新人監督が繊細に描きだす、少年時代の“痛み”と“後悔”。香港映画『年少日記』日本公開が決定
『SPL 狼たちの処刑台』(17)で共同脚本を務めたニック・チェクが監督デビューを飾り、第60回金馬奨では観客賞と最優秀新人監督賞を、第17回アジア・フィルム・アワードでは最優秀新人監督賞を受賞した『年少日記』が6月6日(金)より日本公開されることが決定。このたび日本版ビジュアルと予告映像が解禁された。
高校教師のチェン(ロー・ジャンイップ)が勤める学校で、自殺をほのめかす遺書が見つかる。そこにはチェンが幼少期に日記に綴ったのと同じ言葉が記されていた。遺書を書いた生徒を捜索するうち、閉じていた日記をめくりながら自身の幼少期のつらい記憶をよみがえらせていくチェン。弁護士として働く厳格な父のもと、親の期待に応える優秀な弟と出来の悪い兄。いつも叱られ、体罰を受けてきた兄は、家族のなかで疎外感を抱いており…。
このたび解禁された予告映像では、少年時代の日記を見つけたチェンが、そのページをめくりながら痛切な過去をよみがえらせていくシーンから始まる。ピアノも勉強も兄弟で比べられ、自身の将来に不安を抱く少年の姿。後悔を背負ったまま大人になったチェンは、生徒に励ましの言葉を送り、自らの痛みを紐解きながら、いまを生きようとしていく。
あわせて解禁された日本版ポスターには、過去を振り返るような表情を浮かべる大人になったチェンの姿と、うつむいたまま屋上の淵に座る少年の姿が。そして青い空の背景には「僕は、どうでもいい存在」というキャッチコピーが添えられている。
巧みな構成と、きめ細やかな演出で幼少期の苦しみに向き合っていく珠玉のドラマをぜひスクリーンで目撃してほしい。
文/久保田 和馬
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