役さながらの“絆”をうかがわせる…あたたかな現場を切り取る『90メートル』メイキング写真
人生の岐路に立つ高校生の息子と難病を抱えながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザーの揺るぎない愛を綴った『90メートル』(3月27日公開)。本作より、メイキング写真が一挙解禁となった。
直木賞作家、朝井リョウの連作短編小説「少女は卒業しない」で商業長編映画デビューを果たし、『か「」く「」し「」ご「」と「』(25)でも高く評価された新進気鋭の監督、中川駿渾身のオリジナル企画を映画化。母親を看病した経験を持つ監督が、自身と自身の母を重ね合わせてキャラクターを作り上げ、半自伝的映画を生みだした。
難病を抱えた母、美咲と2人で暮らす高校3年生の藤村佑を演じるのは、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』(23)で主人公声優の座を射止め、ドラマ「ちはやふるーめぐりー」など話題作への出演で注目を集める山時聡真。人生の岐路に立ち、東京の大学に進学したい気持ちと母のそばを離れるわけにはいかない状況下に置かれ、将来の選択を迫られる等身大の主人公を体現した。そして母の美咲を演じるのは、自身も子育て中であり、『ディア・ファミリー』(24)、『近畿地方のある場所について』(25)と母親役が続く菅野美穂。日に日に身体の自由がきかなくなる難病を患いながら、我が子をなによりも思いやる母親を熱演する。
さらに、美咲が利用する介護施設のケアマネジャー、下村香織役で西野七瀬、佑が所属するバスケ部のマネージャー、松田杏花役で南琴奈、バスケ部員の大平翔太役で田中偉登が出演する。そして、主題歌は大森元貴による書き下ろし楽曲「0.2mm」に決定したことでも話題を呼んでいる。
今回、山時、菅野ら出演者が声をそろえて「あたたかな現場だった」と語る本作の撮影現場を捉えたメイキング写真が一挙解禁。中川監督の撮影スタイルは、俳優からの意見を積極的に取り入れることだといい、まず俳優の芝居を見て、そのうえで話し合いながらシーンを深めていくという。山時も実際に、中川監督と「この場面の佑はどういう気持ちなのか」と、撮影の合間に丁寧に話し合いを重ね、佑の人物像を深めていった。
公開されたメイキング写真のなかには、真剣に議論を交わす山時や菅野演じる母、美咲を支えるケアマネジャー役の西野の姿が。また、山時が菅野の爪を切る印象的な一幕も収められている。これは菅野が「介護だと思って私の爪を切ってみて」と山時に提案して実現したもの。この時を振り返り山時は、「それが息子としての距離感のような気がしたし、佑の描かれていない(日常生活の)部分を想像できるようになった」と、菅野の提案によって役への理解がより深まったことを明かしている。
また、劇中でも大切なシーンの一つである、佑が作ったカレーを美咲と一緒に食べるシーンでは、山時はカレー作りを練習して撮影に臨んだという。そんな山時自身の努力が佑の姿にも重なったのか、菅野も笑顔を見せており、メイキングからもまるで本物の親子のようなぬくもりが伝わってくる。さらに、菅野が子役の頬をカイロで温める母親らしい一面をのぞかせたり、下校途中にコロッケを買うシーンの山時と南が、まさに高校生そのものといった無邪気な笑顔を見せるメイキング写真も公開。そんなあたたかな撮影現場の空気が、スクリーンからも感じ取ることができる。
なお、3月17日(火)には『90メートル』チャリティ上映会を開催。山時、菅野、中川監督が集結して舞台挨拶を実施し、上映会の売り上げの一部は一般社団法人ヤングケアラー協会へ寄付されるとのこと。複雑な想いを抱える親子の絆と揺るぎない愛を綴る本作を、ぜひ映画館で見届けてほしい。
文/サンクレイオ翼
