トップモデルから報道写真家へ転身した女性の実話を映画化『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』日本公開決定
ケイト・ウィンスレットが主演と製作総指揮を務めた映画『LEE(原題)』が、邦題を『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』として5月9日(金)より公開されることが決定。あわせて、予告映像とポスタービジュアルが到着した。
本作で描かれるのは、モデルとしての活動を経て写真家へ転身し、戦争の最前線を駆け抜けた実在の報道写真家、リー・ミラーの数奇な運命。マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、ダリ、コンデ・ナストらを魅了してきた輝きは、写真家へと転身してからも光りを放ち、凄まじい情熱とエネルギーで戦場へ赴く写真家となった。彼女が写しだす写真には、唯一無二の芸術的センスに加え、人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、いまもなお、人々を惹きつける歴史的記録として真実を伝えている。
本作の製作総指揮でもあり、主演としてリーを演じたウィンスレットは、20世紀の男性社会に飛び込み、使命を持って写真を撮り続けたリーの人生に深く感銘を受け映画化を熱望。8年以上の歳月をかけミラーの知られざる人生を映像化。監督は、本作が長編映画監督デビューとなるエレン・クラス。ウィンスレットは「リーがどのような人物で、戦争写真を撮るという経験が彼女をどう変えたのか、ありのままの真実を伝えたい」と、多数の賞を受賞している著名な撮影監督でもあり、彼女が撮影監督を務めた『エターナル・サンシャイン』(04)以降、親交のあったエレンを本作の監督に抜擢。
さらに、マリオン・コティヤール、アンドレア・ライズボロー、アンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルドなどウィンスレット自らキャスティングした豪華俳優陣が脇を固め、男性優位の社会の中で大きな犠牲を払いながら、信念を貫いたたくましい女性の姿を鮮やかに映しだした。また今年度の第82回ゴールデングローブ賞、第78回英国アカデミー賞などで数々の賞レースでノミネートされていて、英国国内外から高い評価と注目を集めた本作が待望の日本公開となる。
このたび解禁されたポスタービジュアルは、1945年にヒトラーが夫人と共にベルリンの総統地下壕で自死した当日、ミュンヘンにあるヒトラーのアパートの浴室で、リー自らが被写体となり撮影した瞬間をきりとったもの。実在するこの一枚は「ヒトラーの浴室のリー・ミラー」として、戦争の終わりを伝えた歴史的一枚である。バスマットに脱いだ泥だらけのブーツ、立て掛けられたヒトラーの写真、そしてお湯をはった浴槽に“普通”に入浴するリーの姿が印象的に写されている。
あわせて解禁となった予告映像は、ウィンスレット演じるリーが南フランスでモデルやアーティスト仲間と華やかに過ごす時代から始まる。写真家に転身し、かつてカバーモデルとして活躍していた「VOGUE」誌へ自らの写真を売り込み、編集者からの嫌味にも怯まず“写真を撮られる側ではなく、撮る側でありたい”、そして、“真実で中身のある記事を書きたい”という強い信念を貫き、写真家としても唯一無二の才能を開花させ、次第に多くの人から支持を得ていく。
しかし1940年世界は激変。脅威はロンドンにも及び、第二次世界大戦の真実を伝えるべくリーは立ち上がる。ところが、そこには多くの困難が待ち受けていた。圧倒的な男性社会の中で女性が戦地を取材することは許されないなか、なんとか従軍記者の権利を勝ち取ったリー。戦地で生きる女性や、犯罪の声なき被害者たちへの深い理解と共感を持ち合わせていたリーは、数々のスクープ写真を収めていく。しかし、この写真が掲載されないことを知り、リーは怒りをあらわにし、絶望に打ちひしがれるのだった。
激動の20世紀を報道写真家として駆け抜けた女性の実話を描いた本作。今後の続報もぜひチェックしてほしい。
文/スズキヒロシ