主演&監督の熱烈アプローチで大抜擢『顔を捨てた男』ヒロイン役レナーテ・レインスヴェのキャスティング秘話とは?
A24×セバスチャン・スタン主演×アーロン・シンバーグ監督で贈る映画『顔を捨てた男』が7月11日(金)より公開となる。このたび、本作に出演するレナーテ・レインスヴェのキャスティング秘話が明らかに。さらに、本編映像、場面写真もあわせて解禁となった。
本作のメガホンをとり、脚本も手掛けたシンバーグが描くのは、外見が変われば幸せになれるのか?という普遍的なテーマ。「他者からの見られ方」や「自分の見せ方」を過剰に追い求める現代に問う、異色の不条理スリラーが展開する。主人公は、顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。別人として順風満帆な人生を歩みだした矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の顔にそっくりな男オズワルド。その出会いによって、彼の運命は想像もつかない方向へと逆転していくのだった。
本作でヒロインのイングリッドを演じるのは『わたしは最悪。』(21)で第74回カンヌ映画祭の主演女優賞を受賞した、ノルウェー出身の俳優レインスヴェ。同作を観てレインスヴェに惚れ込んだシンバーグ監督は、まず主演のスタンに相談。スタンも「あの映画での彼女の演技には圧倒された」と2人の意見が合致し、脚本を送ることになったという。
当時のレインスヴェは『わたしは最悪。』で一気に注目され、たくさんの脚本が送られてきていたが、本作を「当時受け取った脚本のなかで一番興味深く、そして難しい役だった」と振り返る。レインスヴェが本作で演じたイングリッドは、主人公エドワードの隣に引っ越してくる劇作家の卵。隣人として、また劇作家として、顔を変える前、そして顔を変えて別人として生きるエドワードと接する重要な役どころだ。イングリッドは、エドワードと接するなかで徐々に惹かれていき、彼を題材にした作品を創作する。自身の役柄についてレインスヴェは「他人の物語を戯曲にするのは、彼女が自分の感情と向き合えていないからこそ。イングリッドは自分の人生を見つけようとしている人だと思う」と分析。シンバーグ監督は、今回彼女が演じたイングリッドという役について、「ある瞬間は誘惑的で、皮肉っぽくもあり、拒絶的でもあり、そして不安げ。この映画で最も難しい役はイングリッドだ」と断言している。
あわせて解禁となった本編映像は、本当の姿を隠し、別人ガイとしてイングリッドに接するエドワードとの会話を切り取った場面。「本音を言えばこのマスクのような顔の役者を使いたかった」と複雑な心境を話すイングリッドと、「僕がやるべきだ」と息巻くガイが映しだされる。イングリッドは、葛藤を打ち明けつつも、オーディションでのガイの演技を絶賛。ガイは思わず笑みがこぼれるのだった。
また、同時に解禁された場面写真には、スカーフを巻いて颯爽と歩くイングリッドの後ろをこっそりとガイがついていく姿が切り取られている。また、オーディションでガイの演技を見て驚きを隠せない表情を浮かべるイングリッド、自身が作る舞台について話すイングリッドなど、様々な表情が写されている。
本年度の第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でグランプリを受賞した『Sentimental Value(原題)』(25)、スタンと再共演する『Fjord(原題)』(25)と今後も出演作が立て続けに発表されているレインスヴェ。ノルウェー出身の彼女が全編英語で挑んだ初めての演技にして、難しい役を見事に演じた本作にぜひ注目してほしい。
文/鈴木レイヤ