実在の政治スキャンダルも題材に。ポリティカル・サスペンスの要素も備えた「キャプテン・アメリカ」シリーズの魅力
ソコヴィア協定をめぐってヒーロー同士の正義が対立する
続く『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)では、アベンジャーズを国連の統治下に置くというソコヴィア協定に賛成するか否かで、チームが分裂してしまう。アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)は賛成するが、スティーブやサムは反対派に回る。いずれも自身の正義感に則って決めたことで、どちらが正しいかは判断の難しいところだ。ちなみにこの協定を推し進め、スティーブらと対立する国務長官サディアス・ロス(ウィリアム・ハート)は『インクレディブル・ハルク』(08)以来の登場で、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でも物語の政治的な側面を担う。
難民問題や歴史の闇と対峙したサムがキャプテン・アメリカになることの意味を自問する
スティーブ引退後のサムを主人公に据えたドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、彼がキャプテン・アメリカという重責を引き受けるまでの戦いの物語。ここには人種や難民、貧富格差などの社会性がこれまで以上にダイレクトに盛り込まれている。サムの新たな相棒ホアキン(ダニー・ラミレス)や、かつてスーパーソルジャー計画の実験台となり人生を狂わされたイザイア(カール・ランブリー)といった、新作に登場するキャラも出ているので、興味のある方はぜひチェックしてほしい。
サディアス・ロスが合衆国大統領に就任するなか、世界大戦に発展しかねない事態が巻き起こる
さて、注目の新作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』。主人公サムに対して、合衆国大統領となったロスはアベンジャーズの再結成を求める。一方で動き始める、洗脳術を駆使した何者かによる陰謀。これによりアメリカは日本やフランス、インドを巻き込んで、世界大戦に発展しかねない、とてつもない危機に陥る。
果たして、サムの“正義”は世界の衝突を回避することができるのか?故ウィリアム・ハートからロス役を引き継いだレジェンド、ハリソン・フォードの熱演にも注目。濃厚なポリティカル・サスペンスを、じっくりと味わってほしい。
文/相馬学