『サンダーボルツ*』フローレンス・ピューやセバスチャン・スタンらが役柄への想いを語る!15年間演じたバッキーは「まるで兄弟のよう」
マーベル・スタジオの新作『サンダーボルツ*』(公開中)は、型破りなアンチヒーローチーム、エレーナ・ベロワ、バッキー・バーンズ、レッド・ガーディアン、ゴースト、タスクマスター、ジョン・ウォーカーを結集させた野心的な作品。CIA長官のヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌが仕掛けた罠に囚われた彼らは、自らが抱えるトラウマと向き合い、危険なミッションに挑むことになる。機能不全に陥ったチームは、互いに反発し合うのか、それともより強固な絆で団結するのか…彼らの一挙手一投足から目が離せない。
全世界公開を前にオンラインで行われた記者会見には、フローレンス・ピュー(エレーナ・ベロワ/ホワイト・ウィドウ役)、セバスチャン・スタン(バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー役)、デヴィッド・ハーバー(アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン役)、ワイアット・ラッセル(ジョン・ウォーカー/USエージェント役)、ハナ・ジョン=カーメン(エイヴァ・スター/ゴースト役)、オルガ・キュリレンコ(アントニア・ドレイコフ/タスクマスター役)、そしてジュリア・ルイス=ドレイファス(ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ役)といったキャストと、ジェイク・シュライアー監督、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギらが勢揃いし、役柄や本作のテーマについて語った。
※本記事の後半に、映画の核心に触れる記述に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。
「映画のスタートとして、こんなにパワフルなシーンはなかなかないと思います」(フローレンス・ピュー)
テレビシリーズ「BEEF/ビーフ」の脚本と演出を務めたシュライアー監督が描く『サンダーボルツ*』の見せ場は、キャラクターひとりひとりの心理や動機を深く掘り下げていくところだ。彼らはみな、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を推進するうえで不可欠な役割を担ってきた人物たちだが、いわゆる"ならず者"。マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、「まず個人的な感想を述べさせてください。この映画は私にとって非常に意味があります。私は生涯にわたり、うつと不安障害に苦しんできました。自分の気持ちを封じ込めてしまい、他人と共有できませんでした。ですから、このテーマがマーベル映画でこれほどまでに深く描かれていることに大きなカタルシスを得て、セラピー効果を感じています。この物語を語ってくれてありがとうございます」と口火を切った。
ブラック・ウィドウの妹エレーナ役を演じるピューは、キャラクターの真実を描く機会に感謝の意を表す。冒頭シーンについて、「脚本を読んでいる時、まるでエレーナが自らの命を絶とうとしているかのようにボイスオーバーが聞こえてきて、共にビルから一歩踏み出すような感覚がありました。映画のスタートとして、こんなにパワフルなシーンはなかなかないと思います」と振り返る。「エレーナは途方に暮れていました。『生きている意味がない』と。姉を失い、家族を失い、父親との関係は無残に崩壊しています。彼女が置かれていた精神状態では、自分自身を危険に晒すことなど厭わないでしょう」。
エレーナの衣装選びにおいても、キャラクターの内面を映しだす工夫がなされたそうだ。「もし彼女が実際に命を落とすかもしれない状況に自ら身を置いているのなら、護身用のコスチュームを着ることはないでしょう。エレーナの衣装として、『トラックスーツはどうだろうか?』とアイデアを出しました。スーパーヒーローのコスチュームのような保護膜をすべて取り除いてしまおう、と。なぜなら、彼女はまったく無防備な状態でミッションに臨んでいるからです」。そして、この冒頭シーンが印象深いのは、「フローレンスがスタントを実際にやっていること以上に、エレーナの顔からショットが始まるからです。フローレンスがエレーナ役に強くコミットしていたからこそ、美しくその瞬間を演じることができたのでしょう」とシュライアー監督は付け加えた。