名前の由来は「ルーク・ケイジ」で確定!?レジェンド、ニコラス・ケイジが大阪コミコンに大塚明夫と共に登場
5月2日から5月4日(日)までの3日間、インテックス大阪でポップカルチャーの祭典「大阪コミッ クコンベンション2025」(以下、「大阪コミコン2025」)が開催中だ。マッツ・ミケルセン、クリスティーナ・リッチ、ビル・スカルスガルドら豪華ゲストの参加も見どころで、イベント2日目となる5月3日には、ハリウッドのレジェンド、ニコラス・ケイジが大阪コミコンのメインステージに登壇した。
司会進行を務めるアメキャラ系ライターの杉山すぴ豊、大阪コミコン2025のメインMCである中丸雄一による呼び込みで、まず登場したのがケイジの日本語吹替えをほぼ専任している声優の大塚明夫。続いて、大歓声に包まれてケイジもステージに現れる。念願の会見を果たした大塚が「ニコラス・ケイジさんの吹替えがある際はだいたい私が担当しています」と自己紹介すると、ケイジも「実は聞いたことがありました」とそろって満面の笑顔に。会場のボルテージも一気に上昇するなかトークショーがスタートした。
アクションからインデペンデント系のアート作品、最近はホラーとジャンルを問わない活躍を見せるケイジ。それだけに豊富な代表作を持つが、会場に集まったファンからの人気が特に高かったのが、『フェイス/オフ』(97)と「ナショナル・トレジャー」シリーズだ。「続編の可能性があるか?」と聞かれ以下のように答えた。
「『フェイス/オフ』は私も本当に気に入っています。ジョン・ウーと仕事ができた作品ですから。確実ではないですが…。続編の可能性は飛び交っています。同じく、『ナショナル・トレジャー3』も可能性はゼロではありません。もしかすると、もうすぐ私のところに台本が届くかもしれませんね」。
コミコンのステージということでアメコミ作品やカルチャーにも言及。「みなさんもアニメやコミックブックが好きだと思いますが、私もずっと影響を受けてきました。“ニコラス・ケイジ”という名前もマーベルコミックスの『ルーク・ケイジ』から取ったんですよ」とコメントし、長らく都市伝説のように語られてきた「ニコラス・ケイジは『ルーク・ケイジ』が元になっている」という説がこの場で本人によって認められる形となった。
ケイジは「スパイダーマン:スパイダーバース」シリーズのキャラクター、スパイダーマン・ノワールの声優も担当しており、彼が主人公の実写ドラマシリーズも進められている。「『ノワール(原題)』について話せるのは、本当にいいものになる、ということだけです。撮影現場ではとても良い時間を過ごすことができました。スタジオからも念押しされているのでこの程度の情報になります」。
続いて、同じくマーベルコミックスを映画化した主演作「ゴーストライダー」シリーズについても語ってくれたケイジ。「『ゴーストライダー』はとても素晴らしいキャラクターです。悪の力を使って善を成すというところがどこか哲学的ですよね。演じるにあたっても真剣に取り組みました。以前、ラスベガスの方から『ゴーストライダー』のスロットマシーンを作らせてほしいというオファーがあったのですが、彼をギャンブルにはかかわらせたくなかったのではっきりとノーと答えました」
ケイジの代表作の一つとしてあげられる『ワイルド・アット・ハート』(90)。その監督であり、先日亡くなったデイヴィッド・リンチについては、「デイヴィッド・リンチが亡くなったと聞いた時はとても悲しかったです。と同時に、世界中から寄せられた彼への熱い想いに感動もしました。世界中の文化に大きな影響を与えているとわかったからです」と不思議な感覚が湧き上がったことを言葉にする。
「デイヴィッド・リンチがマエストロとリスペクトしていたのがフェデリコ・フェリーニでした。彼の作品を観た時、アメリカのフェリーニのように感じることがあります。ビジュアルイメージはまるで夢のよう。奇妙さもありますが、その中にはたくさんの感情が込められていて、観終えたあとにいつまでも残る余韻があります。デイヴィッド・リンチは“魔術師”とも呼ばれていて、特に『ツイン・ピークス』はテレビドラマの在り方を一変させました。私も彼とは本当に魔法のような時間を過ごせたんです」。
最後にリンチとの思い出も振り返るケイジ。「若い頃は役柄にのめり込み過ぎて苦しく感じる時がありました。そのことをデイヴィッド・リンチと話し、『今回は楽しんでもいい?』と聞いたところ、彼は『いつも楽しまないといけないんだよ』と返してくれたんです。この言葉で一気に肩の荷が下りたような、重みがすべて消え去ったような感覚になりました。プレスリーのようなヘビ柄ジャケットを着て演じてみるのはどうか?とアイディアを出した時も、『よしやってみよう!』と後押しするとてもパッションにあふれた方でしたね」。
短い時間ながら、ケイジがリンチを慕っていたことがよくわかり、言葉の一つ一つからも思い出を大切にしていることが伝わってきた。
このほか、初日のステージには、エドワード・ファーロング、ヒュー・ダンシー、サン・カンらも登壇してファンと交流。会場内には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ワイルド・スピード」などの人気シリーズ、『サンダーボルツ*』(公開中)、『スーパーマン』(7月11日公開)、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(7月25日公開)といった最新作の展示が並ぶブースも設置されている。アメコミはもちろん、映画ファンにもぜひ注目してほしい。
文/平尾嘉浩