赤壁の戦いの名場面も登場!『パリピ孔明』でアレンジされた天才軍師、諸葛孔明の計略をプレイバック
苦肉の計
サマーソニア開催が間近に迫るなか、小林に恨みを持つスーパーアーティスト、前園ケイジ(関口メンディー)の妨害工作に遭い、英子の出演が危ぶまれる事態に陥ってしまう。第9話、最終話となる第10話ではケイジとの攻防を孔明が勝ち切り、英子を大舞台に立たせるまでが描かれた。
英子たちを瓦解させるため、ケイジはKABE太人を引き抜こうとする。孔明とKABE太人、それぞれがケイジとつながっていると疑心暗鬼に陥らせることで、2人は対立して袂を分かつことに。しかし、もちろん孔明はこの展開を予測済み。あえて策略に乗り、ケイジに協力しているラッパーのダイナー(渡辺大知)の前で激しく罵り合うところを見せ、作戦がうまくいったと思い込ませることに成功。スパイとしてKABE太人をケイジ陣営に潜り込ませた。
こちらも赤壁の戦いのエピソードからの引用なのだが、孔明ではなく周瑜が行った「苦肉の計」が基になっている。曹操の大船団を打ち破るため火計を用いることになるが、正攻法で実践するのは不可能。そこで老将の黄蓋が偽装投降することで魏軍に入り込み、敵船に火を放とうとする。その際、あえて黄蓋が周瑜に逆らってみせ、背中の肉が裂けるほどの棒打ちの刑にさらされるという芝居を打つことで、疑い深い曹操を信じ込ませたという。
東南の風
しかし、これだけでは火計は成功しない。風向きは逆風であり、このまま火を放っても自軍に燃え広がってしまうからだ。「三国志演義」ではここで、孔明が祈祷によって風を逆向きにし、“東南の風”を吹かせるという名場面がある。これが本作では、ケイジのゴーストライターをしていたベースの南房(休日課長)とギターの東山(石崎ひゅーい)によるロックデュオ「イースト・サウス(=東南)」を仲間に引き入れるという形でアレンジ。不満を抱きながらも裏方に徹していた2人のミュージシャン魂を焚きつけることで、大逆転を導いた。
『パリピ孔明 THE MOVIE』では孔明の前に司馬懿の末裔が立ちはだかる!?
このほか「パリピ孔明」には、重用していた配下の馬謖が命令に背いて大敗したため、規律を遵守して彼を処刑した「泣いて馬謖を斬る」、腕に毒矢を受けた関羽が麻酔もせずに骨を削る手術を受けたエピソードなど、様々な三国志ネタが散りばめられていた。最新作『パリピ孔明 THE MOVIE』では、「天下三分の計」を思わせる3大レーベルが競い合う史上最大の音楽バトルフェス「MUSIC BATTLE AWARDS 2025」が開催されることになり、英子も孔明を伴って参加することに。しかし2人の前に、孔明の最大のライバル、司馬懿の末裔である司馬潤(神尾楓珠)&shin(詩羽)の兄妹が立ちはだかる。
はたして、劇場版でも孔明の天才的な計略は発揮されるのか?多彩なアーティストたちのパフォーマンスと共に期待してほしい。
文/平尾嘉浩