『ゴールデンカムイ』最新作の重要スポット!『網走番外地』でも有名な日本最北の刑務所、網走監獄とは?

『ゴールデンカムイ』最新作の重要スポット!『網走番外地』でも有名な日本最北の刑務所、網走監獄とは?

『幸福の黄色いハンカチ』にも登場するレンガの門

ゴールデンカムイ」、『網走番外地』以外にも網走刑務所が登場する作品が存在する。例えば、『幸福の黄色いハンカチ』(77)は高倉健演じる主人公が網走刑務所を出所するところから幕を開ける。看守に一礼し、歩きだすシーンで映しだされるのが旧正門。堅牢な門構えとどこまでも続く高い壁は、網走刑務所のランドマークである。

レンガで作られた堅牢な門構えの門
レンガで作られた堅牢な門構えの門写真提供=博物館 網走監獄

このレンガの巨壁が作られたのは1924年(大正13年)のこと。それまで網走刑務所は木の柵で囲まれていたが、1909年(明治42年)の大火事による施設焼失を受け、作り直されたのだ。建設にあたり所内にレンガ工場が作られ、受刑者たちは試行錯誤しながら150万枚ものレンガを一から作成。1919年(大正8年)から5年がかりで完成した労作で、その外観は多くの映画の撮影に使われている。

特徴的な構造の五翼放射状平屋舎房

受刑者が暮らす舎房で特徴的なのが五翼放射状平屋舎房だ。中央の見張所を起点に5本の通路が扇形に伸びた建物で、通路の両側に舎房がずらりと並んでいる。中央の見張り所から各通路の様子が一望できる設計で、『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』では長い通路を生かした集団バトルが繰り広げられる。

五翼放射状平屋舎房から庁舎、教誨室まで各所で死闘が展開
五翼放射状平屋舎房から庁舎、教誨室まで各所で死闘が展開[c]野田サトル/集英社 [c]2026映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

この五翼放射状平屋舎房は1912年(明治45年)に作られたもので、それ以前は建物内に舎房が並んだ一般的な間取りだった。1909年の火事のあと、ベルギーの刑務所をモデルに監視がしやすいこの形状で新築されたのだ。

【写真を見る】中央の見張所を起点に5本の通路が放射状に伸びる五翼放射状平屋舎房
【写真を見る】中央の見張所を起点に5本の通路が放射状に伸びる五翼放射状平屋舎房写真提供=博物館 網走監獄

愛と憎しみの彼方へ』(51)には当時の様子がフィルムに収められている。この作品は三船敏郎主演の脱獄もので、監督は谷口千吉、脚本を黒澤明が担当。網走刑務所を扱った最初の映画で、網走は町をあげて協力し所内での撮影も許可された唯一の作品だ。夜間シーンの刑務所全景などミニチュア特撮は円谷英二、音楽を伊福部昭とのちの『ゴジラ』(54)チームが手掛けている。

八角形の特徴的な構造をした中央見張所
八角形の特徴的な構造をした中央見張所写真提供=博物館 網走監獄

現在は移設され、「博物館 網走監獄」として観光名所に

建て替えで役目を終えた五翼放射状平屋舎房は、1985年(昭和60年)にほかの旧建造物と共に網走国定公園の「博物館 網走監獄」に移設された。“脱獄魔”白石ら受刑者の蝋人形も飾られ、現在は観光名所としてその名残りを後世に伝えている。また、日本で暗躍したロシア人スパイ、リヒャルト・ゾルゲを描いた『スパイ・ゾルゲ』(03)や、北海道で刑務所の教誨師となった留岡幸助を描いた『大地の詩-留岡幸助物語-』(11)などの網走刑務所のシーンをここで撮影。

日本で暗躍したロシア人スパイ、リヒャルト・ゾルゲを描いた『スパイ・ゾルゲ』
日本で暗躍したロシア人スパイ、リヒャルト・ゾルゲを描いた『スパイ・ゾルゲ』DTSデラックス・エディション DVD 発売中 価格:6,600円 発売元:アスミック・エース 販売元:東宝 [c]2003 スパイ・ゾルゲ製作委員会

架空の刑務所の受刑者の日常を綴った『刑務所の中』(02)でも、雑居坊や独房などがメインのロケ地に使われた。ちなみに、網走刑務所の名を日本中に知らしめた『網走番外地』の所内シーンは、スタジオに組まれたセットで撮影されている。

架空の刑務所の受刑者の日常を綴った『刑務所の中』
架空の刑務所の受刑者の日常を綴った『刑務所の中』4/10 デジタル配信開始 提供:松竹株式会社 [c]2002 松竹ブロードキャスティング


『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』のクライマックスは、網走監獄での一大スペクタクル。スタジオに監獄内部が完全再現され、杉元とアシリパらが厳重な警備の裏をかき所内に潜入するサスペンス、五翼放射状平屋舎房から庁舎、教誨室まで各所での死闘など、所内の見せ場が満載されている。二転三転するドラマチックな展開や躍動感あふれるアクションはもちろん、独特な建物の構造も本作の魅力なのである。

文/神武団四郎

※山崎賢人の「崎」は正式には「たつさき」
※アシリパの「リ」は小文字が正式表記

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