【第98回アカデミー賞】『ワン・バトル・アフター・アナザー』が作品賞& ポール・トーマス・アンダーソン監督オスカー初受賞!「映画は“我が家”」と感無量

【第98回アカデミー賞】『ワン・バトル・アフター・アナザー』が作品賞& ポール・トーマス・アンダーソン監督オスカー初受賞!「映画は“我が家”」と感無量

現地時間3月15日(日本時間3月16日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された第98回アカデミー賞授賞式で、心に残った授賞式スピーチをいくつかピックアップ!1本目は、“無冠の帝王”と言われてきた『ワン・バトル・アフター・アナザー』(25)のPTAことポール・トーマス・アンダーソンの監督賞のスピーチから。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアと世界三大映画祭の監督賞を制覇した唯一の監督が、念願のオスカー像を手にした。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は公開中
『ワン・バトル・アフター・アナザー』は公開中[c]2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、アンダーソン監督作『ブギーナイツ』(97)の主演を断ったことを最大の後悔として挙げるレオナルド・ディカプリオとのタッグ作。ディカプリオは、冴えない日常を送っていた元革命家の父親ボブ役、ショーン・ペンが彼を執拗に追う“変態軍人”役、ベニチオ・デル・トロが神出鬼没の“センセイ”役と、オスカー受賞歴のある豪華キャストが集結した。

【写真を見る】執念深い変態軍人役ですさまじい怪演を見せたショーン・ペンが助演男優賞を受賞
【写真を見る】執念深い変態軍人役ですさまじい怪演を見せたショーン・ペンが助演男優賞を受賞[c]2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

PTAは『パンチドランク・ラブ』(02)でカンヌ国際映画祭の監督賞を、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)でベルリン国際映画祭の銀熊賞(監督賞)を、『ザ・マスター』(12)でヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞している。今回、オスカー像を握りしめながら「本当にありがとうございます。これを1つ手に入れるのに、ずいぶん苦労しました(苦笑)」と像を見つめたあと「自分も歴史の一部になれたことを心から光栄に思います」とおちゃめな笑顔を見せた。

「自分も歴史の一部になれました」と語ったポール・トーマス・アンダーソン監督
「自分も歴史の一部になれました」と語ったポール・トーマス・アンダーソン監督[c]A.M.P.A.S.

「この映画は情熱の産物ですが、正直に言えば、きっとどんな映画もそうなんだと思います。僕が映画制作の現場にいて、なによりも素晴らしいと思うことは、互いに必要としている人々とともにいられること。レオをはじめ、素晴らしいキャストのみなさんに心から感謝します。あなたたちは、この映画のハートでした」と述べたあと、「そして、亡き親友のアダム・ソムナーへ。彼がいま、私の隣に立っていてくれたらと。君は、監督が望む最高のパートナーでした」と、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)以降、第一助監督やプロデューサーとして、PTAと長年組んできたソムナーを心から称えた。

続けて「私はこの映画を、自分の子どもたちのために書きました。仕事中は、家の中が荒れていたことのおわびとして。また、彼らが、この世界に常識と品位を取り戻してくれる世代になってくれることを願っています。これは、すばらしい贈り物です。映画を“我が家”と呼べることを、心から幸せに思います。アカデミーの皆さん、そして会場の皆さん、本当にありがとうございました」と万感の想いを語り、スピーチを締めくくった。

ともにオスカーに輝いたポール・トーマス・アンダーソン監督とキャスティング・ディレクターのカサンドラ・クルクンディス
ともにオスカーに輝いたポール・トーマス・アンダーソン監督とキャスティング・ディレクターのカサンドラ・クルクンディス[c]A.M.P.A.S.

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は作品賞、監督賞、助演男優賞(ショーン・ペン)、脚色賞(ポール・トーマス・アンダーソン)、初のキャスティング賞、編集賞と、6部門に輝いた。

作品賞を受賞時にも、PTAは興奮しながら「本当に感無量です」と言葉をかみしめ「この受賞は、泥や砂の中を重い機材を引きずって歩き、この物語に心を捧げてくれた何百人ものスタッフたちの努力の証です」とチーム全員をねぎらい「映画が健在に生き続けているのは、それを作る人々がいるからであり、なによりも暗い部屋で、見知らぬ誰かとともに映画を観てくれる人々がいるから。その灯を絶やさずにいてくれて、本当にありがとう」とスピーチを締めくくり、拍手喝采に包まれた。


文/山崎伸子

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