「ウィキッド」と「オズの魔法使い」にはどんなつながりが?リンクするキャラクターで探る物語の深さ
心を持たないブリキ男となるボック
ボックの運命もまた、永遠に変えられることになってしまう。グリンダに思いを伝えようとした彼はネッサローズに“心”を奪う魔法をかけられる。
グリンダは彼を苦しみから解放してやろうと魔法を駆使するが、それによって心を持たないブリキのきこりに姿を変えられることに。こちらも「オズの魔法使い」ではカカシと同じくドロシーの冒険に同行。心を欲しがり、共にオズの魔法使いの元へと向かおうとするブリキ男だ。
“カンザスから来た少女”ドロシー
本作では肝心のドロシーも初登場。要所要所でその姿を見せるが、顔は決して見えないという絶妙な演出が施されている。「オズの魔法使い」のクライマックスにして、本作のクライマックスでもあるエルファバ、すなわち“悪い魔女”と対峙するシーンは、最もわかりやすいリンクと言えるだろう。基本的にドロシーは原典のままの無垢な少女で、カンザスの我が家に戻るために愛犬トトを連れて冒険を繰り広げている。「ウィキッド」の世界で展開している“大人”の事情など知る由もないのだ。
このようにキャラクターを振り返ると、『ウィキッド 永遠の約束』は『~ ふたりの魔女』のような明るさが強調された世界ではないことがよくわかる。前作では学生だった主要キャラクターたちも、ここでは立派な大人。自分の心に正直に生きようとする者もいれば、人のためによかれと思ったことをしようとする者もいる。
しかし、そんな善意が必ずしも善行とイコールにならないのが大人の世界。「オズの魔法使い」におけるドロシーの無垢とは対照的だ。そんな構図を浮かび上がらせながら、大人の観客に響くものを投げかける。その重みを、二度三度と味わってみてほしい。
文/相馬学
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