かつてのジェームズ・ボンドとエリザベス女王が極悪夫婦役で共演?クライムサスペンス「モブランド」に注目!
「ヴェノム」シリーズのトム・ハーディが主演を務め、『シャーロック・ホームズ』(09)や実写版『アラジン』(19)を手掛けたガイ・リッチーを監督に迎えたクライムサスペンスドラマ「モブランド」が、7月4日(金)よりParamount+にて独占配信される。本作はアメリカでの配信開始から最初の7日間で視聴者数880万人を記録し、グローバルシリーズ作品としてParamount+史上最大の数字を叩き出した超話題作。そんな「モブランド」で、圧倒的な権力で裏社会を牛耳る“極悪夫婦”を、映画「007」シリーズのジェームズ・ボンド役で知られる名優ピアース・ブロスナンと、『クィーン』(06)でエリザベス女王を演じ、オスカーを受賞した大女優ヘレン・ミレンが熱演している点が実に興味深い。
「モブランド」はイギリスのロンドンを舞台に、莫大な富と権力が渦巻く“裏社会”を牛耳る犯罪一家ハリガン家に忠誠を誓う“最強のフィクサー(もみ消し屋)”ハリー(ハーディ)の物語。ブロスナン演じるハリガン家の当主コンラッドは、まるでマフィア王のようにファミリーを鉄の拳で支配している。見た目はスーツを着こなす英国紳士の品格にあふれているが、性格はずる賢くて裏切り者がいたらすぐに抹殺するような恐ろしい男だ。ミレン演じるコンラッドの妻メイヴもエレガントで優雅な振る舞いを見せるが、冷徹で計算高くコンラッドを裏で操り指示する黒幕的存在である。
そんな危険に満ちた夫婦を演じた2人だが、ブロスナンは「2人のキャラクターは、脚本を読んだ時からどこかオペラのような劇的な感情を持っています。妻のメイヴはコンラッドよりも狡猾で、彼はそれを理解しつつも受け入れている。その“ナイフの刃の上”を歩いているような関係性が魅力なんです。どのキャラクターも、いつ誰が裏切るかわからないおもしろさがあり、この夫婦は特に危険です」と語り、
さらに「コンラッドとメイヴは子どものころから一緒に田舎で育ちました。でもコンラッドは女好きでほかの女性との間に何人も子どもがいるんじゃないかな。まるで『マクベス』のマクベス夫婦みたいな関係です」と明かす。ファミリーを守るためならば、裏切り者には殺しも厭わない危険な夫婦に注目だ。
そしてブロスナンは3度目の共演となったミレンに信頼を寄せ「僕は彼女をとても深く尊敬しています。お互いをよく知っていて信頼関係がありますね。去年別の映画で一緒に仕事をした時に彼女から『この役を引き受けるの?』と聞かれ、『やるつもりだよ』と答えました。そうしたら彼女も脚本を読んで『私もやるわ』って。ヘレンや主演のトム・ハーディら本当に素晴らしい俳優が集まったので、5か月間毎朝5時に起きて現場に行くのがまったくつらくなかったです」と出演秘話を告白。
ミレンもブロスナンとの共演について「私にとって彼との共演は、究極のカクテルを飲んでいるような気持ちになるほど素晴らしかったです。彼は本当に素晴らしい人で、とてもプロフェッショナルで、控えめなんだけど、それは偽りの謙虚さではなく、自分の強みをちゃんと理解しているんです。本作での彼の演技は本当に素晴らしいと思います。私は心からそう思っていて、観た人はみんな彼に圧倒されるんじゃないかと思いますね」と絶賛し、まさにハリガン夫婦と同じく固い絆で結ばれていた。そんな2人が演じる富と権力を築き上げてきた夫婦の強かで狡猾な“悪人っぷり”をぜひ楽しんでいただきたい。
くせ者だらけで誰一人信用できない裏社会で暗躍するハリーは、欲望が渦巻く抗争の果てに生き残ることができるのか?本作を配信するParamount+は2021年にアメリカでサービスを開始し、世界45か国以上で展開するストリーミングサービス。日本では「WOWOWオンデマンド」と「J:COM STREAM」「Prime Video」「Leminoチャンネル」でサービスが開始されている。
文/山崎伸子