『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』西野亮廣が語る制作秘話「マーケティング的な邪な考えを捨てるのが一番難しかった(笑)」

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』西野亮廣が語る制作秘話「マーケティング的な邪な考えを捨てるのが一番難しかった(笑)」

コロナ禍の最中であった2020年12月に公開され、国内動員数196万人の大ヒットを記録したオリジナルアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』。原作絵本の累計発行部数は80万部を突破し、その後も歌舞伎、バレエ、ミュージカルとジャンルを超えて広がり続けてきた「プペルワールド」の最新作『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』が公開中だ。

前作に引き続き、原作・脚本・製作総指揮を務めたのは、芸人・童話作家として活動しながら、プロデューサーとして国内外の様々なエンタテインメント作品を精力的に世に送り出している西野亮廣。「前作の公開から2か月くらい経ったころ、続編を作ってもいいんじゃないか、という話が出て。そこまでいけたのは、やっぱりうれしかったですね」と振り返る彼が、制作秘話やキャスティング、本作への想いについて語ってくれた。

「ちゃんとヒットさせなきゃいけない!というプレッシャーを感じた」

映画制作のスタートは、まず脚本から。しかし、西野にとって2作目の脚本執筆はなかなかスムーズにはいかなかったという。「前作のエンドロールを見た時、これほど多くのスタッフさんが携わっていたんだということを目の当たりにするじゃないですか。そうか、これだけの方たちにお時間をいただいて、みなさんそれぞれにご家族もあって。となると、続編を作るなら、ちゃんとヒットさせなきゃいけない!というプレッシャーを感じてしまったんですね。それで最初のうちは、売れる作品ってなんだろうと考えながら、結局10か月くらいかけて脚本を書いたんですけど、これが全然おもしろくなかったんですよ」。

 【写真を見る】マルチな才能をみせる西野亮廣をモノクロ写真とカラーで撮り下ろし!
【写真を見る】マルチな才能をみせる西野亮廣をモノクロ写真とカラーで撮り下ろし!撮影/木村篤史 スタイリスト/久 修一郎 ヘアメイク/KAE(NORA)

プロデューサーとしての視点を常に持ちながら、クリエイターとして新しい作品を生み出すことの難しさ。「作ったら、届けるところまでがセットだと思っているので、制作中に、こんなものがウケるんだろうか?みたいなマーケティングの空気がどうしてもちらつくんですよね。そういう邪な心を捨てるのが一番難しかった(笑)。でもね、ある時、せめて脚本段階ではそういう意識は1回忘れよう!と割り切ることにして。ようやく僕が2019年に出版した絵本『チックタック~ 約束の時計台~』の物語をベースにしようと決めました。そこからは早かったですね」。

今作で描かれるのは、第1作で大切な親友のゴミ人間・プペルを失った少年ルビッチが、ある日、時を司る異世界“千年砦”に迷い込み、再び“信じる勇気”を取り戻すまでの大冒険。ルビッチ役の新たなヴォイスキャストには、大々的なオーディションを敢行した結果、NHK連続テレビ小説「あんぱん」の主人公・朝田のぶの幼少期を演じた永瀬ゆずなが抜擢された。西野は「永瀬ゆずなという才能と出会ったことは、今作の最大の幸運であることは間違いない」と絶賛する。

「演技力も高いし、バランス感覚もいい。子どもだからといって、技術が未熟かというと、全然そんなことはなくて、出力のコントロールがすごくうまいんです。さらに、これは天性のものだと思いますけど、彼女の声は聴きたくなるし、応援したくなる。子ども特有のしゃべり方には、お父さん、お母さんが聞き取ってあげないといけないくらいの、ちょっと舌っ足らずな感じがあって、そこが子どもの求心力だと思うんですよね。たとえばベテランの落語家さんも、お客さんを前のめりにさせる技として、非常に大事なシーンで、あえてボソボソしゃべったりしますけど、子どもって、それを天然でできているんですよ。そういう子どもならではの資質と、永瀬ゆずなという役者としての才能が、今回めちゃくちゃいいタイミングで掛け合わさっているところがすばらしいなと思います」。

前作から6年、豪華キャスト&スタッフが集結し新たな冒険が始まる!
前作から6年、豪華キャスト&スタッフが集結し新たな冒険が始まる![c] 西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

とはいえ、やはり子どもなので、アフレコの演出の際に、難しい言葉で説明しても正確に届かない場合がある。そこで西野がとったのは「自分もアフレコの収録ブースの中に入って、『ゆずなちゃん、これのモノマネをやってみて』と1回やってみせる」という方法。「ゆずなちゃんも、途中でマイクの存在を忘れて、マイクに背を向けたまま、ワーッとセリフを言ったりして、アフレコの現場がすごく盛り上がりました(笑)。一緒に作っている!っていう感じがして、非常に楽しかったですね」。

異世界に迷い込んだルビッチの新たな相棒、人間の言葉を話す不思議なネコ・モフを演じるのは、西野とは旧知の仲であるMEGUMI。前作のルビッチが、ゴミ人間のプペルの世話を焼くお兄さん的なポジションだったのに対し、今作のルビッチは本来の姿である子どもらしい子どもとして描かれている。そんなルビッチの保護者的存在となるのがモフだ。

「ルビッチが子ども、つまりボケ役なので、モフ役は演技力だけでなく、ツッコミがうまいことが絶対に必要な条件だったんです。自分もお笑いをちょっとかじっているものですからわかるんですけど、ツッコミだけは演技じゃ無理なんですよね。ツッコミは明らかに技術職で、才能云々じゃなく、経験なんですよ。まずバラエティで慣れている人で、演技もツッコミもできて、人のことをアンタって自然に呼べる……となると、もうマツコ・デラックスさんとMEGUMIちゃんしかいない(笑)。あと小池栄子さんもそうですが、彼女は前作でルビッチのお母さん役で出てくださっているので」。


異世界に迷い込んだルビッチを導く不思議ネコ、モフの声をMEGUMIが担当する
異世界に迷い込んだルビッチを導く不思議ネコ、モフの声をMEGUMIが担当する[c] 西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

断られることを恐れた西野は、自らMEGUMIに連絡して「姉さん、出てよ」と直々にオファー。「『やるやる!』って言ってもらえたんですけど、その時にモフというキャラクターがどれだけ重要かを伝えるのを忘れていて。後から脚本を送ったら『チョイ役だと思ったから気軽に引き受けたのに、これ、メインのキャラじゃない!』って怒られました(笑)」。

■「えんとつ町のプぺル」誕生秘話も!西野亮廣の最新エッセイ
タイトル:「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」
著者:西野亮廣
定価:902円(税込)
発売:2026年3月23日
発売・発行:株式会社KADOKAWA
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