『サンダーボルツ*』をネタバレレビュー!「*」の意味や『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』への展望も予想

コラム

『サンダーボルツ*』をネタバレレビュー!「*」の意味や『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』への展望も予想

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作『サンダーボルツ*』が公開中だ。「かつてのMCUの雰囲気が戻ってきた」と多くの映画批評家やファンからも高い評価を得ている。公開前の情報では、CIA長官のヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)の指揮のもと、かつてヒーローと敵対し、悪行を重ねた“ならず者”たちが集められ、新チーム「サンダーボルツ」としてニューヨークに迫る危機に立ち向かう…とされていた。が、本編はそんな事前情報を完全に裏切る内容だった。

※本記事はネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。

ヴァルに翻弄された者たちがチームを結成し、戦うことに

ヴァルはCIAの職務とは別にOXEという科学会社を運営し、そこでは人工的にスーパーヒーローを作りだす「セントリー計画」が実行され、非人道的な人体実験が行われていた。そして、エレーナ(フローレンス・ピュー)、ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)、ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)、タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)たちは彼女の手足となって動く秘密エージェントとして、それぞれがOXEやセントリー計画に絡む非合法な任務をこなしていた。

しかし、セントリー計画が失敗したことをきっかけにヴァルは、エレーナたちを含む計画に関わるすべての物証を一掃しようとする。偽りの依頼を受けたエレーナたちが焼却施設に集められ、証拠隠滅を図られそうになる…という形で物語がスタートする。

【写真を見る】姉ナターシャを失った喪失感、暗殺者として生きてきたことへの苦悩を抱えているエレーナ
【写真を見る】姉ナターシャを失った喪失感、暗殺者として生きてきたことへの苦悩を抱えているエレーナ[c]2025 MARVEL

しかし、ここでヴァルにとって予想外の事象が発生する。一つは、セントリー計画に参加したすべての被検体が死亡したと思っていたものの、唯一ボブ(ルイス・プルマン)が生き残っていたこと。そしてもう一つは、互いに殺し合うだろうと踏んでいたエレーナたちが、施設から脱出するために協力し合ったことだ。さらに、ヴァルが送り込んだCIAの特殊部隊との戦闘でボブの能力が覚醒し、エレーナたちも脱出に成功。エレーナを心配して迎えにやって来たレッド・ガーディアンことアレクセイ(デヴィッド・ハーバー)、下院議員となってヴァルを罷免すべく行動していたバッキー(セバスチャン・スタン)も加わり、仮称のヒーローチーム「サンダーボルツ」を結成することになる。

予想から外れた「サンダーボルツ」結成の経緯

サンダーボルツというチームを原作コミックスから知っていた者、本作から知った者にとっても、序盤から“いい意味で期待を裏切る展開”によってグッと物語に引き込まれる。

罪人やヴィランがチームを結成するという点で、共通する要素が多いDCコミックス原作の「スーサイド・スクワッド」のMCU版を想像していたファンも多いだろう。しかし、『サンダーボルツ*』はチームの誕生からミッションの挑み方まで、まったく別方向のアプローチがなされている。無理矢理な命令ではなく、ならず者らしい自己選択による行動と、利害が一致しただけで仲間意識が決して強くない共闘関係の描き方は、メンバーの個性と魅力を強調し、物語の展開と共にキャラクターへの思い入れをより強くしてくれる。

ウィンター・ソルジャーことバッキー、ジョン・ウォーカー、レッド・ガーディアン、ゴーストらがチームを結成
ウィンター・ソルジャーことバッキー、ジョン・ウォーカー、レッド・ガーディアン、ゴーストらがチームを結成[c]2025 MARVEL


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