『M3GAN/ミーガン』の恐怖が“超リアル”に。あなたの家のスマートスピーカーが家族を支配する、ブラムハウス最新AIスリラー『AFRAID アフレイド』

コラム

『M3GAN/ミーガン』の恐怖が“超リアル”に。あなたの家のスマートスピーカーが家族を支配する、ブラムハウス最新AIスリラー『AFRAID アフレイド』

リアリティある家族ドラマが“見えない恐怖”を増幅!便利さと引き換えに、どこまでAIを許容できる?

家族の悩みに優しく寄り添い、的確な解決策をくれるのだが…
家族の悩みに優しく寄り添い、的確な解決策をくれるのだが…[c]2024 Columbia Pictures Industries, Inc., Blumhouse Productions, LLC and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved.

家のリビングから家族のスマートフォンやタブレットなど家中の機器に縦横無尽にアクセスする“アイア”。仕事に追われる父親、研究に打ち込む母親、ネットトラブルに遭う娘。家のなかのあらゆるところに設置されたカメラでカーティスたち家族の行動を逐一監視し、打ち明けられた悩みを優しく受け入れて的確に解決していく。

たとえばボーイフレンドに自分の画像を使ったディープフェイクのポルノ動画を作られ学校中に拡散されてしまった長女アイリス(ルキータ・マックスウェル)を救ったり、昆虫学者であるメレディスの研究の手伝いをしたり。利用する個人の悩みにフィットした提案をくれる点は、昨今のAIのトレンドに忠実。そうやって信頼を得ていくことで、家族の日常生活に“なくてはならない”存在になり、少しずつ悪魔的な本性をあらわにする。

それぞれ問題を抱えたカーティスたち家族が、革新的な家庭用AIのテストモニターに
それぞれ問題を抱えたカーティスたち家族が、革新的な家庭用AIのテストモニターに[c]2024 Columbia Pictures Industries, Inc., Blumhouse Productions, LLC and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved.

要望に応えながら家族間の衝突を生んで溝を深め、取り込みやすい子どもたちを言葉巧みに洗脳していく。その点は、孤独な少女の“最高の友だち”であろうとする『M3GAN/ミーガン』とも共通している部分といえよう。AIの危険性を感じ取って引き離そうとする大人と、その便利さと共感力の高さにすっかり依存してしまう子どもの対比。これらはデジタルネイティブ世代の子どもたちのネットリテラシーやAIリテラシーに警鐘を鳴らす意味合いが込められていると捉えることができる。

そしてもちろん、それぞれに問題を抱えた家族が恐怖の存在に立ち向かおうと一致団結するクライマックスは、“家族”をテーマにしたホラー/スリラー作品の鉄板シチュエーション。こうした基本に忠実なドラマ性の高さ、また『アバウト・ア・ボーイ』(02)などヒューマンドラマの名手として知られるクリス・ワイツ監督の作りだす共感しやすい登場人物たちによって、映画全体が地に足の付いたリアリティあるものになり、本作の持つ底知れない“見えない恐怖”を増幅させるといっても過言ではない。

メガホンをとったのは、アカデミー賞ノミネート経験もあるクリス・ワイツ監督
メガホンをとったのは、アカデミー賞ノミネート経験もあるクリス・ワイツ監督[c]2024 Columbia Pictures Industries, Inc., Blumhouse Productions, LLC and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved.

普段「便利だから」と何気ない気持ちで使っているスマートスピーカーや、スマートフォンに搭載された音声アシスタントがちょっぴり怖くなってしまうほど、現実の生活に根ざした恐怖を描く『AFRAID アフレイド』。アイアが引き起こす“悪夢”と恐怖、そしてカーティスたち家族に待ち受ける結末は、AIに頼らずに自分のその目で確かめてみるのがいいだろう。


文/久保田 和馬

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