殺害人数は600人…?真偽不明の自供を繰り返した虚言癖のシリアルキラー、ヘンリー・リー・ルーカスとは

コラム

殺害人数は600人…?真偽不明の自供を繰り返した虚言癖のシリアルキラー、ヘンリー・リー・ルーカスとは

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連続殺人鬼の奇妙な日常を描く『ヘンリー』

獄中から捜査に協力したことから『羊たちの沈黙』(91)のレクター博士のモデルの一人とも言われるなど、センセーショナルな存在ゆえに、Netflixシリーズ「コンフェッション・キラー: 疑惑の自供」など多くのメディアで取り上げられてきたヘンリー

数多の悪役を演じてきたマイケル・ルーカーが注目を集めるきっかけとなった1作
数多の悪役を演じてきたマイケル・ルーカーが注目を集めるきっかけとなった1作[c] 1986 MALJACK PRODUCTIONS

マイケル・ルーカーがこの実在の殺人鬼を演じた『ヘンリー』は、相棒オーティス・トゥール(トム・トールズ)とその妹ベッキー(トレーシー・アーノルド)との日常を描いている。虐待を繰り返した母を殺害して以来、殺人衝動が抑えられなくなっているヘンリーは、殺人を重ねながら、刑務所で知り合ったオーティスとの共同生活を送っていた。そんななか、夫の暴力から逃げてきたオーティスの妹が生活に転がり込み、3人での奇妙な生活がスタートする。やがて、寡黙なヘンリーにベッキーが惹かれだしたことから3人のバランスが崩れていき…。

本作は、ベッキーがオーティスの姪から妹に変わっていたりと史実と異なる部分も多いが、表情一つ変えずに過ごすヘンリーの作業のような殺しなど冷徹な日常が淡々と積み上げられていく質感に、リアリティすら覚える。殺害や流血といった直接的な暴力シーンがあまり多くないにもかかわらず、1986年にシカゴ国際映画祭で一度上映されてから4年間お蔵入りになっていたということからも、いかに恐ろしい作品かを証明している。

ルーカスとオーティスとベッキーの共同生活はしだいに思いもよらぬ方向へと走りだしていく
ルーカスとオーティスとベッキーの共同生活はしだいに思いもよらぬ方向へと走りだしていく[c] 1986 MALJACK PRODUCTIONS

数百件もの殺人について虚言を繰り返した一方で、実際に人の命を奪ったことは揺るがないヘンリー・リー・ルーカス。映画『ヘンリー』は、神話化された“600人殺し”ではなく、一人の殺人鬼の不気味な日常を描き切った異色作であり、事件の真相を知ったうえで観れば、その恐ろしさがよりいっそう際立つはずだ。


文/武藤龍太郎

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