目指したのは「Dr.スランプ アラレちゃん」?STUDIO4°C最新作『ChaO』の個性豊かなキャラクター設定画

目指したのは「Dr.スランプ アラレちゃん」?STUDIO4°C最新作『ChaO』の個性豊かなキャラクター設定画

『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)、『映画 えんとつ町のプペル』(20)などのSTUDIO4°Cによるアニメーション映画最新作『ChaO』が、8⽉15⽇(⾦)より全国公開となる。このたび、こだわりぬいた超貴重なキャラクターの設定画が解禁された。

宮崎駿監督作『となりのトトロ』(88)や『魔女の宅急便』(89)のラインプロデューサーを務めた田中栄子が主宰するクリエイティブ集団STUDIO4°Cは、ハイクオリティな映像と独特な世界観で世界中に多くのファンを抱えてきた。種族と文化を超えた恋と奇跡の物語を描く最新作『ChaO』では、絵を1枚1枚描く⼿描きアニメーションにこだわり、圧倒的な作画量と美しい背景美術で、⼈間と人⿂の恋模様をみずみずしくもかわいらしく描きだす。

本作の舞台は、人間と人魚が共存する未来社会。船舶を造る会社で働くサラリーマンのステファン(声:鈴鹿央士)は、ある日突然、人魚王国のお姫さま、チャオ(声:山田杏奈)に求婚される!ステファンは訳もわからないまま、チャオと一緒に生活することに。純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、ステファンは少しずつチャオに惹かれていくが…。2人の恋の行方はどうなる!?

公開に先んじて、アニメーション映画祭としては世界で最も長い歴史を持つ国際映画祭の「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」長編コンペティション部門で準グランプリ相当の審査員賞を受賞、さらに北米最大のジャンル映画祭である「ファンタジア国際映画祭」のコンペティション部門にもノミネートが決定するなど、早くも世界から注目を集めている本作。企画が動きだしたのは9年前の2016年だが「STUDIO4°Cのアニメーション技術で、世界に発信できる“まったく新しいオリジナルアニメーション作品”を作りたい」という田中プロデューサーの想いのもと、“これまでに誰も観たことのない映像表現を追求する”を目標にプロジェクトがスタートした。

STUDIO4°Cが掲げるこの“新しさ”は、今回公開された貴重なキャラクター設定画からも随所で感じることができる。それらは主人公ステファンと人魚姫チャオをはじめ、彼らを取り巻く超個性的な登場人物たちが大集合したものと、ステファンやチャオの豊かな表情が切り取られた3点の設定画だ。等身からシルエットまでバラバラで、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを放ちながら、異なる種族が入り乱れた“人間と魚が共存する未来社会”を表現している。

【写真を見る】体型も顔の造詣もなんでもあり!「Dr.スランプ」のような世界を目指した『ChaO』の超個性的な登場人物たち
【写真を見る】体型も顔の造詣もなんでもあり!「Dr.スランプ」のような世界を目指した『ChaO』の超個性的な登場人物たち[c]2025「ChaO」製作委員会

キャラクターデザインや総作画監督を務めたのは、気鋭のアニメーターとして注目を集める小島大和。このインパクト大な独創性あふれるキャラクターデザインは、原案を青木康浩監督が考え、それをもとに小島がデザインを担当した。このようなデザインに至った経緯について、「監督が、『Dr.スランプ アラレちゃん』みたいな世界でいいんじゃないかとイメージをおっしゃっていたので、体型など自由にデザインさせていただきました」と誰もが知る名作からインスピレーションを受けたと告白。「アラレちゃんのような、いろんなものが混在している世界といいますか。スレンダーで美人な人もいれば、顔が大きい人もいるし、リアルっぽい顔もいれば、シンプルな顔もいるし、ひょろっとしている人もいるし、なんでもアリみたいな感じです」と回顧する。

脇を固める超個性派な登場人物たちとは対照的に、“ちょっと地味だけど、どこにでもいそうな青年”という印象を与えているのが、主人公のステファンだ。小島は「ちょっとオドオドとした冴えない感じの地味目なキャラクターだけれど、最後はちょっと男らしくなる。そのようなオーダーでデザインしました。それでも紆余曲折があって…脇を固めるキャタクターがより際立つように、おとなしめのデザインにしたというところもあると思います」と秘話を明かす。

ちょっと地味だけど、どこにでもいそうな青年ステファンの設定画
ちょっと地味だけど、どこにでもいそうな青年ステファンの設定画[c]2025「ChaO」製作委員会


そんなステファンに一途な愛を注ぐチャオは、カラフルかつキュートな人魚姫になった。小島は「(チャオは)可愛いキャラクターにしたいなと思いましたが、よくあるアニメや漫画にある美少女という感じではなく、アジア人っぽさを入れつつ、そのなかで可愛いキャラクターを探っていきました」と隠されたこだわりについてコメント。さらに「いくつか“こういう顔がいいな”と思う候補がありました。女優さんや歌手の方でいいなと思う要素を入れつつ、何回も描き直してチャオが生まれました。普通の“可愛い”ではない感じです」とも語った。

一癖も二癖もあるキャラクターたちの活躍からも、STUDIO4°Cが挑んだ“新しさ”を垣間見ることができる本作。見れば見るほど好きになる、ちょっぴりクセ強キャラたちが織りなす奇跡の物語を、ぜひ劇場で楽しんでいただきたい。

文/山崎伸子

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