『人狼 JIN-ROH』公開25周年を記念した舞台挨拶で、貴重な制作秘話が続々!押井守らメインスタッフ&藤本タツキからのお祝いコメントも
『人狼 JIN-ROH』公開25周年&4K化お祝いコメント/イラスト
●沖浦啓之(監督)
●押井守(原作・脚本)
「久々に観た『人狼』。さすがにリニューアルされた4K版は映像も音響もすばらしかったのですが、なにより昨今の日本映画では滅多にお目にかかれなくなった『政治と恋愛の葛藤』という古典的なドラマが涙腺に刺さりました。かつてはこういう男が生きて、こういう女と巡り合い時代の荒波に翻弄されていた―そんな時代もあったのです。脱イデオロギーの現在に真っ向から逆らう物語。そんな物語がアニメとして復活したとはなんとも皮肉な話ではあります。アニメファンならずとも、一度はご覧あれ」
●神山健治(演出)
「『アニメ映画の良さはアニメーションがいかにすばらしいかで決まる』という事実をあらためて知らしめてくれるすばらしい出来栄えだ。制作当時、絵を描くことに携わったスタッフの信念が余すことなく収められている。
オリジナル版は映像として物語の時代性を表現すべくフィルター処理が強くかかっていたが、4Kリマスター版は手描きの絵が持つ凄みが明確に伝わるようなカラーグレーディングが施されさている。いまではなかなか実現することができなくなった、劇中のすべての事象を手描きのアニメーションで表現するという試みにただただ圧倒されてしまう」
●西尾鉄也(キャラクターデザイン)
●井上俊之(副作画監督)
「4Kリマスターには不安がありましたが、まったく違和感なくそれでいて見やすくなっていてスタッフとして大変うれしいです。それにしても『よく描いてるなあ!』いや『描かされてるなあ(苦笑)』。ぜひこの機会に劇場でご覧ください」
●小倉宏昌(美術監督)
「4Kリマスター試写で映画『人狼 JIN-ROH』を久々に見ました。この作品で描いている街や古い住宅街の風景は、私が子どもの頃生活していた町の記憶を頼りに描写した部分が多く、懐かしく感じたりしました。夜も商店などあまり多くはなく街灯も少なく、路地の暗さが思い出されるそんな自己体験をぶつけた作品です。ですが、地下下水道に入ったことはありません。昔の街の匂いのようなものを、この作品で感じてもらえたらありがたいです」
●溝口肇(音楽)
「『人狼』の音楽制作に携わったのは、もう四半世紀以上前のことになります。あの頃、アニメーションはまさに手描きの最後の時代。一枚一枚に魂を込めるスタッフの執念が、あの圧倒的な映像の密度を生み出しました。音楽もまた、アナログからデジタルへと移り変わる過渡期のまっただなかにありました。制作には膨大な時間を要しましたが、その一つ一つの思案や試行錯誤こそが作品への情熱となり、音楽の深みとなって刻まれたと感じています。海外オーケストラとのレコーディングで追い求めた響きは、この物語の持つ孤独と哀切を余すところなく描き出せたのではないかと自負しています。手間と時間を惜しまなかった時代の熱がそのまま封じ込められた本作が、(4K UHD)Blu-rayという最良の器で蘇ることを心からうれしく思います。どうかその画と音の隅々まで、味わっていただければ幸いです」
●若林和弘(音響監督)
「公開からはや25年…。このような機会をいただけるとはなんと幸せなことでしょう。それも当時与えられた環境の中で最大限の努力を映像・音響ともに歩んできた結果が、このリマスター作業と再びの公開へと繋がったものと感じております。今回のドルビーアトモス作業ではオリジナルの演出を変える事のない範囲で、当時のシステム上表現しきれなかった部分を描くように務めました。冒頭や後半部で出てくる地下下水坑での反響感、突機隊の打つMGの重厚・音圧感をオリジナルより広げ・強くしております。僅かですがね。その他にも見直していただければ、地道な変化しかしておりませんが損はさせない仕上がりになっていると思います。それでは最後までお楽しみくださいませ!」
●藤本タツキ(漫画家)
「畳に寄りかかる、滑り台を滑る人間の重さ、セル画特有の色合い、人体のリアリティどれをとっても一流の技術が詰まったすばらしい作品です。反政府勢力と警察の戦いという重厚なストーリーのなかに、妙にリアルでポップな恋愛模様が描かれていてそれが大好きです。ひとつの童話を中心に話を進めていく感じ、そのまま『チェンソーマン』の『レゼ篇』でパクりました。申し訳ございませんでした!!」
文/久保田 和馬
