『サンダーボルツ*』フローレンス・ピューやセバスチャン・スタンらが役柄への想いを語る!15年間演じたバッキーは「まるで兄弟のよう」
「バッキーのことはまるで兄弟かのように感じています」(セバスチャン・スタン)
エレーナの父で、レッド・ガーディアン役のハーバーは、“劇中の娘”、ピューについて「フローレンスは、エレーナのキャラクターとこの物語に対しとても強くコミットし、たくさんのアイデアを持ち込んでいました」と評価する。「ジェイク(・シュライアー監督)と3人で、口から泡を飛ばすくらい熱烈に話し合いを続けました。私たちの意見は一部が採用され、そして一部はお蔵入りとなりましたが、このような大作映画において意見を取り入れてもらえるのは当たり前のことではないのです」。ピューは「父親と娘が『お前は失敗だ!』とお互いに言い合うシーンを実際に演じることができて、心から感銘を受けました。キャラクターが現実的に成長する過程を描くシーンだったので」と、スクリーン上で親子の成長が感じられたことに満足している様子だった。
バッキー役のスタンは、15年間このキャラクターを演じ続けてきた経験について、「正直なところ、バッキーのことはまるで兄弟かのように感じています。興味深いことに、私たちは15年もの間、お互いから様々なことを学び合っていました。私が人生で得たものをバッキー役にフィードバックできるのが、本当にすばらしいと思います」と、キャラクターとの深いつながりを語る。バッキーことウィンター・ソルジャーのシーンには、『ターミネーター2』(91)へのオマージュが隠されているそう。それを指摘されたスタンは、「実は、2011年の『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』を撮影している時、『ターミネーター2』のサントラをずっと聴いていました。だからあの時のウィンター・ソルジャーの歩き方や雰囲気は、少なからずターミネーターの影響を受けていたと言えるでしょうね」と十数年越しの秘密を明かしてくれた。
ヴァレンティーナ役のドレイファスは、自身のキャラクターについて、「サンダーボルツの面々がアンチヒーローならば、ヴァレンティーナはアンチヴィランと言えるでしょう」と位置づけ、「彼女がなぜこういう人物になったのかを理解する機会を得られました。必ずしも彼女の行動を正当化するものではありませんが、理解することはできました。私がキャラクターにアプローチする方法は、彼らがいわゆる“善人”か“悪人”かに関わらず、判断せずに接することです。そのため、ヴァレンティーナの動機にアプローチする方法は本当に刺激的でした。一体彼女は、なにを原動力に権力に対して飽くなき渇望を抱いているのか?と考えました。いままでの作品で少しずつ知り合ってきたヴァレンティーナを再発見する旅のようでした」と語り、キャラクターに深みを与えるよう尽力したという。
映画公開後に驚きの仕掛け!なんと映画タイトルが…?
『サンダーボルツ*』は、単なるアクション満載のスーパーヒーロー映画ではなく、内面的なトラウマ、うつ、そしてなにかに属している必要性といった個人的なレベルの問題にも深く切り込んでいる。また、今作が発表された当初から話題になっていたタイトルのアスタリスク(*)の謎が、映画の公開後に明かされた。映画公開後に異例のタイトル変更が発表されたのだ。アスタリスクは、新タイトルの『The New Avengers』を意味すると映画のラストで告げられている。アメリカでは街中のビルボード広告や映画チケットサイトの表示が新タイトルにすり替わり、新たなる仕掛けが話題を呼んだ。日本においてタイトルが変更されるかどうかは発表されていない。
MCUの新たなフェーズを象徴する『サンダーボルツ*』は、これまでのマーベル作品の枠組みを超え、より成熟した物語とキャラクター造形で観客を魅了する野心作として、今後の展開が大いに期待されている。
取材・文/平井伊都子