フェイクニュースの時代に戻ってきた伝説のコンテンツ…「放送禁止」を大勢が信じ、翻弄された理由とは?

フェイクニュースの時代に戻ってきた伝説のコンテンツ…「放送禁止」を大勢が信じ、翻弄された理由とは?

生成AIを使った巧妙なフェイクニュースを日常的に目にするようになり、情報の正しさを判別するメディアリテラシーの能力が個人に求められる時代となった。そんなフェイク混じりの怪しい情報を、エンタテインメントとして早くから扱ってきたのがフェイクドキュメンタリーやモキュメンタリーと呼ばれるジャンルだ。ドキュメンタリー同様の臨場感と、フィクションならではの驚愕の展開が待ち受けている。

2003年4月1日。その番組は始まった…

米国では魔女伝説を題材にした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)がメガヒットしたが、この作品で使われたフェイクドキュメンタリーの手法を日本で広めたのが、2003年からフジテレビで始まった深夜番組「放送禁止」だ。初回は4月1日(エイプリルフール)の26時05分から放送され、バブル後の廃ビルで次々と起きる失踪事件の謎をカメラは追っていた。

ある廃ビルで起こった失踪事件に迫る(「第1話 放送禁止1」)
ある廃ビルで起こった失踪事件に迫る(「第1話 放送禁止1」)[c]2006 EAST/フジテレビジョン

番組の噂を耳にし、筆者がリアルタイムで視聴を始めたのは同年6月に放送された「第2話 放送禁止2ある呪われた大家族」からだ。当時大人気だった大家族ドキュメンタリーを題材に、家族間の深い闇を描いた禍々しい内容だった。初めて遭遇した未知なる映像作品に背筋がざわつき、以降は不定期に放送される「放送禁止」という四文字を、新聞のラテ欄で探し求めるようになった。

リアルなドキュメンタリーと勘違いした視聴者たち

「放送禁止」は、その後もストーカー、隣人トラブル、自殺幇助…といった地上波テレビで扱うには危険なテーマを取り上げ続け、全7本がオンエアされた。番組の終わりに「これはフィクションです」と毎回クレジットされるのだが、あまりのインパクトある内容に、リアルなドキュメンタリーだと勘違いする視聴者が続出したと言われている。

フェイクドキュメンタリーやメディアリテラシーという言葉が一般的に知られるようになるのは、森達也監督の「ドキュメンタリーは嘘をつく」(テレビ東京系)が2006年に放送されて以降だろう。「放送禁止」の過激な内容に戸惑う視聴者がいるのも当然だった。

呪われた大家族の真実とは?(「第2話 放送禁止2ある呪われた大家族」)
呪われた大家族の真実とは?(「第2話 放送禁止2ある呪われた大家族」)[c]2006 EAST/フジテレビジョン

ドキュメンタリー系バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」(フジテレビ系)の構成・ディレクターも務めた長江俊和監督による「放送禁止」は、テレビの常識から抜けだしただけでなく、やがてテレビの枠そのものからも抜けだすことになる。『放送禁止 劇場版 密着68日復讐執行人』(08)を皮切りに、『ニッポンの大家族 Saiko! The Large family 放送禁止 劇場版』(09)、『放送禁止 洗脳 邪悪なる鉄のイメージ』(14)が公開。深夜でも放送できない、よりダークサイドに踏み込んだ劇場版だった。

フリージャーナリストがストーカーに怯える女性に取材する(「第3話 放送禁止3ストーカー地獄編」)
フリージャーナリストがストーカーに怯える女性に取材する(「第3話 放送禁止3ストーカー地獄編」)[c]2006 EAST/フジテレビジョン


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