こんな先生に出会いたかった!『汝、星のごとく』長谷川博己演じる北原先生の言葉が心に響く理由
続編「星を編む」を読むことで『汝、星のごとく』の見方が変わる
そんな北原という人物をさらに深く知ることができるのが、小説「汝、星のごとく」では語り尽くせなかった物語を集めた、三篇から成る続編「星を編む」だ。暁海がその後の人生を歩む姿と新たな愛の形を描く「波を渡る」など、本編から続く物語が収められている。なかでも北原に焦点を当てた一篇が「春に翔ぶ」だ。
ここでは、櫂と暁海に出会う以前の北原の秘められた過去と、教え子である女子高校生との数奇な絆が描かれる。かつて大学院で化学の研究者を目指しながらも、その道を諦めた北原が、その後どのようなターニングポイントを迎えたのかが綴られている。
彼が最終的に下した選択には驚かされるが、この物語で北原の過去を知ると、『汝、星のごとく』では多くを語らない彼が櫂と暁海にかける言葉や行動にも、彼自身が歩んできた人生が重なり、また違った意味を感じられるはずだ。
そんな知られざる背景を持つ北原という人物について、演じた長谷川自身も特別な思いを抱いていたようだ。彼は10代の多感な時期に北原のような先生と出会っていたら「もっと救われただろうな」と感じ、また「北原の如く、作品の“添え木”となれればと思いながら撮影していた」とコメントしている。
北原が差し出す言葉は、相手を自分の考える“正解”へ導くためのものではなく、その人が自分自身と向き合うためのものだ。彼の言葉が櫂や暁海だけでなく、観る者の心にも響く理由は、そこにあるのかもしれない。
文/足立美由紀
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