『ウィキッド ふたりの魔女』は『映画ドラえもん』を逆転できるのか?“邦高洋低”に風穴をあける、洋画実写1年8か月ぶりの興収25億円到達

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『片思い世界』&『おいしくて泣くとき』が初登場!

今週は新作タイトルが2本、いずれも“2強”に次ぐ3位と4位にランクインを果たしている。3位に初登場を果たしたのは、今週も9位にランクインした『ファーストキス 1ST KISS』(公開中)の脚本家である坂元裕二が、『花束みたいな恋をした』(21)の土井裕泰監督と再タッグを組んだ『片思い世界』(公開中)。

広瀬すず、杉咲花、清原果耶トリプル主演の『片思い世界』は3位スタート
広瀬すず、杉咲花、清原果耶トリプル主演の『片思い世界』は3位スタート[c]2024『片思い世界』製作委員会

広瀬すずと杉咲花、清原果耶と、いずれもNHKの連続テレビ小説で主演を務めた経験がある当代トップクラスの女優3人がトリプル主演を果たした同作。初日から3日間の成績は動員8万1000人、興収1億1600万円と、『花束みたいな恋をした』の初動成績との対比では44%。大きく離されてしまったが、同作も『ファーストキス』も、坂元脚本作品は口コミでじわじわと広がり成績を伸ばしていく傾向にある。本作もそれに続くことができると期待しておきたい。

また4位には、『ふしぎな岬の物語』(14)など複数の著作が映像化されている森沢明夫の同名小説を、なにわ男子の長尾謙杜主演で映画化した『おいしくて泣くとき』(公開中)がランクイン。長尾演じる主人公と、當真あみ演じるヒロインの切ない恋模様が、30年の時を経て描かれるラブストーリー。今年に入ってから邦画実写の感動系ラブストーリーの好調が目立っており、こちらも今後の持続力に注目だ。

長尾謙杜主演のラブストーリー『おいしくて泣くとき』は4位に初登場を果たした
長尾謙杜主演のラブストーリー『おいしくて泣くとき』は4位に初登場を果たした[c]2025 映画「おいしくて泣くとき」製作委員会

既存作品のなかでひときわ興味深い推移を見せているのが、前週の10位から一気に6位までジャンプアップを果たした『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(公開中)。公開初週の当記事でも触れた通り、上映中に行われる観客の投票で展開とエンディングが変わる日本初の観客参加型“インタラクティブ映画”と銘打たれた本作は、公開7週目にして累計動員44万人&興収10億円を突破する大健闘。

なぜここにきて急激に順位を伸ばしたのかと調べてみると、この週末から1週間限定で「無発声上映」がスタートしたことがポイントではないだろうか。通常の映画であれば静かに観ることが推奨され、一部の熱狂的なファンのためにイベントとして“発声OK”の応援上映が行われるものだが、『ヒプマイ』の場合は真逆の発想。発声はもちろんのこと、“リンライ”と呼ばれるグッズを用いた応援上映が基本形であり、今回の「無発声上映」ではその両方がNG事項となっている。

【写真を見る】“無発声上映”が効果テキメン!?『ヒプノシスマイク』が小規模公開ながら興収10億円を突破の大健闘
【写真を見る】“無発声上映”が効果テキメン!?『ヒプノシスマイク』が小規模公開ながら興収10億円を突破の大健闘 [c]ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie

それによって楽曲や作品自体のクオリティに集中できること、熱量が高い応援上映で足踏みしていた新規ファンなども気兼ねなく参加できるというメリットが多数。逆に無発声上映で観たことで、応援上映でまた観たいという意欲が高まっているファンの姿もSNS上では確認できる。ちなみに作品の性質上、各ディビジョン(劇中でラップバトルを繰り広げるチーム)の聖地にある劇場では結果が顕著に偏る傾向があるのだが、公式ホームページの「VOTING STATUS」を見る限り、「無発声上映」でもそれはあまり変わらないようだ。

以下は、1~10位までのランキング(4月4日〜4月6日)
1位『映画ドラえもん のび太の絵世界物語
2位『ウィキッド ふたりの魔女
3位『片思い世界』
4位『おいしくて泣くとき』
5位『白雪姫』
6位『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』
7位『山田くんとLv999の恋をする』
8位『ミッキー17』
9位『ファーストキス 1ST KISS』
10位『教皇選挙』

今週末は、『ボヘミアン・ラプソディ』(18)のラミ・マレックが主演を務めるスパイアクション『アマチュア』(4月11日公開)、レネー・ゼルウィガー主演の人気シリーズ第4弾『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』(4月11日公開)、ファン・ジョンミン主演×リュ・スンワン監督の人気アクション映画の続編『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』(4月11日公開)などが控えている。


文/久保田 和馬

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