鈴木保奈美「心の底から楽しむことができました!」映画『HERE 時を越えて』公開記念イベントで思い出の写真も披露
映画『HERE 時を越えて』(4月4日公開)の公開記念イベントが3月26日、ユーロライブにて開催され、鈴木保奈美が登壇。本作の魅力やおすすめポイントを語った。
本作はロバート・ゼメキス監督×トム・ハンクス×ロビン・ライト。1994年度の米アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、監督賞など6部門を制した『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)のスタッフ&キャストが贈る、ある地点に暮らす幾世代もの家族の愛と喪失、記憶と希望の物語。「すべては、ここ(HERE)で起こる」というテーマのもと、 動かないカメラで時空を越える物語が紡がれていく。
「なにが始まるんだろう…という映画」と観ていると不思議な感覚があったと笑顔で感想を伝えた鈴木。「誰も殺されないし、宇宙人が襲ってくるとか巨大な陰謀とかも(ない)。そういうドタバタしたことがまったくなく、どこにでもいる家族のどこにでもあるお話を丁寧に追っていくだけなのに、どうしてこんなに惹きつけられるんだろうとびっくりしながら観ました」と振り返り、「心の底から楽しむことができました」と満足の様子。スクリーンを停止して隅々まで観たいポイントばかりだとし、映画館の大きいスクリーンで観るべき映画だと語った。
原作も読んだという鈴木。「不思議な世界が展開していくけれど、そういうことか!と(徐々に)わかっていく」と説明し、内容、世界観を理解していくとより「どうしてこういう発想が生まれたんだろう」と感じずにはいられない作品だとも付け加えていた。原作には殺伐としたシーンや、映画にはないかなり先の未来が登場するそう。「ちょっと警告的なページも出てくるけれど、そこは(映画では)ゼメキス監督は愛で包んだなって感じ」と微笑み、「ちょっとシビアな描写は取り払って、家というところにフォーカスして撮影したんだなと思いました」とのこと。「厳しい描写の部分はあえて描かず。社会的なメッセージを込めた作品にすることもできたはずだけど、そうではない作品に仕上げたところは、監督の優しさなのかな?と思いました」とゼメキス監督が本作に込めた思いを予想する場面もあった。
ハンクスとライトが共演し、10代から70代までの年齢を演じている。最新のVFXの技術を使っているのだが、撮影後にVFXを施すという手法ではない。撮影前に2人の若い時の写真を集めておき、メイクをデジタルで施した顔を画面で観ながら撮影する手法だという。今後もしこういった手法で撮影をという依頼があった際には「やりたいです!」と即答した鈴木。「新しくておもしろそうなものはやってみたい派」であるとも話していた。
どのシーンも印象的で、おすすめを挙げるのは難しいとしながらも、見どころの一つとして「ミシェル・ドッカリーが出ていること!」とニコニコ。「『ダウントン・アビー』が大好きなので、ミシェル・ドッカリーが出てる!と思ってうれしくなりました」とおすすめしていた。
映画では”家”が印象的に登場する。鈴木は小さいころによく行っていた祖父の家の記憶を思い出したそう。祖父の家の前で撮影した懐かしい写真を公開した鈴木は「七五三の時の写真です。すぐ隣の離れのようなところに住んでいたこともあったけれど、大きくなって引っ越して。引っ越してからもお正月や夏休みには必ず遊びに行っていました。初孫でとてもかわいがってもらって。親戚がよく集まる家でここで過ごした時間は思い出として強く心に残っています」としみじみ。映画ではメインで登場する家の窓も印象的だったとし、「窓から見える向かいの家がずっと気になっていました」とも語った。
「いろいろなものが映っているのでとにかく隅から隅まで目を凝らして観ていただきたい!」と呼びかけた鈴木は、「美術が本当にすばらしい。(映画)全体を支配する監督の優しさと美術にかける情熱、工夫(が見どころ)。ものを作るってこれだけ工夫してこれだけ情熱をかけて大変な思いをして作らなければいけないんだなって思います」と力を込める。スクリーンに映しだされた、ゼメキス監督、ハンクス、ライトのオフショット写真を見つめ、「写真を見ても楽しそうなのがわかる。昔一緒にたくさん仕事をした仲間でまた集まって作品を作ろうよ、みたいな雰囲気。絶対楽しかったんだろうなぁ。楽しさのお裾分けをいただいたみたいで、幸せな気持ちになります!」と本作の魅力を存分に伝え、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ