映画館スタッフが選ぶ“劇場でこそ観るべき映画”、第1回「映画館大賞」は『国宝』が受賞!アニメ部門は『鬼滅の刃』に
映画館スタッフの投票によって受賞作品を決定する「映画館大賞」が創設され、授賞式が5月12日に109シネマズプレミアム新宿で行われた。記念すべき第1回「映画館大賞」には社会現象級の大ヒットを記録した『国宝』が輝き、李相日監督が喜びを語った。
「映画館に行こう!」実行委員会が、映画館に年間動員2億人を目指す取り組みの一環として、2025年に「第一回 映画業界若手戦略会議」を実施。同会議で実行アイデアとして選出された企画として、日々の業務で観客の反応を直接肌で感じている映画館スタッフによる投票で受賞作品を決定する「映画館大賞」が創設された。授賞式のアンバサダーは、タレント・映画コメンテーターのLiLiCoと、無類の映画好きとしても知られるBE:FIRSTのLEOが務め、主催者として、東宝株式会社 代表取締役社長 社長執行役員の松岡宏泰、全国興行生活衛生同業組合連合会 会長の佐々木伸一、109シネマズプレミアム新宿の総支配人・廣野雄亮も出席した。
第1回映画館大賞受賞部門は、2025年に上映された作品を対象にした「映画館でこそ観るべき!日本映画部門」、「映画館でこそ観るべき!外国映画部門」、「映画館でこそ観るべき!アニメ映画部門」、「もっとひろがれ!掘り出し映画部門」の4部門からなり、その4部門の最優秀作品のなかから最高賞「映画館大賞」が選出される。
アンバサダーに就任したLEOは、「あまりこういうお仕事をしたことがないので、緊張しています」と苦笑いをしつつ、「BE:FIRSTになる前、映画館でバイトをしていた。いろいろなことを学ばせていただいた映画館にご恩返しをするチャンスをいただけて、すごくうれしいです」と感激しきり。LiLiCoも「燃えているよね、私たち」と映画と映画館を愛する1人として喜びをにじませた。映画館でのアルバイト時代、LEOは「映写以外は全部、いろいろなセクションをやらせていただいた」とのこと。「一番うまいポップコーンを作っていた自負だけはありました。誰が作っても同じなのかもしれないですが、自分が日本一うまいポップコーンを作っているんだと思いながら、ポップコーンを弾いていた」と映画館の思い出を披露するなど、和やかな雰囲気で授賞式がスタートした。
まず100館以上の規模で上映された日本映画作品から選出される「映画館でこそ観るべき!日本映画部門」の受賞作品となったのは、『国宝』。吉田修一による原作を映画化した本作は、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公の姿を描き、主演を務めた吉沢亮や横浜流星の熱演も話題となった。李相日監督がステージにあがり、盾を受け取った。「本屋大賞を横目に、いつこのような賞ができるのかと心待ちにしていました」と目尻を下げた李監督は、「なんでも1回目はうれしいもの。栄えある1回目をいただけて、スタッフ、キャスト、関係者を代表して、喜びとお礼を申し上げたい」と感謝を伝えた。
興行収入200億円を突破する大ヒットを記録した本作だが、李監督のもとにも、観客からの「3時間があっという間だった」「何十年ぶりに映画館に行った」という声が届いていたという。
李監督は「まさかこの映画を立ち上げた時には、そういった声をたくさんいただけるとは思っていなかった。(観客が)劇場の扉を開けて『国宝』に接したら、いかにその世界観に没入できるかを追求していた」としみじみ。「スタッフ、キャストも思い返せば、映画館という場所で映画を観て、感化され、映画に人生をかけて集まった人たち。映画館こそが映画監督を生むし、映画のスタッフを生むし、俳優を作る。作り手だけではなく、映画に関わる人々を生んで、育てるのは、まさに映画館だと思っています。映画館の発展は、映画産業の発展とイコールだと思っています。この先も、映画館という空間で、いかに没入して、観客の皆さんを虜にできるのか。そういったことをいつまでも追求していきたいと思います」と誓い、大きな拍手を浴びた。
100館以上の規模で上映された外国映画作品から選出される「映画館でこそ観るべき!外国映画部門」は、ブロードウェイミュージカルの傑作を映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』(25)の続編となる最終章、『ウィキッド ふたりの魔女』に決定した。東宝東和株式会社の福岡芳徳常務取締役が壇上にあがり、「すばらしい作品はとても多いんですが、残念ながらいまは、多くの作品が埋もれてしまう状況にあります。映画館の方々に“この映画を上映したい”と思っていただける映画を、1本でも多く配給できるように。この後も真摯に、全力で取り組んでいきたい」と未来を見つめていた。
すべてのアニメ映画作品から選出される「映画館でこそ観るべき!アニメ映画部門」には、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が輝き、下野紘(我妻善逸役)と早見沙織(胡蝶しのぶ役)が登壇。「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴の人気漫画のアニメ化した劇場版で、無限城編では、十二鬼月を束ねる鬼舞辻無惨の本拠地「無限城」を舞台に炭治郎たちの最終決戦が映し出されている。
「映画館で働いていらっしゃる皆さんに選んでいただいて、うれしい」と笑顔を見せた下野は、「“リピーターがものすごく多い”という話を伺った。多くの方から“何度も、何度も観させてもらって、そのたびに新しい発見がある”と言っていただいた」と振り返りつつ、「ここまでたくさんの方に観ていただけるようになったのは、キャストだけでなく、映像、音楽など様々な形で、たくさんのスタッフによる“劇場版『鬼滅の刃』を盛り上げていくぞ”という気概や気合いが、盛り込まれていたからだと思っています」と確信を込めてコメント。「僕ら自身も、映画館で観させてもらって。改めて映画館で観て、より感動が生まれるし、没入体験ができると感じた。ステキな作品に携われてうれしいなと思っています」と幸福感を口にした。
「劇場スタッフの皆様に選んでいただけたこと、本当に光栄に思っています」と切り出した早見も、「キャストの一員として、この作品をつくりあげるメンバーになれたことを改めてうれしく思います」と感無量の面持ち。「私のもとにも“5回観ました”、“10回観ました”、“100回以上観ました”という声が届いた」と明かして会場を驚かせながら、「何度も劇場に足を運んで“映画館で観たい”と思ってくださる方が、たくさんいるんだと実感しました。こういった形になったのは、作品と、映画館に足を運んでくださる皆さんを繋いでくださる、映画館スタッフの皆さまがいたからこそ」とお礼を述べつつ、「炭治郎たちの戦いはまだ終わっていません」とにっこり。「これからも映画館に足を運んでいただいて、戦いを見届けていただけるとうれしいです」と晴れやかな表情で呼びかけていた。
2館以上100館未満の規模で上映された実写作品から選ばれる「もっとひろがれ!掘り出し映画部門」は、「ブラックパンサー」シリーズのライアン・クーグラーが、『クリード チャンプを継ぐ男』(15)でも組んだマイケル・B・ジョーダンを主演に迎えたノンストップ・サバイバルホラー『罪人たち』が賞を獲得した。ワーナー ブラザース ジャパンの職務執行者、柏原崇宏が盾を手にし、「ワーナーにとっても特別な映画」と本作を表現した。「音楽の臨場感を持たせるために、撮影の場で演奏された音を多くのシーンで使っています」と映画館で味わうべき音のある作品だと胸を張りながら、「非常にいい映画なんですが、社内で“日本で売るのは結構、大変だな”という議論があったのは事実」と告白。「そういうなかで、このような賞をいただけたこと。映画館のスタッフという、現場のプロにスポットライトを当てていただけたこと。本当に感謝しています」と言葉に熱を宿していた。
ここまでの4部門の最優秀作品の中から選出される最高賞となるのが、「映画館大賞」だ。記念すべき第1回「映画館大賞」の受賞作となったのは、『国宝』だ。大きな拍手を浴びながら再びステージにあがった李監督は、本作の舞台挨拶で全国の映画館を訪れたことを回顧しながら、「映画館に行くたびに、観客の皆さんもそうですが、働いているスタッフの皆さんが若い人も多くて。『国宝』は歌舞伎の映画で、若い人はどこまで観ていただけるのかと思っていた作品。スタッフの人たちが投票していただけたんだなと思うと、光栄に思います」と重ねて感慨をにじませた。
さらにLiLiCoから「これほどまでに愛された要因」について尋ねられた李監督は、「歌舞伎がどういったものか、奥深くまで知る機会はなかなかない。そういった意味でも再発見にもつながったと思いますし、人間がなんのために生きるのか、なにに必死になるのか、なにを求めているのか。そういったことを、役者という存在を通して感じ取っていただけたのではないか。観客の皆さんが、そういった作品をずっと待ってくれていたのではないか」と想いを巡らせた。
続けてLEOが次回作の構想について質問をすると、李監督は「いっぱいありますよ。始めてはいます」と笑顔。「(『国宝』の)続編があればよかったんですが。(もしあるならば)僕は見守りたい」と茶目っ気たっぷりに語りながら、「プレッシャーはあるんでしょうけれど、それがいい原動力になれば。一緒に仕事をしてもらっているスタッフもそうですが、これまでも1本、1本、いいものをつくろうとすることの継続。次もゼロからそれを続けていけば、いつかまたこういうことが起こるかもしれない」と真摯な想いを口にしていた。
【第1回「映画館大賞」受賞結果】
▪︎100館以上の規模で上映された日本映画作品から選出される
「映画館でこそ観るべき!日本映画部門」:
『国宝』
▪︎100館以上の規模で上映された外国映画作品から選出される
「映画館でこそ観るべき!外国映画部門」:
『ウィキッド ふたりの魔女』
▪︎すべてのアニメ映画作品から選出される
「映画館でこそ観るべき!アニメ映画部門」:
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
▪︎2館以上100館未満の規模で上映された実写作品から選ばれる
「もっとひろがれ!掘り出し映画部門」:
『罪人たち』
▪︎2026年4月1日以降の上映予定作品を対象にした
「映画館スタッフイチオシ 日本映画部門」
『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
▪︎2026年4月1日以降の上映予定作品を対象にした
「映画館スタッフイチオシ 外国映画部門」
『プラダを着た悪魔2』
取材・文/成田おり枝
