『サニー 永遠の仲間たち』から『ハイファイブ!』まで、カン・ヒョンチョル監督の鮮やかな音楽使いを解剖!

コラム

『サニー 永遠の仲間たち』から『ハイファイブ!』まで、カン・ヒョンチョル監督の鮮やかな音楽使いを解剖!

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『ハイファイブ!』でも光るキレキレの音楽演出

そんな『スウィング・キッズ』以来となるヒョンチョル監督の最新作『ハイファイブ!』は、ある男の臓器を移植されたことにより超能力を手にした冴えない男女5人が、寄せ集めヒーローとして活躍する様をコミカルに描く。

寄せ集めの男女5人が、反目し合いながらも絆を深め合っていく様子をコミカルに描く『ハイファイブ!』
寄せ集めの男女5人が、反目し合いながらも絆を深め合っていく様子をコミカルに描く『ハイファイブ!』[c] 2025 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS. All Rights Reserved.

悪役となる教祖ヨンチュンは、5人の臓器から能力を得て、神になろうと目論む(『ハイファイブ!』)
悪役となる教祖ヨンチュンは、5人の臓器から能力を得て、神になろうと目論む(『ハイファイブ!』)[c] 2025 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS. All Rights Reserved.

心臓の移植手術を受けた中学生のテコンドー女子ワンソ(イ・ジェイン)は、爆発的な走力と並外れた怪力を手にしていることに気づく。ある日、同じく手術によってなんでも吹き飛ばす肺を手にしたチソン(アン・ジェホン)と知り合うと、残りの臓器を移植された人たちを捜しだし、ヒーローチームを結成。しかし、同じドナーから膵臓を移植された新興宗教の教祖ヨンチュン(シン・グ)から臓器を狙われ…。

虚弱体質を理由に、父から運動を禁じられ、鬱屈とした青春を送る主人公のワンソ(『ハイファイブ!』)
虚弱体質を理由に、父から運動を禁じられ、鬱屈とした青春を送る主人公のワンソ(『ハイファイブ!』)[c] 2025 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS. All Rights Reserved.

今作でも音楽演出はキレッキレで、境遇も性格もバラバラな5人の多彩なキャラクター像を反映した楽曲がセレクトされている。例えば、友だちもおらず孤独な日々を送るワンソが力に目覚めたシーンで流れるのが、スマッシング・パンプキンズの「I Am One」。孤立感に苛立ち、自分自身で立ち上がることを太く歪んだギターをかき鳴らしながら歌うナンバーは、ワンソというキャラクターと重なる。

ユ・アイン演じるキドンは電子機器に自由にアクセスできる(『ハイファイブ!』)
ユ・アイン演じるキドンは電子機器に自由にアクセスできる(『ハイファイブ!』)[c] 2025 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & ANNAPURNA FILMS. All Rights Reserved.

また角膜の移植手術を受け、あらゆる電子デバイスを掌握する力に目覚めたキドン(ユ・アイン)。彼が指をパチンと鳴らしスロットで大儲けしたりとやりたい放題するシーンで流れるのが、「I Got The Power」のフレーズを繰り返すSNAP!の「The Power」だ。さらにサングラスがトレードマークのキドンの自己紹介に合わせてコリー・ハートの「Sunglasses at Night」が流れるなど、多彩なナンバーがキャラクターのテーマとして使われている。

中盤のあるラブシーン(?)ではクラシックなバラード「Put Your Head on My Shoulder」(ポール・アンカ)が流れ、またソンニョ(ラ・ミラン)のヤクルト販売用電動カートでのカーチェイスシーンにはネットミームとしても有名なリック・アストリーの「Never Gonna Give You Up」を合わせるなど、ギャグ的な演出も絶妙。絆を深めた5人を象徴するエンドロールのシスター・スレッジの「We Are Family」まで、ストレートな音楽使いで作品を盛り上げている。

『サニー 永遠の仲間たち』や『スウィング・キッズ』など誰もが楽しめる作品を世に送りだしているカン・ヒョンチョル監督。そのポップさを支えると同時にエモーションももたらす、卓越した音楽使いに注目しながら『ハイファイブ!』をチェックしてほしい。


文/武藤龍太郎

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