綾瀬はるか、主演作『人はなぜラブレターを書くのか』に号泣「ずびずびで帰った」 菅田将暉はオファーに「悩んだ」出演秘話を告白

綾瀬はるか、主演作『人はなぜラブレターを書くのか』に号泣「ずびずびで帰った」 菅田将暉はオファーに「悩んだ」出演秘話を告白

映画『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)の完成披露試写会が3月23日にイイノホールで行われ、綾瀬はるか、當真あみ、細田佳央太、菅田将暉、妻夫木聡、佐藤浩市、石井裕也監督が出席した。

2008年以来、およそ18年ぶりに共演を果たし、夫婦役を演じた綾瀬はるか&妻夫木聡
2008年以来、およそ18年ぶりに共演を果たし、夫婦役を演じた綾瀬はるか&妻夫木聡

2000年3月8日に発生した地下鉄脱線事故により亡くなった、当時高校生だった富久信介さん。時を経た2020年、信介さんと同じ時間、同じ車両で通学し、彼に密かな想いを寄せていたという女性から1通のラブレターが信介さんのご家族の元に届いたという実話に惹かれ、石井監督がメガホンを取って映画化した本作。手紙を書きはじめる主人公のナズナ役を、綾瀬が演じた。

「脚本を読んだ時と同じように、号泣した」と告白した綾瀬はるか
「脚本を読んだ時と同じように、号泣した」と告白した綾瀬はるか

お披露目の日を迎えて、石井監督は「感慨深い気持ちです」としみじみ。「人の想いがどんどん繋がり、いろいろな方のご尽力と協力があって、奇跡のような成り立ちでできた映画。今日という日を心待ちにしていました」と感無量の面持ち。綾瀬は、脚本を読んだ時に涙があふれたという。「一つのラブレターが時を超えて人の心を動かし、繋がっていくことに感動しました。人が人を想う気持ちがとてもステキで、やさしい、希望のある映画だと思いました」と完成作を観た時の感想を吐露しつつ、「脚本を読んだ時と同じように、号泣して。ずびずびで帰りました」と照れ笑いを浮かべながら、大きな感動が押し寄せたことを明かした。

ナズナの夫・良一を演じた妻夫木聡
ナズナの夫・良一を演じた妻夫木聡

ナズナの夫、良一役を演じた妻夫木が演じた。綾瀬は「妻夫木さんは先輩でもあるので、すごく心強くて」と信頼感をにじませ、「感情が複雑なシーンもあったんですが、やさしく、厳しい目で見守ってくれました」と笑顔で感謝を伝えた。

一方の妻夫木は、綾瀬を見ていて「頼もしかった」とにっこり。「監督も、綾瀬さんに繊細に演出をされていた。わからないことに対して、わからないと素直にいう綾瀬さんにも強さを感じた。頼もしかった」と語る。さらに「ナズナが持っている幸せなオーラというものは、綾瀬さん自身がもともとデビュー当時から持っているもの。皆さんも感じていると思うんですが、周りにいる人たちをほわっと幸せにしてくれるオーラを持った方なんですね。そういうオーラが、特にナズナという役に活きている」と絶賛。綾瀬は「いろいろなシーンで、役を通して支えていただいた」と目尻を下げていた。

高校生のナズナが想いを寄せた男子高生・富久信介を演じた細田佳央太
高校生のナズナが想いを寄せた男子高生・富久信介を演じた細田佳央太

高校生のナズナが想いを寄せた男子高生・富久信介を演じたのが、細田。信介のボクシングジムの先輩である川嶋勝重役を、菅田が演じている。細田は実在した富久信介さんを演じることに、「とてつもなく大きな覚悟をきめなければと思っていた」そうで、信介さんの実家にも足を運んだとのこと。

細田は「撮影前に(信介さんの)お父様にお会いしてお話を伺った時に、自分で背負わなければいけないものの大きさに改めて気づいて。そこで自分自身の精神的な支えになっていたのが、ボクシングだった。ボクシングがなかったら、想いや覚悟みたいなものに押しつぶされてしまったんじゃないか」と回顧。菅田とボクシングの練習をしながら、役作りに臨んだと振り返った。

信介のボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じた菅田将暉
信介のボクシングジムの先輩・川嶋勝重を演じた菅田将暉

第17代WBC世界スーパーフライ級チャンピオンである川嶋勝重選手も、実在の人物だ。石井監督とは初タッグとなった菅田は、「川嶋勝重選手が大橋ジム最初の世界チャンピオンであり、富久信介くんの先輩であることを知り、いざ『受けますか』と言われて。悩みました」と告白した。

「それは過去に映画でボクサー役をやっていて、ボクシングのしんどさを知っているからということでもなく、自分がこの作品になにをできるかということで。今回は自分一人のためにするボクシングではなく、誰かの想いを背負って、最後にリングに立つ。その男の姿を通して、富久信介くんの生きた証をスクリーンに残す。その使命であれば、お受けしたいなと思った」とオファーを受けた理由について、力を込めた。受けると決めてからは、石井監督と2人で話す時間を作ってもらったという菅田。「家族のことや映画のこと、信介くんのことなど、5時間くらい、いろいろな話をした。ずっとお会いしたかった監督ですし、熱意を持って挑みたいという想いもあり、この機会になるべく伝えなきゃと思って、いっぱいしゃべっていました」と充実のタッグになった様子だ。

白熱のボクシングシーンも大きな見どころ
白熱のボクシングシーンも大きな見どころ

石井監督も、「本当に熱い話をした」と述懐。「最初に菅田くんが、『実はこれは断ろうと思っていました』と言ってきて」とぶっちゃけて周囲と会場を笑わせながら、「川嶋勝重さんは、偉大なプロボクサー。それを演じるのはすごいプレッシャーだと思う。そしてそんなに出番も多くはない。でも世界チャンピオンとしてのスキルや身体を作らなければいけない。すごく費用対効果が悪いけれど、この役をやる人は、必ず優勝すると思うような役」とその役柄の重要性について言及。菅田によると、ボクシングの練習に励んでいたジムには「なんの縁なのか、そのジムで妻夫木さんが練習をしていた」そうだが、妻夫木は、菅田の出演シーンでとても印象に残っているシーンがあると話す。「信介さんが亡くなった時に、菅田くん(演じる川嶋)がジムの会長に詰めよるシーンがあって。そのシーンは、本当に泣きました。あの長回しのワンカットは、日本映画史上ベストだと言えるくらいすばらしいカットだった」と惚れ惚れとしていた。

妻夫木聡、綾瀬はるかの“幸せオーラ”を絶賛
妻夫木聡、綾瀬はるかの“幸せオーラ”を絶賛

いよいよ上映時間が近づくと、「一人一人の生き様のすべてが、誰かのためになったり、誰かを幸せにしたりする。そう思うと、生きている存在自体がラブレターなんじゃないかと思いました」と持論を述べた綾瀬。妻夫木が「いいことを言うようになったなぁ…」と目を細めると、会場は温かな笑いに包まれていた。


取材・文/成田おり枝

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