韓国発“怖音”ホラー『層間騒音』霊の出現音…人ではないなにか…不穏すぎる予告編&ポスタービジュアル
韓国で大ヒットを記録したホラー映画『層間騒音』(10月10日公開)から予告編やポスタービジュアルが到着した。
日常生活で聞こえる何気ない生活音。もしも音の発信源が分からず、得体のしれない恐怖も伴う“怖音(ふおん)”だとしたら…。タイトルにもなっている『層間騒音』(そうかんそうおん)という言葉は、集合住宅で上下階から聞こえてくる生活音(足音、話し声、ドアの開閉音、家電製品の音など)を指す韓国の言葉である。原因不明の騒音が鳴り響く、古い団地を舞台をした韓国発のホラー映画『層間騒音』は、2025年6月に韓国で封切られると、公開と同時に口コミが爆発的に広がり、韓国映画の中で3週連続第1位を獲得。現時点で今年一番ヒットしたホラー映画となった。
ある日、聴覚障がいを持つソ・ジュヨン(イ・ソンビン)は、妹のジュヒが突然失踪したと知らされる。2人は以前一緒に暮らしていたが、ジュヒは騒音が聞こえると言い始め、ジュヨンには補聴器をつけてもその騒音が聞こえず、食い違いから喧嘩になったきり会っていなかった。ジュヒが住んでいた団地の部屋に入ると、天井にはびっしりと防音シートが敷き詰められている。直後に尋ねてきた隣人から「夜は静かにしてもらえますか、これ以上うるさくしたらその口を裂く」と脅される。しかしジュヒが失踪したあとの部屋には誰も居ない…。妹が見つかるまで団地の部屋に泊まることにしたジュヨンは、補聴器を介して奇妙な音が聞こえ始める。やがて音だけでなく“なにか”の存在も感じるようになる。
このたび解禁された予告編では、ベートーヴェンの名曲「エリーゼのために」の電話着信音に乗せて、悍ましい光景をところ狭しと映していく。舞台となる団地の玄関ドアにフォーカスが向けられると、びっしりと殴り書きされた“静かにしてください”という、段ボールが張りだされていた。ナレーションでは「韓国映画3週連続No.1。音系団地ホラー聴ヒット作」という映画のテーマを鮮明にしながらも、引き続き不気味な着信音が鳴り響く。その着信音に導かれるように、受話器を取った団地住民のジュヒだったが、この世のものとは思えない“怖音”を聴いてしまった影響で、彼女の叫び声が団地に轟く。
映像は一転して、聴覚障がいを持つ主人公のジュヨンが登場。ジョヨンは、失踪した妹のジュヒが住んでいた部屋を訪れて、行方不明となった元凶を探っていると、床一面に黒く変色した箇所を見つけてしまう。さらには、住民がいないはずの上階部屋から、物音と足音が聞こえてきたり、窓から黒い人影が出現したり、包丁でドアをノックしてくる隣人男性が登場するなど、次々と怪奇現象が湧き上がってくる。一体全体どうなっているのか、理解不能な状況に直面したジョヨンの前には、謎の少年も登場。 出血してしまうほどの勢いで、ジョヨンの補聴器を引き剥がした少年は、手話で「これ以上聞くと、死ぬよ」と忠告する。
「93分の“怖音(ふおん)”体験」というおぞましいテロップとともに、べートーベンの「運命・交響曲第5番」に転調した予告編は佳境を迎える。手で触れていないスマホの画面には、“ヒヒヒ”という謎の文字が表示されたり、赤い血に染まった人の足元、テレビに映る出演者が歪みながら笑うといった、不穏なシーンの数々がサブリミナル的に切り取られていく。予告編ラストには、「この音、聞こえてますか?」という問いかけと共に、ある一定の周波数に設定された得体の知れないモスキート音が聞こえてくる。この音は、怪奇現象を引き起こしている霊の予兆音なのか?
あわせて公開されたポスタービジュアルは、団地の階層を思わせるデザイン。上段には、怪奇現象を目の当たりにしてしまい、手で口元を押さえているジュヨンが全面に映し出されている。2段目には、失踪した妹のジュヒと思わしき女性が暗闇の部屋の中で、椅子の上に立ち窓の方角を見つめるという不気味なシーンを捉えている。3段目では、謎の男がドアの外で怪しげに立ち尽くす、寒々しいシーンが配置された。4段目には、恐怖の舞台となる団地のカットを採用。なおよく目を通すと、人ではない“何か”が4つ見えるという、面白い仕掛けも施されている。
監督のキム・スジンは本作について、脚本執筆中と撮影中に突然物が倒れる心霊現象や不可解な音を聞いたと証言。劇中にあふれる“怖音”の数々を、映画館の充実した音響で味わってほしい。
文/スズキヒロシ