっているはずだと思います」と話す。
さらに本作を観た感想について「僕は、ちょっとこれまでの映画とは違うと感じました」とし、自身が感じたおもしろさ、異端さを映画を観た人たちに繋いでいってもらえると思うと「幸せのお裾分けができているようで、うれしく思います」とニッコリ。最後に「ヴェネツィア、飛呂彦さんの作品、そしてチームが紡ぎ出した作劇に酔いしれてください!」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ