真木よう子、名取裕子、根岸季衣、村川絵梨が演じた4人の母親像とは?『金子差入店』女性たちを切り取った場面写真
SUPER EIGHTの丸山隆平が主演を務めるヒューマンサスペンス『金子差入店』(5月16日公開)。このたび、真木よう子、名取裕子、根岸季衣、村川絵梨が演じた4人の母の新場面写真が解禁となった。
アジア最大規模を誇る第29回釜山国際映画祭のコンペティション部門“NEW CURRENTS(ニューカレンツ)”への正式出品をはたした本作。主演に丸山、共演に真木よう子、寺尾聰を迎え、厳しい審査や検閲がある差入のルールを熟知した職業「差入屋」を営む男とその家族の絆を描く。様々な事情から面会に行くことができない人たちに代わって、面会室へ出向くこともある差入屋店主の金子(丸山)は、伯父から引き継いだ住居兼店舗で、妻子とともに暮らしていた。ある日、金子の息子の幼なじみが見ず知らずの男に殺害される。金子や彼の家族が事件のショックから立ち直れないでいたとき、犯人の母親から差し入れの代行と手紙の代読を依頼される。そんななか、金子自身の過去があらわとなり、家族の絆を揺るがしていく。
このたび、家族や周囲、男性に翻弄されながら生きる女性たちを演じ切った真木、名取、根岸、村川の場面写真が新たに解禁。真木演じる金子美和子は、差入屋を営む金子の妻であり一児の母。監督曰く、「美和子は、場面によって、気弱になったり強気になったり、気持ちの振り幅が大きな性格」だという。感情の起伏の激しさに共感ができなかった真木は「明日のあなたといまのあなたは違う、それが人間というものですよね」という監督からの助言で腑に落ちたという。解禁となった場面写真では、生まれたばかりでまだ小さい息子の和真を愛情いっぱいに抱きかかえる美和子の姿が写しだされている。差入屋を営む金子の妻として、時には強く叱咤激励しながらも、毎日美味しいご飯を作り、優しく家族を包み込む母親役を真木が熱演した。
名取演じる金子容子は、差入屋を営む金子の母。夫はおらず、女手一つで育て上げた容子だが、男癖が悪く、若い男性に貢ぐために息子家族に金を無心する始末。金子はそんな母を煙たがるが、妻の美和子は「生きている間にしか会えないよ」と、つなぎ止める。今回解禁となった場面写真は、息子家族から無心した金で貢いでいる若い男性と仲良く歩くカット。男性の腕を抱き笑顔で見つめる容子の表情からは恋心がうかがえる。息子の金子からすればどうしようもないような母親を演じた名取は、今回の役柄を「50年以上の役者人生のなかで初挑戦」と公言している。本作のキャスティングのテーマが「パブリックイメージにない役をやってもらうこと」だという監督の思惑通り、いままでに見たことのない名取の姿を見ることができる。
根岸が演じる小島こず江は、本作の核ともなる少女殺害事件の犯人、小島高史の母で、容子と同じシングルマザー。ホラー映画での怪演に定評のある根岸が、今回の母親役でもインパクトのある演技をみせた。今回の場面写真は、これまでに解禁された場面写真とは打って変わって、フルメイクで綺麗な装いをしたこず江の姿をとらえたもの。本カットのシーンで、母親としての想いや苦悩を金子に吐露する。根岸季衣の怪演、立派に育て上げたはずの息子が殺人犯となってしまったこず江の本心が垣間見える瞬間をぜひ劇場で確かめてほしい。
村川演じる徳山詩織は、小島に殺害された少女、花梨の母。夫と娘の3人家族の比較的裕福な家庭で、娘にはいくつかの習い事に通わせていた教育ママだ。事件当日もいつも通り、学校帰り習い事に直行したはずの娘が帰ってこず、美和子や近隣の住民、警察へと助けを求める。そして翌日、無惨な姿となった娘と再会することとなってしまう。今回の場面写真は、娘の遺体を前に泣き叫ぶ、心が引き裂かれるようなシーンが写しだされている。かなりつらい役どころを演じた村川だが「ずっと一緒にお仕事をしたいと思っていた俳優さん」だったという監督の期待のこもった演技にも注目いただきたい。
それぞれの女優が演じた全く異なる母親像は物語にどのような奥行きをもたらしているのだろうか?魂を震わせる感動のヒューマンサスペンスに期待が高まる。
文/鈴木レイヤ