家族や住民の連帯は絆か、呪いか?『アメリアの息子たち』『女神の継承』『嗤う蟲』“つながり”が恐怖をもたらす奇妙な映画たち
コミュニティの閉鎖性が恐怖を生みだす、村系スリラー
韓国映画『哭声/コクソン』(16)は、家族の誰かがほかの肉親を虐殺するという連続怪奇事件を描いた点で『ロングレッグス』と共通するが、こちらはより闇が深い。韓国のとある村で、この事件が起こり、主人公の警官は村に居着いた日本人(國村隼が怪演!)に疑惑の目を向ける。ところが、警官の愛娘にも、これまでの家族惨殺事件の犯人と同様の兆候が見えるようになり、事態は混沌の一途をたどる。こちらも悪魔的なものの存在を匂わせており、祈祷師や謎の女性といったキャラクターをまぶしているが、真相は観る者の解釈に委ねられる。何度も観てミステリーを追求したくなるという点で、興味深い逸品だ。
同じく韓国が共同で製作した、タイ映画『女神の継承』(21)は、さらにオカルト度を増していく。タイの村で祈祷師をしている女性にドキュメンタリー撮影隊が密着。祈祷師は家業であり、代々一族の女性が受け継いできたが、その娘はキリスト教に転身してこれを拒絶し、孫娘も母に倣っていた。ところが、この若い孫娘の身に異変が起こり、信仰に反した行動を起こすようになる。それはやがて村で、凄惨としか言いようのない大量虐殺を引き起こす!女系家族の謎を明かすミステリーはオカルトの要素を纏いながらスリルを上昇させ、クライマックスの惨劇で頂点へ。そこに信仰や信条を超えた恐ろしい魔物が見えてくる。
日本にもこの類の村スリラーは多く、配信で好評を博したドラマシリーズ「ガンニバル」は有名どころ。映画では、こちらも記憶に新しい『嗤う蟲』(25)を挙げておこう。都会から田舎に移住した若い夫婦が、村人たちに歓待され、子づくりを異様なほど奨励されて赤子が生まれる。ところが、ここから奇妙な出来事が続発。夫は深みにはまって逃れられなくなり、妻が家族を守るために奮闘するという物語。地方に行けば行くほどコミュニティの閉鎖性は増すもので、本作の恐怖のベースはそこにある。オカルト性は希薄だが、観ておくべき一作であるのは間違いない。
森の奥の豪邸に暮らす仲良し親子の恐ろしい秘密とは
さて、注目の『アメリアの息子たち』に話を移そう。舞台はポルトガルの山奥。ニューヨークで育った孤児の青年エドワード(カルロト・コッタ)は、実の母と双子の兄弟がこの地にいると知り、恋人ライリー(ブリジット・ランディ=ペイン)と共に現地に向かう。
豪邸で暮らしている母アメリア(アナベラ・モレイラ)と弟マヌエル(カルロト・コッタ/二役)は温かく彼らを迎えるが、その振る舞いはどこかぎこちない。アメリアの顔面には明らかな整形の跡があり、マヌエルは大人になっても、そんな母と一緒にベッドで寝ている。不信感を抱いたライリーは帰ったほうがいいと主張するが、実の家族に出会えたエドワードは、そこから離れる決心がつかない。やがてアメリア一家の壮絶な過去が明らかになる!
家族のドラマでありながら、そこには村スリラーやオカルトの要素があり、さらにおどろおどろしい要素もある。それがなにかは伏せるが、ここまで紹介してきた作品に勝るとも劣らない衝撃があることは主張しておこう。覚悟して、観てみてほしい。
文/相馬学
