『WEAPONS/ウェポンズ』『バイオハザード』へ連なる源泉――『バーバリアン』で俊英ザック・クレッガーの才腕を確かめる
先の読めない展開を生む、クレッガー監督の大胆な脚本術
そしてなにより目を引くのは、クレッガー監督の才腕だ。脚本の執筆段階で、自分があまりにも“予想可能”なものを書いていることに苛立った彼は、あえてそれをひっくり返すことを思いつき、自分でさえどうなるかわからない物語を作っていったという。映画の中身に例えれば、彼もまた地下の暗闇のなかを手探りで進んでいったということ。結果、生みだされたストーリーは驚くほど意外性に富んだものとなった。
脚本が固まれば、あとはそれをどう演出するか、だ。『WEAPONS/ウェポンズ』に通じる要素と比べながら解説していこう。『WEAPONS/ウェポンズ』はキャラクター7人の視点でドラマをつづる6章から成っていた。本作では明確な章立てはしていないが、大きな場面転換がいくつかあり、実質的には4部構成となっている。いままで観てきたものが、新しい章とどうつながるのか?そんな観客の興味を喚起する点に本作のおもしろさがある。
ホラー映画としての見せ方も巧い。たとえば序盤、閉めていたはずのテスの寝室のドアが開いているとか、奇妙な物音が聞こえるとか、ともすれば彼女の思い過ごしとも思える程度に不穏を高め、地下に入っていく場面から急速にスリルを上げていく。『WEAPONS/ウェポンズ』では、のどかな街の通りで不意に血まみれの男が走ってきてギョッとさせる場面があったが、恐怖の強弱のつけ方がとにかく巧い。それは同時に、恐怖と背中合わせのユーモアを醸しだす機能も果たしているのだから、クレッガー監督の表現の豊かさに驚かされる。
『バイオハザード』にも通じる才腕を『バーバリアン』でチェック
折しも新作『バイオハザード』が、同ゲームの映画化作品として最大の全米興収を記録している。この新作でクレッガー監督はゲームの視点にこだわり、主人公を一人の青年に絞ってホラーワールドを生みだしているが、恐怖とユーモアが絶妙のテンポで結びついている点や、グロテスクなクリーチャーの登場などのショック描写に“らしさ”がうかがえ、“予想不可能”な展開を含めて強烈な吸引力を感じさせる。
『WEAPONS/ウェポンズ』に続き、またしても“スゲぇ!”と思わせる才腕。『バイオハザード』に臨む前に、そんなクレッガー監督の才能を十二分に堪能できる『バーバリアン』をチェックしてみてはいかがだろうか。
文/相馬学
