窪塚洋介、小栗旬に「誘ってくれてありがとう」と感謝。『フロントライン』ジャパンプレミアで豪華俳優陣がそろって感無量!
映画『フロントライン』(6月13日公開)のジャパンプレミアが5月28日に丸の内ピカデリーで行われ、小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、関根光才監督が出席。小栗が「かなりの自信作」と力強く語った。
2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を舞台とした本作。未知のウイルスに最前線で挑んだ人々の奮闘を描く。
当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、急きょ対応することになったのは災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMAT(ディーマット)だった。DMAT指揮官であり救急医の結城を演じた小栗は「自分にとってもかなりの自信作。胸を張って、皆さんにお届けできる作品になった」と切りだし、「ここに集まってくれているキャストを見ても、錚々たる面々が集まってくれて。こんな皆さんと一緒に映画を作れたことを本当に誇りに思っています」と晴れやかな表情を浮かべていた。
DMATの立ち上げに尽力した一人で、実働部隊のトップである仙道を演じた窪塚は、完成した作品を観て「涙が止まらないシーンがたくさんあった」という。「この映画を観終わったあとに、コロナの時間が奪った人やもの、かけがえのない時間、取り返せない時間など、そういったものがこれから前に進む力になると確信した」と熱っぽく語り、「誘ってくれた旬。この場を借りて、改めてありがとう」と隣にいた小栗に感謝を伝えた。
関根監督は「2年くらい前に企画を立ち上げた。まさかその時は日本を代表するすばらしい、すさまじいキャストの人たちがやってくれるとは。ここまで来られるとは想像できなかった。皆さんに感謝しています」と豪華キャストが集った心境を明かし、「今日はモデルとなった医療従事者の方も来てくださっている。改めて観ていただけることもありがたく、感動しています」と感無量の面持ちを見せていた。
撮影においては、当時、実際に最前線で活躍した人々があらゆるサポートを提供してくれたとのこと。小栗は結城役のモデルとなった人物から、その時に経験したことや、どのような想いで仕事に向き合っていたのかを聞き取ったうえで、「DMATは一番なにを大切にしたのか、どんなことを優先的に選択していったのか。そういった想いを大切にしながら、結城という役を演じていこうと思っていた」と吐露。DMAT隊員である真田役の池松も「常に、実際にあの船に乗り込まれていたDMATの方々が誰かしらいてくれた。真摯に現場を見守ってくださった。なんでも聞ける状態を作ってくださったことが助けになりました」と感謝しきりで、「5年前の感謝、日頃の感謝を含めて、大袈裟かもしれませんが、医療従事者の方々に捧げられるような役にしたいなと思っていました」と話した。
医政局医事課の役人である立松を演じた松坂は、「僕が演じさせていただいた立松は、官僚です。批判はされるけれど、評価はされにくい職業。表で戦っている人たちがいる裏で、いろいろなことを俯瞰で見ながら、いろいろなプロセスを踏んで、いろいろなジャッジをしていかなければいけない」と演じた役柄の立場の難しさを口にしながら、「なかなか周りには伝わりにくい仕事なんですが、出来事に対する厚労省としての向き合い方をちゃんと提示したいと思っていました」と振り返った。窪塚は、演じたキャラクターのモデルとなった人物について「ヒーロー」と表現。「こういった名もなきヒーローたちが、命をかけて、日本、世界を支えてくれているんだということが、この映画を通して伝えられると思う」と敬意を表しながら、完成作に胸を張っていた。
誰もが熱い想いをあふれさせていたが、完成作を観た周囲からも熱い反響が届いているという。小栗は「自分自身も初めて観た時に、本当にすばらしい作品ができたなと思った。ここにいる我々もそうですが、ほかにもいろいろな形の主人公がいる。みんなが主役の映画を作れたことがうれしかった」としみじみ。窪塚は「全員が『この映画を日本中、世界中の人に見せるべきだ』と熱いメッセージをくれる。5年前に同じ体験をしているという力は、本当に大きいんだなと思いました。世界が変わるんじゃないかというふうにすら、思うような映画。関われて誇りに思います」と力を込めていた。
そしてフロントデスク・クルーの羽鳥役を演じた森は、「ダイヤモンド・プリンセス」について「すごく豪華で、どこを漂っていても美しい船」だといい、「そのなかで、起こるはずのなかったことが起こっていて。それは見ただけでは、まったくわからなくて。この映画を通して、自分で見ただけではなにもわかりえないという、自分の非力さ、無力さがわかったような気もします。どういうものを拾って生きていくかが大事になってくるんだなと感じました」とこれからの生き方にも影響を与えるような映画だと話した。報道センターでニュースディレクターを務める上野役の桜井は、「完成作を観終わった時に、立てないくらい圧倒された」と回顧しながら、「こうやって活動されていた方々がたくさんいらっしゃったんだと、感じることができた。知るべきことにちょっとだけでも触れることができました」と当時を知るきっかけになる映画だと語るなど、それぞれが世に放つべき映画に関われたことへの感慨をにじませていた。
取材・文/成田おり枝