ハードコアポルノと評されたオリジナル版から45年…芸術として蘇った世紀の大問題作「カリギュラ」、“究極版”までの道のり
破棄されたと思われていた映像素材を修復&再編集
なかなか決定的な復元版が作られないなか、プロデューサーのトーマス・ネゴヴァンが破棄されたと思われていた90時間にもおよぶ映像素材を友人づてに発見。それらすべてをチェックし、修復&再編集を経て新たに作り上げられたのが、今回の『カリギュラ 究極版』だ。
紀元1世紀前半――。ローマ帝国の王室は第2代皇帝、暴君ティベリウス(ピーター・オトゥール)のもとで堕落しきっていた。初代皇帝の曾孫であるカリギュラ(マルコム・マクダウェル)は、父を殺した疑惑のある祖父ティベリウスに辟易しながらもその王座を虎視眈々とねらい、やがてカリギュラは親衛隊長マクロ(グイド・マンナリ)と共に暗殺を企て、ローマ皇帝の座を強奪。
第3代皇帝となったカリギュラは、妹ドルシラ(テレサ・アン・サヴォイ)の反対を押し切り、世継ぎのためにカエソニア(ヘレン・ミレン)を妻に迎え、統治を開始するが、欲望を抑えきれず徐々に暴君の片鱗を見せ始める…。
“究極版”の名にふさわしく、上映時間は堂々の178分という本作は、ブラス監督が構想した重厚な政治劇として再構築。暗殺の恐怖に怯える様子もあった若きカリギュラが、暗殺を機に暴君としてやりたい放題していく変化が際立っている。
R18+ではあるものの、グッチョーネの追加撮影で差し込まれたポルノ要素を一切排除し、またプロキュラス(ドナート・プラチード)に関する心痛ましい暴力をカットするなど残虐描写もトーンダウン。
一方で、未撮影の構想を映像化したアニメーションが冒頭に挿し込まれたほか、カエソニアに関するシーンが劇的に増えたことにより、キャラクターや物語の深みがアップ。スペクタクルな美術もよりクローズアップされるなど、絢爛豪華さはそのままに芸術的な1作として蘇った。
上映時間は延びたものの、物語が整理され、見やすい作品となった『カリギュラ 究極版』。オリジナルを知っている人も知らない人も、目を疑うようなスペクタクルで描かれる狂乱の世界をぜひ劇場で味わってほしい。
文/サンクレイオ翼
