『侍タイムスリッパー』、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞の快挙!山口馬木也は「心臓が飛び出るかと思いました」

『侍タイムスリッパー』、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞の快挙!山口馬木也は「心臓が飛び出るかと思いました」

第48回日本アカデミー賞の授賞式が3月14日、グランドプリンスホテル新高輪にて開催。強豪を抑えて最優秀作品賞に輝いたのは、たった1館から上映拡大した安田淳一監督によるインディーズ映画『侍タイムスリッパー』(公開中)で、最優秀編集賞を合わせて2冠の最優秀賞を獲得した。安田監督は「本当に驚いております」と感涙し、キャストやスタッフ陣と喜びをかみしめた。また、同じく口コミからスマッシュヒットとなった『ルックバック』(公開中)が最優秀アニメーション作品賞を受賞した。

【写真を見る】最優秀作品賞を受賞した『侍タイムスリッパー』
【写真を見る】最優秀作品賞を受賞した『侍タイムスリッパー』

安田監督の長編映画3作目となった『侍タイムスリッパー』は、幕末の会津藩士、高坂新左衛門が現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、斬られ役として第二の人生に奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。2024年8月の劇場公開時には東京の池袋シネマ・ロサのみの1館上映だったが、SNSなどで反響を呼び、9月からは300館以上の順次拡大公開となる異例の大ヒットを記録。主演はテレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也で、冨家ノリマサ、沙倉ゆうのら実力派俳優陣が共演した。

安田監督は「最後まで物事を諦めずにやることを教えてくれた昨年死んだ父と、『頑張っていれば誰かがどこかで見ていてくれる』といつもおっしゃっていた(伝説の斬られ役の)福本清三さんに見せてあげたいです。本当にどうもありがとうございました」と涙ながらに喜びを語った。

感激しきりの『侍タイムスリッパー』のチーム
感激しきりの『侍タイムスリッパー』のチーム[c]日本アカデミー賞協会

また、助監督の山本優子を演じた沙倉は「『侍タイムスリッパー』を最優秀作品賞に選んでいただきまして、本当にどうもありがとうございます。本当に『侍タイムスリッパー』はみんなの作品です。たくさんの方に助けてもらって、たくさんの皆さんの思いが詰まった作品を、皆さんと一緒に作り上げることができたことが、私はすごく嬉しくて幸せです」と感激しきりだった。

主人公の高坂新左衛門役を演じた山口は「心臓が飛び出るかと思いました」と驚きを隠せない様子で「この映画はインディーズ映画で、本当に最初は小さな小さな光でしたが、お客様のおかげでこんなにキラキラした場所に立てております。何度も足を運んでくださったお客様がいますが、その方に聞いたら『映画館にそのキャラクターたちに会いに行きたくなる。会いに行くような気分で何回も来るんです』とおっしゃってくださいました。こんなにうれしいことはありません。この映画が与えてくれたすべてのことが折りに触れ、今後自分の帰る場所になると思います。そのきっかけを与えてくれた安田監督、応援してくださった皆様、本当にありがとうございます」と心から感謝した。

『侍タイムスリッパー』を観てくれたファンの方にも感謝したキャストやスタッフ陣
『侍タイムスリッパー』を観てくれたファンの方にも感謝したキャストやスタッフ陣[c]日本アカデミー賞協会

同じくロングランヒット中である『ルックバック』が最優秀アニメーション作品賞を受賞した押山清高監督は、作画を務めたアニメーターの井上俊之と、声優として参加した河合優実とともに喜びの挨拶をした。

「本当に、河合さんをはじめ、ここに立っている優秀なアニメーターの井上さんたちのおかげです。アニメーションは本当に技術でもって映画を作るので、かなり支えてもらわなければ作れない表現です。この作品に関わってくれたスタッフもそうですが、日本のアニメーション業界を支えてくださってる多くのアニメーターたち、多くのスタッフとともに、この作品は作られたものだとも思っています」と万感の想いを口にした。

最優秀アニメーション映画賞は『ルックバック』
最優秀アニメーション映画賞は『ルックバック』[c] 藤本タツキ/集英社 [c] 2024「ルックバック」製作委員会

また、スタジオジブリ出身の押山監督にブロンズを手渡したのが、昨年の同賞受賞作『君たちはどう生きるか』(23)のスタジオジブリ執行役員の西岡純一だが、押山監督もチームの一員として同作に参加していたそうだ。

「その現場から離れる際に『これから自分たちの映画を作りに行きますので』と宮崎さんにお別れの挨拶をしました。7年後ではありますけど、スタジオジブリの方からこういった賞を受け取れたことで特別に感慨深い気持ちになっています」としみじみ喜びをかみしめた。


2024年の日本映画界を代表する面々が揃った
2024年の日本映画界を代表する面々が揃った

なお、河合優実は『あんのこと』(公開中)で最優秀賞主演女優賞を獲得している。また、最多の最優秀賞を受賞したのは『キングダム 大将軍の帰還』で、大沢たかおの助演男優賞をはじめ、撮影賞、照明賞、録音賞など技術部門も含めて最多4部門に輝いた。授賞式は『怪物』(23)で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、羽鳥慎一が司会を務めた。授賞式の模様は同日21時より日本テレビ系(全国29局ネット)で放送された。

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