こんな先生に出会いたかった!『汝、星のごとく』長谷川博己演じる北原先生の言葉が心に響く理由

こんな先生に出会いたかった!『汝、星のごとく』長谷川博己演じる北原先生の言葉が心に響く理由

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2023年の本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名小説を、横浜流星と広瀬すずのW主演で映画化した『汝、星のごとく』(公開中)。瀬戸内の美しい島を舞台に、複雑な家庭環境を抱える高校生の男女が出会い、惹かれ合いながらもすれ違っていく15年間を描いたラブストーリーとなっている。そんな2人の人生をそっと見守るのが、長谷川博己演じる高校教師の北原草介だ。高校時代から卒業後まで、長きにわたり2人を精神的に支える。そこで本稿では、物語を追うほどに存在感を増す、北原という人物の魅力に注目したい。

“正しさ”を押しつけず、選択を見守る北原先生

美しい自然に囲まれた島で暮らす青埜櫂(横浜)と井上暁海(広瀬)。しかし、そこにあるのは穏やかな日常ばかりではない。恋多き母に振り回される櫂と、父親の不倫によって家庭が揺らいでいる暁海。高校生の2人にはどうすることもできない事情を抱えているにもかかわらず、閉ざされたコミュニティのなかでは周囲から好奇の目を向けられることもある。

共に孤独を抱える櫂と暁海は惹かれ合う
共に孤独を抱える櫂と暁海は惹かれ合う[c]2026「汝、星のごとく」製作委員会 [c]凪良ゆう/講談社

そんななか、櫂と暁海にフラットな眼差しで接するのが北原だ。教師として、そして人生の先輩として若い2人を気遣い、寄り添う。時に思い切った提案をすることもあるが、彼らの意思を尊重しつつ、自分自身で答えを見つけられるよう必要な時にそっと手を差し伸べてくれる。

スナックのママをしている櫂の母で、恋多き性格から櫂を振り回してきたほのか
スナックのママをしている櫂の母で、恋多き性格から櫂を振り回してきたほのか[c]2026「汝、星のごとく」製作委員会 [c]凪良ゆう/講談社

その姿勢がよく表れているのが、櫂との関係に悩んだ暁海が海辺に停めた車の中で一人、涙を流すシーン。偶然通りかかった北原に、暁海は苦しい胸の内を明かす。東京で漫画原作者として成功した櫂と、島に残って母親の面倒を見る暁海。置かれた環境も歩む道も大きく異なるなか、そんな自分は「かわいそうな女なのか」と尋ねる彼女に、北原は「自分自身が“かわいそうな女”だと思っていないのなら、誰にそう思われてもいいのでは」と告げ、その場をあとにする。

暁海の母、志穂は、夫が不倫をして家を出ていったことで心を病んでしまう
暁海の母、志穂は、夫が不倫をして家を出ていったことで心を病んでしまう[c]2026「汝、星のごとく」製作委員会 [c]凪良ゆう/講談社

櫂との関係を続けるべきとも、終わらせるべきとも言わない。他人からどう見えるかではなく、自分がどうありたいのか。北原は答えを与える代わりに、どうするかを選ぶのは暁海自身であることを気づかせる。

教師というより、“メンター”として導く存在

さらに物語が進むにつれ、北原自身もまた、決して世間一般の“正しさ”だけを選んで生きてきた人物ではないことがほのかに見えてくる。自らも迷い、選択を重ねてきたからこそ、他人の人生を安易にジャッジすることなくその人自身が選び取った道を尊重できるのだろう。

その姿は教師というよりも、よき相談相手であり指導者を意味する“メンター”という言葉がしっくりくる。この北原という人物に、藤井道人監督は「ミステリアスだが愛が見えて、ニュートラルな俳優」と評する長谷川にオファー。物語のキーとなる重要な役割を託した。

【写真を見る】答えを与える代わりに、どうするかを選ぶのは自分自身であることを伝える北原先生
【写真を見る】答えを与える代わりに、どうするかを選ぶのは自分自身であることを伝える北原先生[c]2026「汝、星のごとく」製作委員会 [c]凪良ゆう/講談社

長谷川は劇中、静かな佇まいと穏やかな語り口で北原の懐の深さを感じさせる一方、単なる“いい先生”には収まらない、どこか掴みどころのない空気も漂わせた。北原の複雑さを巧みに表現し、その背後にある“もう一つの物語”を予感させることで、作品の世界をさらに大きく広げている。


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