注目の奇才『顔を捨てた男』アーロン・シンバーグ監督とは?メイキング&オフショット写真が公開

注目の奇才『顔を捨てた男』アーロン・シンバーグ監督とは?メイキング&オフショット写真が公開

気鋭のスタジオA22製作、『サンダーボルツ*』(公開中)や「アベンジャーズ」シリーズのセバスチャン・スタン主演映画『顔を捨てた男』が7月11日(金)より公開される。このたび鬼才、アーロン・シンバーグ監督の魅力に迫るメイキング&オフショット写真が解禁された。

【写真を見る】アーロン・シンバーグ監督&プロデューサーのクリスティーン・ヴェーコンが笑顔
【写真を見る】アーロン・シンバーグ監督&プロデューサーのクリスティーン・ヴェーコンが笑顔[c]2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。別人として順風満帆な人生を歩みだした矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の顔にそっくりな男オズワルドだった。その出会いによって、彼の運命は想像もつかない方向へと逆転していく。

『顔を捨てた男』のメガホンをとったアーロン・シンバーグ監督
『顔を捨てた男』のメガホンをとったアーロン・シンバーグ監督[c]2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作のメガホンをとり、脚本も手掛けたシンバーグが描いたのは、外見が変われば幸せになれるのか?という普遍的なテーマで、本作を「他者からの見られ方」や「自分の見せ方」を過剰に追い求める現代に問う、異色の不条理スリラーとして誕生させた。

解禁されたのは、メイキング&オフショット写真。シンバーグ監督の肩を抱くプロデューサーのクリスティーン・ヴェーコン、撮影現場に来たヴェーコンを歓迎するスタンのほか、監督がオズワルド役のアダム・ピアソンによる歌唱シーンで丁寧に演出する様子や、真剣な表情でモニターを見る姿を捉えた貴重な写真となっている。

『顔を捨てた男』のキーパーソン・オズワルドを演じたアダム・ピアソン
『顔を捨てた男』のキーパーソン・オズワルドを演じたアダム・ピアソン[c]2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ニューヨークを拠点に活動するシンバーグは、『Go Down Death(原題)』(13)で長編監督デビュー。続く、長編2作目『Chained for Life(原題)』(18)では、『顔を捨てた男』のキーパーソン、オズワルドを演じたアダム・ピアソンを主演に迎え、高い評価を受けた。そして、長編3作品目となる『顔を捨てた男』では、シンバーグの才能に惚れ込んだA24と初タッグを組み、主演にスタン、共演に『わたしは最悪。』(21)のレナーテ・レインスヴェ、ピアソンら実力派を迎え、独創的なアプローチで「ルッキズム(外見至上主義)」をブラックなユーモアを効かせながら痛烈に風刺した。

シンバーグ監督は、過去に両唇口蓋裂の治療を受けた経験から、外見やアイデンティティをめぐるテーマを描き続けてきた。「私の顔の変形のコンディションはごく一般的なものですが、作品においては、私のような人間は否定的で侮辱的な描写でしか見たことがありません。物心ついたときから、どうすれば自分のような人物を肯定的に、少なくとも自分自身の経験をリアルに見せることができるだろうかと考えていました」と振り返る。

真剣な表情でモニターを見るアーロン・シンバーグ監督
真剣な表情でモニターを見るアーロン・シンバーグ監督[c]2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

個人的な経験に着想を得ながらも、ひねりを効かせ、予想し得ない方向へと突き進む展開を主演のスタンも「物語の展開に驚愕した。脚本に引きずり込まれる感覚だった」と大絶賛。本作でシンバーグ監督は、スタンを第74回ベルリン国際映画祭最優秀主演俳優賞(銀熊賞)、第82回ゴールデン・グローブ賞最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ)受賞に導いたほか、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭では最優秀脚本賞、第34回ゴッサム・フィルム・アワードでは最優秀作品賞、第36回パームスプリングス国際映画祭では注目の監督賞を受賞するなどその手腕が高い評価を受けており、今後の活躍にも大きな注目が集まっている。

シンバーグ監督の才能に目を付けたのが、『パスト ライブス/再会』(23)のプロデューサーとして知られるヴェーコンだ。ヴェーコンは、『KIDS/キッズ』(95)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(02)、『キャロル』(15)など、これまで30年近くにわたり100本以上の映画をプロデュースしてきた、インディペンデントから才能を見いだす目利きだ。そこに、『ミッドサマー』(19)、『LAMB/ラム』(21)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)などの独創的な作品で映画史を塗り替えてきたスタジオA24も賛同。気鋭シンバーグ監督との初のタッグで誰も観たことのない衝撃の異色作が誕生した。


世界で受賞を重ねる奇才シンバーグが放つ本作を映画館でご覧いただきたい。

文/山崎伸子

作品情報へ

関連作品