総作画枚数10万枚超えの舞台裏をチラ見せ!『ChaO』貴重な原画が公開

総作画枚数10万枚超えの舞台裏をチラ見せ!『ChaO』貴重な原画が公開

『鉄コン筋クリート』(06)のアニメーションを手掛けたSTUDIO 4°Cが7年をかけて制作した『ChaO』(8月15日公開)。本作より、原画の一部とスタッフコメントが到着した。

【写真を見る】総作画枚数10万枚超えの超緻密なアニメーションで表現される多様な人間模様や恋の物語
【写真を見る】総作画枚数10万枚超えの超緻密なアニメーションで表現される多様な人間模様や恋の物語[c]2025「ChaO」製作委員会

『となりのトトロ』(88)、『魔女の宅急便』(89)のラインプロデューサーを務めた田中栄子が主催するクリエイティブ集団STUDIO4°Cは、ハイクオリティな映像と独特な世界観で世界中に多くのファンを抱えているが、最新作で描かれるのは、種族と文化を超えた恋と奇跡の物語。オリジナルアニメーションとなる本作では、画を1枚1枚描く手書きアニメーションにこだわり、圧倒的な作画量と斬新な処理の背景美術で、瑞々しくもかわいく人間と人魚の恋模様が映しだされていく。

本作の舞台は、人間と人魚が共存する未来社会。船舶を造る会社で働くサラリーマンのステファンは、ある日突然、人魚王国のお姫さま、チャオに求婚される。ステファンは訳もわからないまま、チャオと一緒に生活することに。純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、ステファンは少しずつチャオに惹かれていく。

公開に先んじて、アヌシー国際アニメーション映画祭2025にて長編コンペティション部門で準グランプリ相当の審査員賞を受賞し、さらに北米最大のジャンル映画祭であるファンタジア国際映画祭のコンペティション部門にもノミネートが決定。早くも世界で大きな話題を集めている。

画を1枚1枚描く手書きアニメーションにこだわった
画を1枚1枚描く手書きアニメーションにこだわった[c]2025「ChaO」製作委員会

このたび、主人公ステファン&チャオを捉えた貴重な原画5点と制作の舞台裏を語るスタッフ陣のコメントが到着した。原画に描かれているのは、ステファンの豊かな表情やキュートに微笑むチャオの姿など。残されたスタッフのメモ書きからも抜かりないこだわりが伝わる。

生きている感じがする鉛筆のタッチに注目
生きている感じがする鉛筆のタッチに注目[c]2025「ChaO」製作委員会

本作では総作画枚数10万枚超えの超緻密なアニメーションで表現される多様な人間模様や恋の物語が大きな見どころの一つ。計算し尽くされたアニメーション誕生の背景について、青木康浩監督は「アドリブが多く上がってくることが多かったのですが、そういうものを楽しみに作っているところもありますし、それを殺してしまうとこの作品の味やよさというものがなくなってしまいますよね」と振り返り、制作現場で生まれるアドリブも積極的に採用していたという。「いっぱい描くのって大変ですからね。忙しいなかでみなさん受けてくださって、それでやってきたことは無下にできなかったんです。(キャラクターデザイン、総作画監督の)小島(大和)さんの立場からすると、(素材が)いっぱいあるありがたさがありつつも、画としては整えなければいけないという大変さはあったと思います(笑)」と当時を回顧。

その小島は「STUDIO4°Cだからこそ、“このくらいはいいだろう”といういい意味で自由度があったので、ほかの作品ではできないことをやろうと思って挑みました」と“自由さ”が大きな武器になったことを明かす。「今回にかんしてはアナログでやりたかったので、鉛筆で描きました。『海獣の子供』を観て鉛筆のよさを感じたので、なるべく鉛筆でいきたいなと思いまして…。原画を描く時も、キャラクター表も、ティザーも全部鉛筆で。この作品には鉛筆のタッチのような、生きている感じが必要でした」とこだわりを語っている。


ステファンの豊かな表情
ステファンの豊かな表情[c]2025「ChaO」製作委員会

スタッフ陣の並々ならぬこだわりと挑戦によって生みだされた『ChaO』。何度見ても新たな発見がある本作をぜひスクリーンで堪能してほしい。

文/平尾嘉浩

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