『サンキュー、チャック』マイク・フラナガン監督の手腕を徹底解説!新規場面写真&絶賛コメントも
スティーヴン・キングの原作を、『ドクター・スリープ』(19)を手掛けたマイク・フラナガン監督が映画化し、第49回トロント国際映画祭で最高賞である観客賞に輝いた『サンキュー、チャック』(5月1日公開)。このたび本作の新規場面写真が解禁となった。さらに、本作に魅了されたライター、編集者の方々からの絶賛&応援コメントも到着。
2024年に作家生活50周年を迎えたキング。新作小説は常にベストセラーランキングを席巻し、キングに影響を受けたテレビシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」が世界的大ヒットを記録するなど、いまなお絶大なる人気と評価をアップデートし続けている。そんなキングが2020年に発表した「The Life of Chuck」の映画化が実現した。監督、脚本は、「ジェラルドのゲーム」(17)や『ドクター・スリープ』に続き、キングと信頼の絆で結ばれたフラナガンが担当する。
今回解禁された場面写真には、夜のネオンがにじむ異国情緒漂う街角で、なにかに深く見つめるトム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツの姿が。等身大で知性あふれるたたずまいは、チャックの複雑で豊かな内面を繊細に写しだしている。また、プロム会場で大勢の観衆に囲まれながらガールフレンドと背中を合わせてダンスをするシーンを捉えたカットも。洗練された容姿ながらどこかあどけない表情を残したチャック。彼女との身長差に思わず胸がときめくカットとなっている。
さらに、平穏だった日常が終わりを告げようとしている世界の静寂のなか、暗闇のなかで呆然と立ち尽くすキウェテル・イジョフォー演じるマーティの姿も。彼の背後に忍びよるのは、住宅の窓に写しだされた謎の男チャールズ。マーティの表情からは、言葉にできない不安と恐怖感が伝わってくる。これらの恐怖感と祝福が交錯する新たな場面写真は、本作が人生の美しさを讃える物語であることを写しだしている。
フラナガン監督は、現代ホラー界で「最も信頼できる語り手」の1人と称されるアメリカの映画監督、脚本家だ。彼の最大の特徴は、単に怖がらせるだけでなく、「喪失」「トラウマ」「家族の絆」といった深い人間ドラマをホラーの枠組みで描く点にある。幽霊や怪物を、キャラクターが抱える過去の罪悪感や心の傷の象徴として扱う手法が注目を浴びている。
また、映像の隅々に「隠れゴースト」を配置したり、長回しのカットを多用したりと、視覚的な仕掛けにも定評がある。キング作品の映像化も得意としており、難解と言われた『ドクター・スリープ』や「ジェラルドのゲーム」を成功させたことで、原作ファンからも厚い信頼を得た。同じくキング原作の『ミスト』(07)の再映画化始動のニュースも記憶に新しい。また、映画のみならず配信ドラマの傑作「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」や、本作でもその活躍が光るカレン・ギランも出演している『オキュラス 怨霊鏡』(13)でもその手腕が高く評価されている。そんなホラーの名手でありながらも、人々の揺れ動く心を丁寧に描いてきたフラナガン監督が、本作で愛と希望のヒューマンドラマを描き上げた。本作で見事に描き上げた魅力について、順を追って紐解いていく。
現代ホラー界を牽引するフラナガン監督は、単に観客を震え上がらせるだけでなく、その恐怖の底にある「失われない愛」や「魂の救済」を描くことに長ける。本作『サンキュー、チャック』においては、自身のキャリアにおける「最高傑作」にすると誓い、全情熱を注ぎ込んだ。
フラナガン監督とキングの絆は深く、これまでにも「ジェラルドのゲーム」や『ドクター・スリープ』といった難解な原作を見事に映像化してきた。キングは、フラナガンを「優れたストーリーテラーであると同時に、ヴィジュアルの才能も持ち合わせている」と最大級の言葉で讃えている。そんなキングからの信頼を得るフラナガン監督は本作の脚色において、原作の持つ「逆行する三幕構成」という特殊な構造をあえて守り抜いた。これは、人生を後から振り返った時に初めて気づく衝撃や詩的な意味を、観客にそのまま届ける、という原作のアクロバティックでありながら感動的な構成に敬意を表したフラナガン監督の深い原作愛だ。また、フラナガン監督は、キング作品の神髄が「愛と希望」なしには存在し得ない点にあると定義している。世界が崩壊していく悪夢のような状況にあっても、絶望や皮肉に逃げず、人生を肯定しようとする人間の姿が正面から捉えられた本作では、「恐怖」を「希望」に変えるフラナガン監督の手腕が存分に発揮されている。
フラナガン監督が、「最も重要なシーンの1つ」と語るダンスシーンについては、ヒドルストンに「自由で最も幸せな時間」と言わしめ、6週間の特訓を経て700回以上も踊り抜くエモーショナルなダンスシーンを撮影した。また、本作では、多くのレジェンド級俳優たちとの協力が輝いている。「スター・ウォーズ」シリーズ出演のマーク・ハミルに「史上最高に背筋が凍るホラーになると思ったが、完全に予想を裏切られた。とても優しく、胸に迫る物語だ」と言わしめるなど、大御所俳優の心をも動かす演出力が光る。
ハミルが「ただの映画以上のもの、観る人を癒すセラピーのような作品」と語る通り、フラナガン監督の演出は観客の人生観そのものに語りかける。「世界が分断され、不安が渦巻くいまだからこそ必要な物語」である本作。死という避けられない運命を見つめながらも、鞄を置いて踊ることを勧めるフラナガン監督の温かな眼差しは、劇場を出るすべての人に深い安らぎと確信を与えてくれるだろう。
はたしてトム・ヒドルストン演じるチャックの正体とは?そして彼の人生は一体どんなものだったのか?キングが仕掛ける感動のミステリーに期待が高まる。
