渡辺翔太主演『事故物件ゾク 恐い間取り』撮影現場に潜入!中田秀夫監督が明かすホラーとしての“原点回帰”

インタビュー

渡辺翔太主演『事故物件ゾク 恐い間取り』撮影現場に潜入!中田秀夫監督が明かすホラーとしての“原点回帰”

中田秀夫監督がホラーとしての“原点回帰”を宣言。目指す先には、意外なアノ映画が!?

『女優霊』(95)、『リング』(98)でJホラーブームを牽引し、『ザ・リング2』(05)でハリウッドに進出した中田監督。その後も『スマホを落としただけなのに』(18)、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(24)など幅広いジャンルの作品を手掛け、日本映画の第一線で活躍を続けている。

【写真を見る】渡辺翔太の“吸収力”に中田秀夫監督も驚愕!撮影現場の模様を密着レポート
【写真を見る】渡辺翔太の“吸収力”に中田秀夫監督も驚愕!撮影現場の模様を密着レポート[c]2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

段取りの最中、中田監督はセットの内部を何度も歩き回り、カメラマンや渡辺、加藤らに細やかな指示を出していく。てきぱきと段取りが終わり、あっという間にリハーサル、本番が始まっていく。若手からベテランまで実力派スタッフが揃った“中田組”のスピーディな現場作りには、集まった取材陣も圧倒されていた。

セットを組み替えるタイミングに合間を縫って囲み取材に応じてくれた中田監督に、ホラー映画としての本作の狙いについて尋ねた。

「前作は海外のホラーのようなエンタメ感を取り入れたいという狙いがあり、“ポップなホラー”と自分で呼んでいたんですが、今回はもう真っ向勝負。近年の僕の作品はやや説明過多になっていたんじゃないか、ちょっと見せすぎていたんじゃないかとか、そういう反省に立って取り組んでいます。30代で撮った『女優霊』の時の若い感性に戻ろうと考えている部分もあったりして、僕にとっては原点回帰と言っていいと思います」。

降霊術のシーンは中盤の山場となる、仕掛けたっぷりのシーンとなっている
降霊術のシーンは中盤の山場となる、仕掛けたっぷりのシーンとなっている[c]2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

「ホラー表現としての新しさという点については、自分のやっていることが世界中のどんな監督も編みだしてない技だろうなどと言うつもりはまったくないんです。『女優霊』や『リング』だって、当時は『新しい』と言われましたが、僕としては中川信夫作品などを繰り返し観て、歴然と恐怖場面と、見えないことが怖い、曖昧なものが怖いという日本人的な感性を研究して、メリハリをつけながら作りあげていったという感覚です」。

初タッグとなる渡辺の印象については、「繊細な演技がすばらしいですね。ワッと驚くところとそうでないところ、ニュアンスをきっちり付けてやってくださっています。リハーサルの時に比べても“進化ぶり”に驚いていて、吸収力というのかな。撮影が始まってからさらにグイッとギアアップしている感じです」と、現場での立ち居振る舞いに太鼓判を押す。

「クランクインが吉田鋼太郎さんと渡辺さんの場面だったんですが、吉田さんとのツーショットでも負けない力がある。やはり普段からグループでファンの方々に見つめられてきている方ですから、初主演ながらも画面の中心にいることができるのだと感じています。『ここぞ!』というところで集中力を発揮してくださっていますね」。

吉田鋼太郎が芸能事務所社長の藤吉清役を好演
吉田鋼太郎が芸能事務所社長の藤吉清役を好演[c]2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

中田監督は本作が目指しているものについて、お茶目なヒントを与えてくれた。「1作目よりも事故物件の数も幽霊もパワーアップしています。幽霊が1軒目、2軒目とどんどん強敵になっていくので、僕のなかではこれは(ブルース・リー主演の)『死亡遊戯』だろうと感じていて(笑)。最後の事故物件にはどんな結末が待ち受けているのか…ぜひ期待してください」。

「単に怖さをエスカレートさせた続編にはしたくない」。中田監督が試みる、日本的“怪談”作劇への回帰

撮影現場の見学終了後、企画の経緯について宇高武志プロデューサーが取材に応じてくれた。「前作が大ヒットになって、もちろん続編を作る企画はずっとあったのですが、どういう形であれば続編が成立するかという議論に時間を費やしました。その結論としてやはり、事故物件に初めて住む主人公が、次々と新たな物件に住むなかで本当の恐ろしさに気付く、という構造こそがおもしろいと思い、『同じ世界観のなかで、新たなキャラクターが初めて事故物件に住む』という本作のアイデアが生まれました」。

「ただ、『続編だからと言って、単に怖さをエスカレートさせていくという作りにはしたくないよね』という監督とプロデューサーの総意が脚本段階であって。新たな主人公を迎えるからには、前作にはないアッと驚くアイデアも入れたい。例えば今回の主人公であるヤヒロのキーワードが“優しさ”なんです。優しすぎるからこそ、人も寄ってくるけれど、幽霊も呼び寄せてしまう。もちろん怖さという要素はあるんですが、その背後に愛や想いなどを織り交ぜていって、前作とはまったく違う味わいの結末にしようというのが、脚本を作った時の考えです」。

最後に、宇高プロデューサーはホラーファンへ向けての見どころについて、中田監督がこだわり抜いた“幽霊”の表現だと教えてくれた。「今回中田監督は、ホラー表現の根幹というものを改めて追求していらっしゃいます。暗がりが怖いってなんだろう、得体の知れないなにかがこの壁の向こう側にいるという怖さってなんだろう。造形面でも日本画に出てくるような幽霊を意識しているシーンもあります。今回、幽霊を演じる方も監督自らがオーディションをして相当こだわって選ばせていただいたんですが、 それぞれタイプの違う、ものすごく怖い幽霊になっていて(笑)。主役に並ぶくらいの重要なキャストとして、各物件に目玉になるような幽霊が出てきます。その点にも注目して観ていただきたいですね」。

『事故物件ゾク 恐い間取り』は7月25日(金)公開!
『事故物件ゾク 恐い間取り』は7月25日(金)公開![c]2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会


取材・文/PRESS HORROR編集部

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