ブレンダン・フレイザー、感無量!主演男優賞受賞スピーチ全文&オスカージョークも飛びだした受賞後インタビュー

インタビュー

ブレンダン・フレイザー、感無量!主演男優賞受賞スピーチ全文&オスカージョークも飛びだした受賞後インタビュー

ブレンダン・フレイザー 主演男優賞受賞後インタビュー

ダーレン・アロノフスキー監督ら、『ザ・ホエール』チームへ感謝を述べたブレンダン・フレイザー
ダーレン・アロノフスキー監督ら、『ザ・ホエール』チームへ感謝を述べたブレンダン・フレイザーMichael Yada / [c]A.M.P.A.S.

――とてもすばらしい瞬間でした。いま、この瞬間はどんなお気持ちですか?この受賞は、あなたにとってどんな意味を持ちますか?

「気持ちが少し軽くなりました。実はこれ(オスカー像)、少し重いんです。この夜が終わる頃には、片方の腕が長くなっているかもしれません。この受賞が意味することは、仕事を探さなきゃいけないということです。とてもありがたいことで、パンデミックの間、働いていた人たちすべて、私たちは安全を確保するためにお互いにとても気をつけていました。今年観た映画には、ある秘密の成分があると思うのですが、それは…私たちはみんな、そこにある恐怖のなかに共存していて、お互いにそれぞれの仕事に対して心配りを示していました。明日があるかどうかもわからない。だから、重厚な雰囲気の中で映画を作ることで、最初で最後のつもりで演技をすることがいかに重要かを再確認しました。それが、私が得たすべてです」

――この役に惹かれた理由と、この役があなたに与えた充足感について教えてください。

『ザ・ホエール』は、余命わずかな男が疎遠だった娘との絆を取り戻そうとする物語
『ザ・ホエール』は、余命わずかな男が疎遠だった娘との絆を取り戻そうとする物語[c] 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

ダーレン・アロノフスキーが映画を作るらしい。それを聞いたら、どんな俳優でも飛んで火に入る夏の虫みたいなものです。彼は、過食で自分を傷つけている男の物語で、とても孤独で、子どもと和解できればと思っている話だと説明してくれました。私が知っていたのはそれくらいでした。そして脚本を読ませてもらいました。ダーレンが10年前にニューヨークでサミュエル・D・ハンターの書いた舞台劇を初めて観た時と同じように、すぐに強烈な感動を覚えました。ダーレンは、この作品は非常にチャレンジングな作品になるだろうと率直に言っていました。

チャーリーと彼の肉体を創り出すのに、幸運なことに、いまはオスカー受賞者のエイドリアン・モロット(本作でアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞)が参加していました。ですが、チャーリーを内側から演じるのが私の仕事であり、外側から創造するのが彼らの仕事でした。ホン・チャウやサミュエル・D・ハンターと一緒に、すばらしい成果を毎日最前列で見ていました。信じてください。彼は恐ろしく優秀です。

270kgを超える巨漢男性を再現した、『ザ・ホエール』のメイクアップチーム
270kgを超える巨漢男性を再現した、『ザ・ホエール』のメイクアップチーム[c] 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

(チャーリーの元妻を演じた)サマンサ・モートン、実を言うと、この結婚がうまくいかなかったことをちょっと悲しんでいます。この映画は、人々の心や精神を変える映画だと思います。そして、それはいい気分です。本当にいい気分です」

――あなたが出演している、オスカー受賞作の『ゴッド・アンド・モンスター』(98)以来、クィア・ストーリーテリングは長い道のりを歩んできました。では、チャーリーのような複雑なクィアキャラクターの声を届けることにやりがいを感じ、それがアカデミーから評価されたことをどのように感じていますか?また、長年にわたり多くのゲイがあなたのファンでいました。つまり、ゲイはあなたを愛しています。それについては…?

「私も愛をお返ししたいと思います。チャーリーは、単なるゲイの枠を超えた存在です。彼は父親であり、教育者であり、真実の探求者であり、そして彼が誰と絶望的に不都合な恋に落ちたかということは重要ではありません。彼は愛を見つけ、失い、そしてまた愛を見つけます。 それは、私たち全員が見習うべきことでしょう。そして、忍耐強く、チャーリーのように片足を前に出して、光に向かっていけばいいんです。信じてください。私にできることなら、あなたにもできるはずです。きっとうまくいきます」

『ザ・ホエール』は4月7日(金)公開
『ザ・ホエール』は4月7日(金)公開[c] 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.


――この1年間は、あなたにとってまさに大逆転劇で、ネット社会はあなたを応援し、誰もがあなたの味方でした。この1年はあなたにとってどんな意味があったのでしょうか、また、ご自分の名前が呼ばれた時、最初に頭に浮かんだことはなんだったのでしょうか?

「非常にやりがいがあり、前向きで、そして謙虚さと感謝の気持ちを学びました。自分の名前を初めて聞いた時、どう思ったか…?自分の名前を聞いて、『そんなはずはない』と思いました。 でも、本当でした。それなら、立ち上がって早くなにか言わなくてはと思いました。ごめんなさい。メタバースがどんなものなのかがよくわかりました。そして、とても親切にしてくれた私のインターネットの友人たちに感謝します。期待に応えられているといいのですが」

文/平井 伊都子


第95回アカデミー賞特集

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