多くの名作が生まれた尾道でオールロケ!松居大悟監督が『リライト』に込めた、『時をかける少女』へのリスペクト

多くの名作が生まれた尾道でオールロケ!松居大悟監督が『リライト』に込めた、『時をかける少女』へのリスペクト

『ちょっと思い出しただけ』(22)の松居大悟監督と、『リバー、流れないでよ』(23)など脚本家として“時間もの”の傑作を数多く生みだしてきたヨーロッパ企画の上田誠と初タッグを組み、法条遥の同名小説を実写映画化する『リライト』(6月13日公開)。このたび本作から、松居監督が“尾道オールロケ”にかけた想いを語るインタビューコメントと、初解禁を含む場面写真&ロケ地写真が一挙に解禁された。

『リライト』は6月13日(金)より公開!
『リライト』は6月13日(金)より公開![c]2025『リライト』製作委員会

ある小説を読み、それに憧れて300年後からタイムリープしてきた未来人の保彦(阿達慶)と出会い、秘密を共有しながら恋に落ちた高校3年生の美雪(池田エライザ)。保彦からもらった薬で10年後にタイムリープした美雪は、未来の美雪から1冊の本を見せられる。それは保彦が未来で出会う小説であり、彼と過ごした夏を題材に美雪自身が書いた小説だった。未来へ帰っていく保彦を見送り、10年後、約束通り小説家になった美雪。しかし、いくら待っても来るはずの“10年前の美雪”は現れず…。

本作の撮影は、2023年8月上旬から9月上旬までの約1か月間、広島県尾道市でのオールロケで行われた。尾道は、小津安二郎監督の名作『東京物語』(53)の舞台であり、同市出身の大林宣彦監督が『転校生』(82)や『時をかける少女』(83)をはじめとした“尾道三部作”の舞台に選ぶなど、多くの映画人に愛されてきた“日本映画のふるさと”とも呼ばれる特別な場所。

【写真を見る】「時間が止まっているような原風景」小津安二郎、大林宣彦も魅了した尾道の絶景
【写真を見る】「時間が止まっているような原風景」小津安二郎、大林宣彦も魅了した尾道の絶景[c]2025『リライト』製作委員会

「大先輩にあたる大林監督が、『時をかける少女』を尾道で撮られていて、『リライト』の原作の舞台とは異なるものの、同じ“時間”をテーマに扱った作品として、尾道で撮影することに大きな意味を感じました」と、松居監督は大林監督へのリスペクトを込めたことを明らかにする。「どこをカメラでとらえても絵になり、時間が止まっているような原風景を感じます。そんな土地で、未来人との交流を描くというのがおもしろいですよね」。

また、尾道で撮影するにあたって重視したのは、“観光地としての尾道”ではなく“日常の尾道”を撮ることだったという。「日本のどこにもない穏やかな風が吹いていて、優しい景色というか、ノスタルジーを感じるんです。日本各地で元の風景が失われ、合理的になっていくなかで、300年後の未来から現代にやってきた保彦が感じた、温かさやニオイを感じられる場所で本作を撮ることに意味がありました」と語り、「尾道で撮ることができて本当によかったと思います」とたしかな手応えをのぞかせた。


松居大悟監督は、尾道の“日常”を切り取ることを心掛けたと明かしている
松居大悟監督は、尾道の“日常”を切り取ることを心掛けたと明かしている[c]2025『リライト』製作委員会

しかも劇中では、『転校生』の主演俳優である尾美としのりが高校の担任である細田先生役で出演し、“新・尾道三部作”の『ふたり』(91)でヒロインを務めた石田ひかりが美雪の母・和美役で出演するなど、キャスティングの面でも大林監督へのリスペクトが捧げられている。数々の名作が生まれた尾道の地から新たに放たれる本作。その美しいロケーションにも注目しながら、色鮮やかな青春ミステリを堪能してほしい。

文/久保田 和馬

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