パク・ウンビンが狂気の闇医者、チュ・ジフンが型破りな救命医に!バラエティ豊かなキャラクターが盛り上げる韓国の医療ドラマ

コラム

パク・ウンビンが狂気の闇医者、チュ・ジフンが型破りな救命医に!バラエティ豊かなキャラクターが盛り上げる韓国の医療ドラマ

天才的で鮮やかなメスさばき、チームの結束感、患者たちのケア、現場と経営陣の対立など、医療の最前線を描く医療ドラマには心を揺さぶられる要素が多い。弱った人を静かに励ます温かな言葉や、生命の尊さをめぐる重厚なメッセージにも胸を打たれる。今回は近年製作された韓国の医療ドラマの話題作に登場した多彩なキャラクターを、演じた俳優たちと共に紹介していこう。

新境地のパク・ウンビンVS冷酷なソル・ギョング!「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」

この春特に注目したい新作医療ドラマが「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」だ。師弟関係にあった2人の医師があることをきっかけに決別し、その後対立しながらも利害を含めた奇妙な関係で人生が交錯していく。

【写真を見る】「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のほのぼのしたイメージから一転、「ハイパーナイフ」で鬼気迫る演技を見せるパク・ウンビン
【写真を見る】「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のほのぼのしたイメージから一転、「ハイパーナイフ」で鬼気迫る演技を見せるパク・ウンビン[c]2025 Disney and its related entities

本作の主人公の一人、セオクは17歳の若さで首席入学した天才医師だ。脳への興味は純粋で人一倍の情熱を持つが、それがエスカレートしてしまうことがある。師匠に見放されたのちは医師免許を剥奪されて違法手術をする闇医者に身を落とし、さらには医療従事者にあるまじき非道にも手を染めている。演じるのは「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で世界的にブレイクし、スター街道をまい進中のパク・ウンビン。「無人島のディーバ」などこれまで努力で道を切り開いていくキャラクターを好演していたが、今作では鬼気迫る表情であざやかに手術を成功させ、相手を痛めつけるときには笑顔を浮かべるなど、これまでの作品とは違ったサイコパスな一面を持つキャラクターを演じる。

決別したはずの二人の思いも寄らない再会の結末は?
決別したはずの二人の思いも寄らない再会の結末は?[c]2025 Disney and its related entities

もう一人の天才は、セオクの師匠で天才脳神経外科医チェ・ドッキ。カリスマ性があり、セオクを認め弟子として迎えていたが、その後衝突し手術室から追放し、医師免許まで奪う。だが難病の脳幹部グリオーマに侵されたことでセオクに手術を依頼する。何を考えているか分からない底の恐ろしさはセオクとは違うようでいて、似たもの同士なのかもしれない。最近のソル・ギョングは『満ち足りた家族』(24)で演じた弁護士役でも、エリートゆえの冷酷さを見せており、今作でさらに磨きをかけた。

良き師弟関係にあった二人だが、次第に亀裂が生まれる
良き師弟関係にあった二人だが、次第に亀裂が生まれる[c]2025 Disney and its related entities

セオクのマネージャーでありボディガードでもある若者ソ・ヨンジュは、セオクの裏の顔を知ってもなお“お嬢様”と呼び、違法手術から汚れ仕事まで献身的にサポートしている。ユン・チャニョンはゾンビ青春もの「今私たちの学校は…」でクラスメートを救うべく犠牲となったチョンサン役で印象を残した俳優だ。

セオクの腕前を信頼し、静かに手術を助けるベテラン麻酔科医ハン・ヒョンホには、映画やドラマで悪党から小市民まで演じ分けるパク・ビョンウンが扮する。尊敬、復讐心といった相反する感情でねじれたセオクとドッキの関係を盛り上げる。

チュ・ジフンが豪腕天才外科医を熱演!新しい才能も発掘したメディカルコメディ「トラウマコード」

2025年早々に多くの視聴者を楽しませたのが「トラウマコード」だった。人気ウェブ漫画を原作にした本作は、紛争地域で多くの命を救ってきた天才外科医ペク・ガンヒョクが、韓国有数の大病院の重症外傷チームに赴任したことで巻き起こる騒動を描くメディカルコメディだ。

国境なき医師団で紛争地域の命を多数救い、“神の手”と称されるペク・ガンヒョク。演じたチュ・ジフンの言葉を借りれば「無敵、痛快、躊躇しない」が特徴。部下に奇天烈なあだ名をつけるなど、ともすればパワハラキャラとして敬遠されそうだが、誰よりも患者を救うことを考えている誠実な医師だ。そこにチュ・ジフン持ち前のコメディセンスも相まってキャラクターが戯画的になり、そのユニークさが視聴者の支持を得た。

豪腕だが医者として筋の通った行動を取るペク・ガンヒョク
豪腕だが医者として筋の通った行動を取るペク・ガンヒョク[c]Netflix

さらに「トラウマコード」は次世代スターを輩出した。ガンヒョクの一番弟子ジェウォンは、医師一家の一人息子で大学首席入学の秀才。心技体揃ったフェロー(医学部卒業の後、一定期間の初期研修を経て専門分野の高度な研修を行う医師)だが、肛門外科担当という理由からガンヒョクに出会った瞬間“肛門”と名付けられてしまい、その後は彼のもとで東奔西走することに。己の未熟さに打ちのめされるシーンもあり、挫折を成長の糧にしていくジェウォンを応援するのも楽しい。先に配信中だった「オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-」でファン層を急拡大していたチュ・ヨンウがコメディ演技にも挑戦し、新人らしからぬ安定感で鮮烈なインパクトを残した。

新米医師で“今年の顔”に躍り出たライジングスター、チュ・ヨンウ
新米医師で“今年の顔”に躍り出たライジングスター、チュ・ヨンウ[c]Netflix

“ヤクザ”という不名誉なあだ名で呼ばれながら、勝ち気な性格でガンヒョクをもたじろがせるシニア看護師チョン・ジャンミに扮したのは、新進気鋭の役者ハヨン。「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の依頼者役など主演歴は多くはないが、実生活で両親が医療関係の仕事をしており、彼女自身も病院関係の仕事の経験があるからこそ、堂々と演じることができたのだろう。

活発で物怖じのない性格でチームのまとめ役ハヨン演じるジャンミ
活発で物怖じのない性格でチームのまとめ役ハヨン演じるジャンミ[c]Netflix

レジデント(研修医)ながら的確な仕事ぶりでガンヒョクに一目置かれている麻酔医学科ギョンウォンには、『めまい 窓越しの想い』(19)でチョン・ウヒをひたむきに思う掃除夫を好演したチョン・ジェグァンがクールに演じている。また肛門外科長のハン・ユリムは愛弟子ジェウォンを引き抜かれたせいで当初はガンヒョクを邪魔者扱いするが、ある事件をきっかけに彼を大恩人と慕い、何かにつけて味方をするようになる。どうにも憎めない彼を演じたのが韓国ドラマファンなら必ずどこかで見たことがあるはずの名バイプレーヤー、ユン・ギョンホだ。

韓国のファンミーティングでも積極的に場を盛り上げた愛されキャラ、ユン・ギョンホ
韓国のファンミーティングでも積極的に場を盛り上げた愛されキャラ、ユン・ギョンホ[c]Netflix

韓国では200人の定員に2万人の応募があったというファンミーティングまで開催され、放送終了後も話題冷めやらぬ本作。すでにシーズン2の製作も検討されている。

人間の弱さに寄り添うハートウォーミングドラマ「今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー〜」

医療が癒やすのは、目に見える患者の傷ばかりではない。同名のウェブ漫画をドラマ化した「今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー〜」は、精神科で働き始めた看護師ダウンと、病棟で出会う人々との交流を描いている。

主人公のダウンは、大学病院3年目の看護師だ。以前は内科勤務で丁寧な仕事ぶりが患者に信頼された反面、同僚から反感を買い精神科に異動する。不器用な自分を追い詰めてしまいがちな彼女は、葛藤しながらも周りに支えられていく。パク・ボヨンは本人が持ち合わせる優しい雰囲気も相まって『コンクリート・ユートピア』(23)や「照明店の客人たち」と、看護師役が当たり役となりつつある。

今やパク・ボヨンの十八番となった看護師役はこの作品から始まった
今やパク・ボヨンの十八番となった看護師役はこの作品から始まった[c]Netflix

肛門外科で働く変わり者の医師ゴユンも、指を鳴らしてしまうという強迫的な癖が治らず精神科へ通院していた。演じるヨン・ウジンはラブコメディに多数出演してきた経験もあり、直向きなダウンを気にかけて心の支えのような存在になっていくのも納得だ。

ダウンの幼なじみであるゴユンは以前大企業に就職したものの、パニック障がいのせいで退職を余儀なくされた。演じたチャン・ドンユンは近年『オオカミ狩り』(22)や『デビルズ・ゲーム』(23)でのバイオレンスなキャラクターでインパクトを放っている。そのギャップを見てみるのもおもしろいだろう。


こうした生きづらさを抱える彼らや彼女らを包み込むヒョシンは、後輩の看護師たちを見守る看護師長だ。酒豪という豪快な一面もある。ヒョシンに扮したのは『パラサイト 半地下の家族』(19)の家政婦役で知られるイ・ジョンウン。「照明店の客人たち」で現世に未練を残した母親役で韓国ドラマファンのむせび泣きを誘ったが、あらゆる意味で包容力のある今作のキャラクターにもまた違う癒やしをもらえる。


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